コロナ太りに繋がる塩分のとりすぎに注意!?外出自粛・在宅勤務によって食生活はどう変わった?
世界中に激震が走った新型コロナウイルスの大流行。日に日に更新される感染者数のニュースに一喜一憂するなか、首都圏と北海道における緊急事態宣言は、5月末まで継続。
在宅勤務や臨時休校・休園の影響で、おうちで過ごす時間が増えた今、各家庭の食生活はどのように変化したのでしょうか?
AIを使った健康アプリを提供しているリンクアンドコミュニケーションは、アプリのユーザーを対象に、食事メニュー(主食)、嗜好品(お酒、お菓子)の食べる量の変化を分析し、調査結果をまとめました。本記事ではその内容をご紹介します。
「新型コロナウイルス流行下での習慣生活の変化」(リンクアンドコミュニケーション調べ)の調査結果を発表
■1:主食は「炊き込みごはん」「焼きそば」が40%増!キーワードは「家族で取り分け」
【図1】は、ユーザーがアプリに入力した食事を調査し、その増減をあらわしたグラフです。調査対象は、アプリに搭載されている約70種類の主食のうち、入力頻度の高い下記の16メニューです。
・「ご飯もの」:白米、おにぎり、お寿司、カレーライス、炊き込みごはん、チャーハン
・「パン類」:食パン、菓子パン、惣菜パン、シリアル
・「麺類」:そば・うどん、ラーメン、スパゲティ、焼きそば
・「粉もの」:お好み焼き・たこ焼き、ピザ
各メニューの1月に食べた割合を100%として比較すると、1月に比べて4月に10%以上増加したメニューは、炊き込みごはん(39%増)、焼きそば(36%増)、ピザ(25%増)、チャーハン(18%増)、お好み焼き・たこ焼き(17%増)の5つ。
増加したメニューには、以下の3つの共通点が挙げられます。
①一度にたくさんつくれて、取り分けて食べることができる
②子どもが好きで、家族一緒に食べられる
③短時間でつくることができる
特に、お好み焼き・たこ焼きや焼きそばといったホットプレートでつくれる料理は、子どもと一緒に楽しくつくって食べているシーンが想定され、自粛要請や在宅勤務、臨時休校・休園の影響により、家族で食事をする機会が増えた状況を反映していることがうかがえます。
一方、1月に比べて4月に10%減少したメニューは、おにぎり(20%減)、お寿司(28%減)のふたつで、個食で食べられがちなメニューが減少したことがわかります。
■2:朝食は「お好み焼き・たこ焼き」が4.7倍!昼食は「ピザ」「焼きそば」「チャーハン」が増加
【図2】~【図4】は、食べる割合の変動が特に大きかった主食メニューの推移を、朝食・昼食・夕食別にまとめたグラフです。
1月に比べて4月で10%以上増加している炊き込みごはん、焼きそば、ピザ、チャーハン、お好み焼き・たこ焼きの5つのメニューと、10%以上減少しているおにぎり、お寿司のふたつのメニューに着目し、それぞれ朝・昼・夕食のどのシーンで変化が大きいのかを分析しています。
増加がみられる5つのメニューは、朝食と昼食で食べる割合が上昇しており、在宅勤務や臨時休校・休園の影響で、朝食・昼食を家族で一緒に食べる機会が増え、一度にたくさんつくれて、取り分けて食べることができるメニューが増えたと推察されます。
一方、減少しているふたつのメニューは、昼食・夕食で食べる割合が減少。おにぎり・お寿司とも「麺類」や「粉もの」に比べてつくる手間がかかる分、これまでと比べて食べる機会が減ったのかもしれません。
■3:男性のお酒を飲む量が減少。女性のお酒を飲む量は大きな変化なし
【図5】は、1日あたりの純アルコール摂取量(g)の推移を男女別にまとめたグラフです。
男性は1月の摂取量が約14gでしたが、2月以上徐々に減少し、4月には約12gと2g減少。一方、女性は4g前後で推移し、増減はほぼ見られません。
自粛要請で接待や仕事仲間との飲み会が激減したことにより、男性のお酒を飲む量の変化が女性よりも大きかったのかもしれません。
【図6】は、1日あたりの純アルコール摂取量(g)の推移を年代別にまとめたグラフです。
お酒を飲む量は各年代でわずかに減少しているものの、もともとの摂取量が他の年代と比べて多い40~60歳代は、1月に比べて4月では1g以上と顕著な減少がみられます。
■4:お菓子を食べる量は男女ともに微増
【図7】は、1日あたりのお菓子の摂取エネルギー(kcal)の推移を男女別にまとめたグラフです。
お菓子を食べる量は男女ともに微増の傾向がみられます。男性は1月の約125kcalから2月にわずかに増加し、4月まで約130kcal付近で推移。女性は1月の約195kcalから2月に約205kcalに増加しましたが、3月下旬からは減少し、1月と同水準に戻っています。
【図8】は、1日あたりのお菓子の摂取エネルギー(kcal)の推移を年代別にまとめたグラフです。
お菓子を食べる量はどの世代でも微増がみられ、減少している年代はゼロという結果に。もともと摂取量が多い20~40歳代では、1月に比べて4月で約5kcal分の微増がみられました。自粛要請や在宅勤務の影響により、普段よりお菓子を食べる機会が増えたと考えられます。
中食では食塩相当量に注意!【管理栄養士の見解】
このような食生活習慣の変化を受けて、女子栄養大学教授の武見ゆかり先生は、次のようにコメントしています。
「ステイホームの生活を余儀なくされる中で、人々の食事内容がどのように変化したかを示す興味深い結果でした。
【図1】より、3月から緊急事態宣言が出た4月にかけての変化が大きいことがわかります。摂取割合が増えた主食のトップ5、すなわち、炊き込みごはん、焼きそば、ピザ、チャーハン、お好み焼き・たこ焼きは、いずれも複合的な料理(穀類の主食に、肉や卵など主菜の材料と、野菜などが一緒に入った料理)で、とくに朝食と昼食で増えています。
一方、白米と食パンの摂取状況は、ほとんど変化が見られません。白米や食パンは、主菜や副菜などのおかずの料理と一緒に、組み合せて食べる主食です。今回の分析は、主食のみに限定しているので、それ以外の料理との組み合わせはわかりませんが、上記の複合的な主食の食事では、他のおかずがなく、それだけで食事を済ませている場合があると推察されます。
その場合、十分な野菜やたんぱく質源の食品がとれているのか、気になります。また、これらの複合的な主食が、家庭でつくったものか、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で買った中食なのかは不明ですが、買った中食の場合は、食塩摂取量の問題も懸念されます。
中食の焼きそば、ピザ、チャーハン等は、既に調味されていて、そこから食塩を減らすことはできません。中食を利用する際は、カロリー表示と共に、食塩相当量の表示を見る癖をつけましょう。
1日の食塩相当量の目標量(上限)は、男性7.5g、女性6.5gです。中食でやや食塩相当量の多い食事を食べたら、次の食事では減塩を心がける等、1日の中でバランスをとるようにしていただきたいと思います」
コロナ下だからこそ『食』でつながろう!【医師の見解】
東京大学大学院准教授・近藤尚己先生は、次のようにコメントしています。
「孤立・孤独は健康に大きく影響することが知られています。高齢者10万人規模の追跡研究JAGES(ジェイジス)では「共食」は高齢者のうつ病や栄養摂取のバランス、そして長生きの秘訣である可能性が示されています。反対に、コロナのせいで孤食になってしまうと、特に高齢のひとり暮らしの男性で危険性が高いことが示されています。
ステイホームでも、『ステイコネクティッド(STAY CONNECTED)』。物理的な距離は一定に保ちつつ「つながりを保つ」ことが大切です。家族との団らんはもちろんのこと、食や会話の機会はしっかりと維持したいものです。
離れていても、最近ではビデオ通話機能が手軽に使えるようになりました。コロナで会えない遠くの家族と『オンライン夕食』などいかがでしょうか」
新型コロナウイルスの影響でライフスタイルが様変わりした、この数か月。食事の献立プランを練るのもひと苦労ですが、食は健康をつかさどる大事な習慣です。
危機的状況が収束したあとに、普段通りの生活を元気な状態で再開できるよう、少しずつ食生活を見直してみませんか。
■調査概要
「新型コロナウイルス流行下での生活習慣の変化」に関する調査
分析期間/2020年1月19日(日)~2020年4月18日(土)。1月~4月までの各月での分析を行いました。ただし1月は、1月1日~1月18日はお正月等の影響で特別な食事メニューが多いことから、 1月19日~31日までの期間としています。
分析項目/食事メニュー(主食)、嗜好品(お酒、お菓子)
分析対象者/「カロリーママ(※1)」「カラダかわるNavi(※2)」「カラダかわるNavi for スポーツクラブ」のユーザーで、 分析・発表の許可を得た利用者のうち、当該期間に食事のデータを30%以上入力した方。 (欠損値は、各ユーザーの平均値を代入して分析しています)
※2「カラダかわるNavi」は2020年5月12日(火)より「カラダかわるNavi for スポーツクラブ」と統合し「カロママ プラス」としてリニューアルしています。
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- Precious.jp編集部