現在のドレススタイルは、様々な国や年代(時代)のテイストをミックスする着こなしが主流になっている。今、注目しているのは、1980〜’90年代に人気を集めた「フレンチアイビー」。昨年頃から再び脚光を浴びて、新鮮に感じられる。
「フレンチアイビー」の着こなしを表現するうえで、欠かせないジャケットは、やはりネイビーのブレザーだ。しかしアメリカ的な要素のアイビーやプレッピーテイストも含んだクラシックなブレザーは、決してその当時のままのスタイルでなく、肩パッドや芯地などの副資材を極力取り除いた仕立てや、やわらかなショルダーラインなど、現代的にアップデートされていなければならない。
それ以外の流れでは、「リゾートテイスト」にも注目したい。特にリネン100%の素材は、これまでのようにシャツに使われるだけではなく、スーツやジャケット、パンツにまで広がっている。また、その爽やかな風合いを実用的に楽しめる、リネンを混紡した清涼感のある素材も目立っている。これもジャケットをはじめ、幅広いアイテムで展開されているのが特徴だ。「リゾートテイスト」を表現するには、これらのリネン素材は欠かせない要素である。
今季はひと昔前のようなステレオタイプなスタイルではなく、様々なテイストをミックスさせた着こなしが主流であり、その個性こそが今の気分を表現する。たとえば一見アメリカンな雰囲気でも、イタリアの仕立てを取り入れるなどして、すっきりとしたシルエットにアレンジするのが現代らしさだ。世界は今確実に、個性を楽しむ時代へと向かっている。文・中村達也(ビームス・クリエイティブディレクター)
ジャケットスタイルは国籍や時代感を超えてパーソナルを表現する時代へ
パリのカフェに集う気分のクールなモノトーンスタイル
左/アイビーやプレッピースタイルの主役は、紺ブレなしにはありえない。ウールとコットンを混紡した、清涼感のある素材の紺ブレに、コットンのチルデンニットを合わせ、シャツはアイビーの象徴でもあるボタンダウンで。紺ブレとの相性がいい、イエローを効かせたレジメンタルタイを合わせ、配色のコントラストを楽しむ。パンツは、今の主流となるベルトレスを選ぼう。
紺ブレを主役にして、現代のプレッピーを気どる
右/大人に似合うフレンチアイビーの筆頭は、モノトーンのスタイルである。ポイントになるのが、チェックのジャケット。大きめのグレンチェックを配したシングルのジャケットに、小さなラウンドカラーの白シャツをなじませ、ブラックのソリッドタイを締める。パンツは、シルエットの太いバギータイプの黒が相性抜群。クールなスタイルのなかに秘めた往時の感性が、今の時代につながるようだ。
往年のボックスシルエットは、洒落者の粋
左/素材やカラーリングに加えて、シルエットも見極められるのが、センスのいい紳士の条件。今季、ゆったりとしたボックスシルエットのジャケットは必須である。選択すべきはウエストの絞りが少ないラインで、比較的肩も大きくつくられた一着。リネンとコットンを混紡した、そんなグリーンのシングルジャケットに、1980年代を彷彿とさせる幾何学模様のシルクシャツを合わせ、テロテロとしたポリエステル混のパンツで流れるようなシルエットを堪能する。プリントのスカーフでさりげないアクセントを。
都会を離れて力を抜き、リラックスしたいときに最適!
右/爽やかなリネン混ジャケットをリゾートで楽しむには、カラーコーディネートも重要なポイントになる。今季選びたい色は、イエロー。差し色によく使う色だが、今季は大胆にジャケットで楽しみたい。選ぶのはリネンとウールをブレンドした生地を使い、シングル3ボタン段返りのデザインで背抜き仕立てにした、軽やかな一着。そんなジャケットにはベージュ系のボーダーTシャツをなじませ、ホワイトリネンのパンツで強烈なコントラストを表現するのがお洒落だ。
※価格はすべて税抜、参考価格です。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2020年春号より
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- PHOTO :
- 渡辺修身(SAMMY STUDIO)
- STYLIST :
- 四方彰敬