1983年の創業以来、「北海道の地で本場・ヨーロッパに負けないチョコレートをつくりたい」という想いのもと、オリジナルの商品を製造している「ロイズ(ROYCE')」。「北海道のチョコレートといえば、ロイズ」と言われるほどの地位を確立しています。
生チョコレートやポテトチップチョコレートといった独創的なチョコレート菓子を生み出した「ロイズコンフェクト」広報担当の平井さんに、オリジナル商品の秘密とこだわり、また、コロンビアに持つ自社農園について詳しく伺いました。
「ロイズ(ROYCE')」が独創的なチョコレート製品を生み出す秘密
■1:究極の口どけを味わえる「生チョコレート」誕生のきっかけ
高級チョコレートであるトリュフチョコレートの中に詰められている、柔らかなガナッシュだけを取り出して食べたらおいしいのでは?というアイデアから生まれたという生チョコレート。
「スタッフが視察に出かけたチョコレートの本場スイスで、とても柔らかなチョコレートと出合ったこともきっかけのひとつでした。そこから試行錯誤を繰り返し、北海道の生クリームをたっぷりブレンドすることで、ひと口食べた瞬間から広がっていく、しっとりとした柔らかさ、シルクのようななめらかさを味わえる『ロイズの生チョコレート』が完成したのです」(平井さん)
製品化にあたって、苦労されたポイントはどのような点なのでしょうか?
「生チョコレートと同じような商品はヨーロッパや日本でも一部販売されていましたが、1粒100円、200円もするような高級品でした。ロイズでは原料価格、パッケージ価格を工夫して抑えることで、高品質ながらも気軽に楽しめる価格の生チョコレートを実現しました」(平井さん)
ロイズがこだわっているのは「クオリティ」「オリジナリティ」「プライス」。そのすべてを実現した生チョコレートは、今や北海道を代表するお菓子となりました。そして現在、生チョコレートはたくさんのフレーバーが発売されています。
「生チョコレートは現在、通年で11種類、期間・数量限定のものは年間約15種類のフレーバーを販売しています。北海道はもちろん世界中から選び抜いた素晴らしい材料を使ってつくった、さまざまな生チョコレートの味わいとの出合いを楽しんでいただきたいと考え、日々、多彩な味わいを追求し続けています」(平井さん)
フレーバーの選定基準はどんなところにあるのでしょうか。
「できあがる商品に『感動』と『ストーリー』があるか、という点を重視しています。『感動』があるおいしさに仕上げることはもちろんですが、そのフレーバーをその季節にお客様に届ける『ストーリー』も重視しています。
例えば、クリスマスの季節には[ストロベリーシャンパン]、バレンタインにはシングルモルトウイスキーを使った[山崎シェリーウッド]、春には[桜フロマージュ]、夏には[オレンジ&マンゴー]、秋には[栗]、イタリアンフェア開催時には2層に仕上げた[ティラミス]……など、季節やイベントにあわせたストーリーのある味わいの限定商品を楽しんでいただけるよう、ご用意しています」(平井さん)
「よい素材との出合いから生まれるフレーバーもあります。例えば[シャンパン ピエール ミニョン]や[アイラウイスキー(ポートシャーロット)]、[レミーマルタン XO](限定)などは、世界から選りすぐった名酒の持つ「味わいのストーリー」を生チョコレートで表現しています」(平井さん)
「また、お客様のご要望がきっかけになることもあります。[マイルドカカオ]、[マイルドミルク]、[マイルドホワイト]は『子どもと一緒に楽しめる生チョコレートを』という要望から生まれた、ノンリカーのシリーズです。さまざまな素材・味わいを生チョコレートで表現する、ということは、チョコレートメーカーとしての挑戦なのです」(平井さん)
ロイズの社風が垣間見える生チョコレートのラインナップ。新発売のフレーバーの裏側にあるストーリーを想像してみるのも楽しそうです。
■2:斬新な組み合わせ「ポテトチップチョコレート」のひみつ
ロイズならではの商品として、人気の高い「ポテトチップチョコレート」。斬新な組み合わせですが、こちらができるまでのストーリーはどのようなものだったのでしょうか。
「社長の山崎の『北海道の特産でもあるじゃがいもを使って、ロイズのおいしいチョコレートをかければ、いいおみやげ商品になるのでは』というひらめきから開発が始まりました。
社内では、お客様に受け入れられるだろうかと心配する声もありました。が、『食べると止まらない! クセになる』という評判が口コミで広がり、すぐに人気商品となりました。
発売当初はポテトチップの両面にチョコレートをつけていましたが、甘さと塩味のバランスや食感を考え改良し、現在の片面コーティングになっています」(平井さん)
今では人気の塩スイーツの1種と考えられる「ポテトチップチョコレート」。発売当時は珍しく、都内の北海道物産展に出品すると行列ができるほどだったそう。
ところで、形の定まらないポテトチップに、どのようにチョコ掛けを行っているのでしょうか?
「一枚一枚重ならないよう人の目でチェックされたポテトチップが、カーテン状に流れるチョコレートの下をくぐることによって、片面のみチョコレートがコーティングされます。ポテトチップのギザギザの形は、上から流れてくるチョコレートをしっかり受け止めるための工夫です。
また、たっぷりかかったチョコレートは風をかけてふるい落とし、ポテトチップの塩味とチョコレートの甘さが絶妙なバランスになるように調整します。うまくチョコレートがかかっていないものは、人の手で取り除き、一定の品質を保っています」(平井さん)
手間ひまかけた丁寧なつくり方で、均一な「ポテトチップチョコレート」ができあがっていたのですね。
■3:「ファームトゥバー」の夢を実現するために、自社農園「ロイズカカオファーム」を設立
チョコレートづくりには冷涼な北海道の気候がよく合っていますが、チョコレート原料であるカカオは熱帯で育つ作物。そんなカカオを生産したいと、2014年よりコロンビアに自社農園「ロイズカカオファーム」を設立しています。
「『チョコレートを、カカオ豆からつくりたい』というチョコレートメーカーとしての夢を実現するために、石垣島での試験栽培を経て、世界のさまざまな産地を視察し、行き着いたのがコロンビアでした。最先端のカカオ栽培技術を研究・実践し、カカオ栽培に強い情熱を持つ、よき現地パートナーと出会ったことによります。
また、コロンビアは国際カカオ機関(ICCO)が『カカオ・フィノ・デ・アロマ』と定義する香り高いカカオ豆の有数の産地。しかし、世界に流通する量はまだ多くなく、これからが楽しみな産地と言われています」(平井さん)
カカオ豆の生産から自社で行いチョコレートを生産していくスタイルを「ファームトゥバー(Farm to Bar)」と呼ぶのですが、今、世界中のチョコレートメーカーの夢となっているそう。
「2020年8月現在はロイズカカオファームのカカオ豆を使った商品はございませんが、2018年にロイズ創業35周年記念商品として、ロイズカカオファームのカカオ豆を使った生チョコレートと板チョコレートを期間・数量限定で初めて販売しました。
今後もロイズカカオファームの味わいを皆さまに楽しんでいただけるよう、ファームトゥバーのチョコレートをいろいろと企画中です。
ロイズでは、さまざまなチョコレートの可能性や、素材とチョコレートの組み合わせを試してきました。そのチャレンジから生まれたのが『生チョコレート』や『ポテトチップチョコレート』をはじめとする、現在の200種類以上の商品です。
『まずはやってみよう』というロイズの開発精神で、これからもお客様に『喜び、驚き、感動』を味わっていただけるチョコレートをつくり続けていきたいと思います」(平井さん)
ファームトゥバーのチョコレートをはじめ、驚きのある新商品が手元に届く日を楽しみに待ちましょう。
チャレンジングな企業精神は、ロイズならではの商品に反映されていました。期間・数量限定商品が多いのも、お客様にストーリーを届けるため。
2020年9月には、新フレーバーの生チョコレートが限定で登場予定です。クール便で全国へ発送してもらえるので、自宅から注文も可能です。外出できなくても北海道気分を味わえる、公式オンラインショップをチェックしてみてくださいね。
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- TEXT :
- 田中いつきさん フリーランスライター
- EDIT :
- 小林麻美