富裕層が飼うことが多い高級犬のひとつとして筆頭に上る、サモエド。シベリアの極寒地方に住む、サモエド族という狩猟民族のソリを引いていたといわれる犬種です。
そのサモエドの魅力や性格、価格、飼い方などを、学術博士で犬のしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」を運営する鹿野正顕さんに伺いました。
サモエドの魅力は優雅な姿に柔和な表情
まずはサモエドの飼い犬としての魅力を、鹿野さんにお聞きしました。
「サモエドはシベリア地方でそり犬として活躍するために改良された犬種であるため、寒さに強く体が丈夫なのが特徴です。また、長距離を歩くように改良されたため、体力もあります。
飼い犬として人気を博している理由は、大きな体を持ち、白い豊富な被毛で優雅な姿をしていること。そしてアーモンド形の目と上向きの口角が『サモエド・スマイル』と呼ばれる表情をつくるので、親しみやすい印象を受けることにあると思います。
また社交的ですが、甘えん坊の一面もあり、飼い主さんに従順なのも魅力です」
サモエドの相場価格は30~40万円、100万円以上するものも!
サモエドは、世界の犬種の中でも高額といわれます。その相場価格はどのくらいなのでしょうか? また、なぜ高額なのか、その理由も気になるところです。
「相場は30~40万円ほどで、高額なものは100万円以上です。高額な理由は、頭数が少ないことや、テレビで紹介されたのがきっかけで人気が高まったというところもあるかと思います」
サモエドを飼うときのポイント3つ
もしサモエドを飼うことになったら、どんなことに気をつければ良いのでしょうか? 飼う環境やフード、接し方を鹿野さんに教えていただきました。
■1:飼う環境は外の刺激が少ない場所を選ぶ
「遺伝的にオオカミに近い原始的な犬種なため警戒心が強い一面もあることから、刺激の強い場所、例えば音の出入りが多い、外の環境が見えやすい場所や屋外での飼育などでは警戒して吠えやすくなるため、刺激の少ない静かな場所で飼育するほうが望ましいです。
また、いたずら好きな一面があるため、噛んで誤飲しないように、家の中の片づけを徹底して、コードなど噛むと危険なものは噛めないように、コードにカバーを付けるなどして対応する必要があります」
■2:高品質のフードを、小分けにしてあげる
「サモエドをはじめ、大型犬は胃がねじれる胃捻転(いねんてん)という状態になりやすいため、消化吸収の良い高品質のフードを与えるようにして、食事の直前・直後は運動させないようにしましょう。食事の回数を増やし、一回の食べる量を少なくするのも消化吸収を促してくれます。
また、被毛が密なサモエドは皮膚病などにもなりやすいため、添加物が少なく、良質な脂質と多くのアミノ酸を含む上質なタンパク質を使ったドッグフードを選びましょう」
■3:たっぷりの運動と社会化教育を施す
「サモエドは運動量がある程度必要であるため、毎日の散歩に加え、一緒に遊ぶ時間も増やしましょう。警戒心が強いため、子犬の頃から十分な社会化教育を行い、成犬になってからも刺激不足にならないように飼育することが大切です」
サモエドを飼うときの注意点3つ
続いて、サモエドを飼うときの注意点を鹿野さんに伺いました。
■1:誤飲・誤食に注意し、運動量の確保を
「どの犬種にもいえることですが、誤飲・誤食に気を付けること。また先ほどもお伝えした通り、サモエドは特に十分な運動量を確保し、広い飼育スペースを保ってください」
■2:警戒心が強いため社会化と環境に気を配ること
「サモエドは警戒心が強いため、十分な社会化と日頃の飼育環境に気を配ることも大切です。
犬は生後3週齢から12週齢は社会化期と呼ばれ、自分以外の犬や動物、さまざまな場所などに対する愛着が形成され始めます。そしてこの時期に経験したことは、生涯を通じて慣れ親しむようになります。
社会化期を過ぎ、成長するにつれ、警戒心や恐怖心が強くなってくるため、徐々に慣れにくくなってくることから、子犬の時期に限られた環境で育ったり、他の犬や人との接触が少なかったりすると、成犬になってから、さまざまなものに極度の恐怖心を持つようになり、自分の身を守ろうとして吠えたり威嚇したりするようになってしまいます。
サモエドも、子犬の頃から人間の日常生活にあるドライヤーや掃除機の音、車、自転車、男性・女性、子ども、お年寄りの方などの将来、人社会で遭遇する人やモノ、場所や状況などをたくさん経験させ、十分な社会化をする必要があります。
普段、生活している場所は、犬にとっての縄張りであるため、一緒に生活をしていない人や他の犬が近くに来ると警戒することがあります。特にサモエドは警戒心が強いため、室内で飼育することを基本として、家の外の音が聞こえにくく、家の外の様子が見えにくいといった工夫をすることで、警戒心を和らげてあげることが大切です」
■3:被毛が濃いサモエドは皮膚の疾患に注意
「サモエドは被毛が濃いため、湿度の高い梅雨から夏場にかけては、皮膚の疾患に気を付けて飼育しましょう。室内の湿度管理はもちろん、定期的なブラッシングやシャンプーで清潔を保つことも大切です」
たくましく、飼い主に従順であるものの、甘えん坊な一面もあるサモエド。純白の美しい被毛が上品なこの犬種を買いたくなったら、参考にしてくださいね。
スタディ・ドッグ・スクール
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子、原田恵子(イクシアネクスト)