「好きなことを仕事にできるなんて、一部の才能ある人だけなんじゃないの?」

そう思う人は多いかもしれません。しかし、『さんまのスーパーからくりTV』や『中居正広の金曜日のスマたちへ』など数多くのバラエティ番組の制作を担当してきた角田陽一郎氏は、新刊『「好きなことだけやって生きていく」という提案』において、「好きなことだけやって生きていく」のに、才能や環境は関係ないと述べています。

では、好きなことだけやって成功を収めている人と、そうではない人にはどのような違いがあるのか? 成功していない人の共通点6つを見ていきましょう。

■1:日々の出会いをムダにする

 

成功するために「人との出会い」を大切にしているという人は多いことでしょう。では、「人との出会いを大切にする」とは具体的にはどういうことなのでしょうか? 異業種交流会に参加すること? もしくは、知人のツテを頼って業界の大物に自分を売り込むこと!?

たしかに、そういう方法が効果を発揮する可能性はゼロでありません。しかし、角田氏によれば、「強いて出会いの機会をつくる」よりも、もっと大切なことがあるといいます。それは「日々、がむしゃらな気持ちを示し続けること」。

「角田さん、僕たちの舞台をぜひ見に来てください!」

人気プロデューサーである角田氏は、駆け出しのタレント、芸人から「売り込み」を受ける機会は少なくないようです。しかし、誘われた舞台を見に行って「おもしろい」という感想をもったとしても、必ずしも新しい仕事につながるわけではないとのこと。

むしろ、何気なく足を運んだり、たまたま目にしたりした舞台で「あっ、この人に仕事を依頼してみよう!」という出会いがあるといいます。つまり、あなたの日々の行動は、いつ誰に見られているのかわからないのです。

芸能界に限らず、ビジネスの世界でも同じこと。人脈を広げることに躍起になったり、面接のときだけいいかっこをしたりするばかりで、日々の業務がおざなりでは、成功への道は閉ざされてしまいます。日々の業務にがむしゃらに一生懸命打ち込んでいると、思わぬ誰かの目にとまって、そこからビジネスチャンスが生まれる可能性があるのです。

■2:すぐに諦める

自分の夢を追い続けようとしても、経済面や家庭の事情で、断念してしまう人は後を絶ちません。しかし、困難に直面するとすぐに「~~だからもう無理」とやめる理由を見つけてしまう人は、一生成功に近づくことはできないでしょう。

もちろん、努力は必ず報われるわけではない。続けたところで成功する保証などなく、何年か先に「もっと早く方向転換しておけば……」と後悔するかもしれない。自分の夢が実現するかどうか、未来を予測することなど誰にとっても不可能でしょう。

しかし、ひとつだけ確実にいえることがあります。それは、「成功した人は、やめずに続けてきた」ということ。困難に直面したら、やめる理由をすぐに見つけるのではなく、「どうしたら続けられるか?」を考えてみましょう。

たとえば、経済的に誰かに支援してもらうことはできないか? 家族をどうすれば説得することができるのか? 「やめる」ことではなく「続ける」ことを前提に考えてみると、何かアイデアが浮かぶのではないでしょうか?

■3:「好きなこと」に縛られすぎる

 

上記ふたつの項目を読んで、「じゃあ、漫画が好きな人は勤め先を辞め、あきらめずにがむしゃらに漫画家を目指し続けるのがいいのか?」などと思った人もいるかもしれません。

しかし、角田氏によれば、「好きなこと」に縛られると、かえって「好きなことだけやって生きていく」ことから遠ざかる恐れもあるようです。いくら漫画が好きだからといって、いきなり今の仕事を辞めて夢を追いかけるのは、現実的な選択肢とはいえないでしょう。

ただ、そこで「好きなことだけやって生きていくことなんてできない」と思っている人は、「夢=好きなこと」という考えに縛られすぎているといえます。「好きなことだけやって生きていく」ための最大のコツ。それは、夢の実現が難しかったり、今、叶えたい夢がなかったりするなら、ほかの「好きなこと」をこれからつくることです。

たとえば、日々の生活や、今やっている仕事のなかに、面白みを見つけて好きになる。今の自分の「好きなこと」にとらわれるのではなく、身近なところから「好きなこと」をどんどん創造していきましょう。

もしかすると、今あなたが先入観で「つまらない」と思っていることでも、見方を変えればあなたの「好きなこと」になり、それがあなたの仕事にもつながるかもしれないのです。

■4:忖度しすぎる

2017年の流行語のようになっている「忖度(そんたく)」。原義は、「他人の気持ちを推し量ること」ですが、角田氏によれば、「頭のいい人ほど忖度力が高すぎて、それが足枷になるおそれがある」とのこと。情報革命が起こり社会状況が劇的に変化しつつある今、昔のルールはどんどん通用しなくなってきています。

それなのに、大企業の社員や国家公務員など、世間的に優秀だとされる人ほど、なまじ頭がいいために、既存のルールに則って、上司や組織の言い分をはからいつつ、物事をうまく調整してしまう。これではイノベーションなど生まれようがないし、もしかすると組織の構造的な欠陥を意識的であれ無意識的であれ、見逃したままということにもなりかねないのです。

もちろん、忖度によって組織が円滑に運営されているという面もありますので、「忖度」がすべて悪いわけではありません。それに、人によっては「忖度」することが、自分の生き方に合っているということもあるでしょう。ただ、「もっとこうしたほうがいいのでは?」「自分はこうしたい」という思いを押し殺してまで、忖度に重きをおいている人は、思い切って「空気を読まない」発言や行動を起こす勇気も必要かもしれません。

■5:「べき論」に縛られすぎる

 

たとえば、学校の試験勉強でいうと、「よい成績をとるにはたくさん勉強すべきだ」といわれます。たしかに、勉強量は多いに越したことはないのですが、この「べき論」に縛られて、試験前日に徹夜の猛勉強をするのはどうでしょうか?

睡眠不足で実力を発揮できなかったり、あるいは寝坊して試験そのものを受けられなかったりしては元も子もありません。ビジネスにおいても、今は書籍でもネットでも「成功の秘訣」という類の情報が氾濫しています。もちろん、そうした情報をどんどんインプットするのはいいのですが、思考停止状態で「べき論」に縛られては、さきに挙げた試験勉強の例のように本末転倒なことになりかねません。

また、「べき論」に縛られる人は、物事がうまくいかなかった場合、自分の問題を省みることなく、「あの情報が間違っていたからダメなのだ」と責任転嫁する傾向もあるといえます。これではいくら知識や情報を仕入れても、自分の糧にすることができないでしょう。

かつては「物知りな人ほどえらい」と知識量が尊ばれる時代もありましたが、今はスマートフォン1台あれば、誰でもいくらでも知識や情報を引き出せる時代です。知識や情報を得ることよりも、それが正しいかどうか、自分にとって価値があるのかどうか、判断する「知性」が求められているといえます。知識や情報を妄信するのではなく、「これってどういうことなのだろう?」という視点をもつようにしましょう。

■6:「自分は特別だ」と思い込む

前項で、「べき論に縛られてはいけない」と述べましたが、情報やアドバイスを妄信するのとは逆に、はじめからシャットアウトしてしまうのも問題です。たとえば、他人の成功や失敗を見ても「自分は違う」。流行りものや誰かが勧めてくれた作品にふれても「つまらない」。

自分の基準に合わないものはなんでも切り捨ててしまうのは、「自分は特別だ」という思い込みが強いせいかもしれません。しかし、そんなふうに否定的にとらえる習慣があると、日々ふれる膨大な情報から何も生み出すことはできません。

人との何気ない会話、ネットやテレビ、新聞・雑誌、自己啓発書……その他、日々の生活のなかで得られるあらゆる情報を生かすかどうかは結局、自分しだい。まずはどんな情報でも、肯定的に受け取って、得た情報について「どうして?」と考えてみる習慣をもちましょう。

 

以上、「成功していない人」の共通点6つに自分が当てはまる項目はあったでしょうか? 今の自分の仕事や生活に行き詰まりを感じている人は、ほんの少し見方を変えるだけで「好きなことだけやっていく」生き方に、近づけるかもしれません。

PROFILE
角田陽一郎(かくた よういちろう)さん
1970年、千葉県生まれ。1994年、東京大学文学部西洋史学科を卒業し、東京放送(TBSテレビ)に入社。 『さんまのスーパーからくりTV』でディレクターに昇格し、さらにチーフディレクターとして『中居正広の金曜日のスマたちへ』(『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』)を立ち上げるなど、数多くのバラエティ番組の制作を担当。 明石家さんまさん、いとうせいこうさん、水道橋博士さん、ユースケ・サンタマリアさん、キングコングの西野亮廣さんなど、数多くの成功をつかんだ芸能人、著名人と仕事をする中で、好きなことだけやって生きていくことの大切さと、そのコツを学ぶ。2016年12月にTBSテレビ退社。現在は、常に「好きなこと」を創造しながら、新しいメディアビジネスをプロデュースし続けている。
『「好きなことだけやって生きていく」という提案』 角田陽一郎著 アスコム刊
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美