品位ある大人の女性なら、ビジネスシーンでも自分と同じように他人のプライドを尊重したいものです。誰かを傷つけて仕事が滞ったり、後で仕返しをされたりするような言動は慎みたいと思っているはずですよね。

それなのに、自分が無意識のうちにとっている言動が、誰かのプライドを傷つけているとしたら……? それはどんな言動なのでしょうか。のべ2000人のコミュニケーションに関わってきた経験をもとに、その人らしい魅力を生かしたコミュニケーションを提案する専門家、吉戸三貴さんにお聞きしてきました。

吉戸さんが指摘するこの8つのよくない習慣を続けていると、人間関係を悪化させる可能性があります。もし思い当たることがあれば、気をつけるようにしていきましょう。

■1:プレゼンなどで上司の発言を遮ったり、違う意見を言ったりする

上司の役割は司令官

「プレゼンなどの場では、上司と自分は同じチームで、上司が司令官だということは抑えておいたほうがいいですね」と、吉戸さん。

まずは、社外ミーティングやプレゼンを行う際は、ゴールと役割分担をちゃんと見極めましょう。

その上で、発言したほうが会社やチームにとって、目標達成に近づくと思う有益な意見やアイデアがあるなら、事前に上司に話して合意形成しておくとベスト。当日の思いつきなら、本当に必要なことなのか、慎重に考えることが大事なのだそうです。

ときには見せ場を上司に譲って、的確にサポートに回るほうが、上司からの評価は上がり、社外からの印象もよくなることがあります。

■2:上司を飛び越えて、上司の上司に進言する

それから、社内における日々の業務では「ある程度、組織の縦ラインは大事にしたほうがいい」とか。

セクハラなどの深刻な問題は例外ですが、仮に自分が係長だとして、業務の相談や意見などを、課長を飛び越えて部長に進言することは、「課長が部下を使いこなせていない」という図式になってしまい、課長のプライドを傷つける結果になってしまいます。

「会社は組織ですから、チームプレーが求められます。サッカーチームに例えると、ゴールを狙うよりはアシストをしっかりしようなど、それぞれにポジションがあり、自分の役割を自覚して行動しますよね。それと同じように、組織全体を俯瞰し、自分の役割を果たすことを心がけるとよいでしょう」

「直属の上司を立てる」。礼儀としてではなく、単純なテクニックとして身につけることで、自分自身も働きやすくなるはずです。基本的には上司を通す。上司の上司に進言するときも、上司が知っている状態で行い、直属の上司をのけ者にしないように気をつけましょう。

■3:自分の得意分野でアピールをし過ぎる

ところで、自分の得意分野で張り切りすぎて、誰かのプライドを傷つけたことはありませんか? 吉戸さんは、こう指摘します。

「仕事はチームプレーですから、100のことができるとしても、状況によっては50くらいしか実力を出さないほうがうまくいくこともあるし、チームや上司に花をもたせたるほうがいいこともあります。得意分野だからこそ、相手のミスに気づいて、追求しすぎるのは、要注意です」

得意だからと常に100%、ときには120%の実力を発揮していたら、自分も息切れするし、相手も疲弊してしまうことに。何より、一緒に仕事をしにくい人と思われてしまう恐れもあります。

「自分が全部をやったほうが絶対にいい、これで間違いない」と感じても、上司の意見を聞いてみたり、同僚や部下に選択をゆだねたりするなど、相手を立てる余裕をもつといいそうです。

■4:相手の思い出話に、自分のもっと強力な体験をかぶせる

相手の話を「乗っ取る」ことによるデメリットとは

気の置けない仕事仲間とのSNSでのやり取りや、何気ない雑談は楽しいものです。例えば、草津温泉に家族旅行をしてきたと話す同僚に、「温泉、うらやましい!」と言いながら、「私は、ドバイの7つ星ホテルでジャグジーに入りながら砂漠の星空を眺めてた」などといったエピソードをかぶせたら、相手はどんな気持ちになるでしょうか。

本人としては、同じ旅行の思い出話で盛り上がったつもりでも、相手が「話を乗っ取られた」と感じるならマウンティングになってしまうし、相手に不快な思いをさせてしまいますよね。SNSであれば、書き込んだコメントを他人の目にも触れることになるのですから、自慢話と誤解されてしまう危険もあります。

できれば、相手の話を引き出すつもりで、「草津温泉には行ったことないけど、おいしいお店とかあった?」などと質問したり、「ちょうど妹夫婦が行くって言ってたから、その温泉宿を教えてあげようかな。●●さんのセレクトなら間違いがないから」などと相手が提供した情報に感謝してみてはどうでしょうか。

「苦にならない範囲で、相手に気持ちよく話してもらう努力をすると、結果的に自分も心地よく過ごせることになりますよ」

■5:言い間違いなどを人前で即座に正す

同僚の言い間違いや、部下や後輩の間違った敬語の使い方などに気づいたとき、人前でも気にせず、条件反射的にぴしゃりと訂正していませんか。

「自分に正義があると思うときほど、相手に余白や逃げ道を残してあげることは、言葉に限らず、本当に大事だと思います」と、吉戸さん。どんなに偉い人でも、人間は万能ではないので、自分だけが正しい、なんてことはありませんよね。自分が間違っていたり、勘違いをしていたりするかもしれません。

だからこそ人前は避けて「私の勘違いだったら申し訳ないのですが……」と、冒頭にワンクッション入れて伝えたり、「私、あれって〇〇じゃなくて、△△だって思ってたかも、ちょっと調べてみるね」などのように自分のこととして置き換えて話したりすると、角が立ちません。

大事なことは、相手をやりこめることではなく、間違いに気づいて同じミスを繰り返さないことなのですから。

■6:部下や後輩に「簡単な仕事」ばかりを頼む

部下や後輩にリスペクトをもち、長所を活かすこと

能力も経験もまだまだ未熟なのが、部下や後輩です。「どうせミスをするから」とか、「どうせこのくらいしかできないから」と信頼せずに、簡単なことばかりを頼んだり、逐一チェックしてアラ探しをしたりする行為は慎みましょう。それでは、部下や後輩の成長は見込めないし、期待されていないと感じて傷つく人もいるはずです。

「性別や年齢、キャリアに関わらず、一緒に働く仲間として、一定のリスペクトをもって、相手の長所を生かすことが大切です。そして、具体的な評価やねぎらいの言葉をかけてモチベーションを引き出せれば、組織全体の成長が見込めますよ」

■7:相手に対して、常に反論ばかりする

部下や後輩、同僚に、「どうせ〇〇なんでしょ」とか「でも、〇〇は……」などの言葉で、反論ばかりしてしまったという経験はありませんか? 何を言っても否定されるとか、ネガティブなことを言われると思うと、人は頑張れなくなります。ましてや、社内とはいえ、同期や仲間の前で否定されたりすれば、自分が評価されていない印象を周りに与えてしまい、プライドが傷つくことにもなりかねません。それでは逆効果ですよね。

まずは相手の頑張りを認めて、いったんは「そうだね」とか、「よくまとまっているね」とか「ありがとう」と受け止めて、その上で「もっとよくするためのポイントをふたつ伝えたいと思うんだけど……」など、改善につなげる切り返しをすると、よいそうです。

そのときは言葉だけではなく、見た目の印象も大事。「うなづいたり、笑顔を見せたり、体をちゃんと相手に向けたりして、聞いていますよ、というサインを送りましょう」

■8:無表情で話を聞く

真剣に話を聞こうとすればするほど、ついつい無表情になったり、眉間にシワを寄せた硬い表情になったりしがち。それが相手からすると、不機嫌や不満と誤解されてしまう恐れがあるのです。

「バカにしているの?」と思われるほど、大げさなうなずきや相槌は考えものですが、「笑顔だと2割増しくらいにしないと相手には伝わらないと言われるように、ポジティブな表情は少し大きめくらいがちょうどいいのです」

とくにパソコンに向かって仕事をしている、スマホばかりを見ているなど、表情筋を使わない時間が長い人ほど要注意です。友だちや家族など、身近な人と話すときに、表情や相槌の練習をしてみるのもいいかもしれません。

 

以上、8つの悪習慣をご紹介しましたが、他人のプライドを尊重し、傷つけない習慣を身につけると、お互いの信頼関係も深まり、仕事がよりスムーズに進むようになります。

やがては、自分自身の負担も軽減し、よりクオリティの高い仕事ができるようになるので、周囲からの評価も上がるでしょう。自分と同じように他人のプライドも大切に扱い、尊重する態度は、会社全体の風通しをよくしてくれますよ。

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PROFILE
吉戸三貴(よしど みき)さん
株式会社スティル代表取締役、コミュニケーションスタイリスト。慶應義塾大学卒業後パリに留学。帰国後PRの世界へ。沖縄美ら海水族館広報、東京でのPRプランナー経験を経て起業。現在は、表参道を拠点に、全国で企業や自治体のPRコンサルティング、ブランディングなどを行う。コミュニケーションに関する講演・執筆活動も。著書に『心に残る人になる たった1つの工夫「ありがとう」の手書き習慣』など。
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『心に残る人になる たった1つの工夫 「ありがとう」の手書き習慣』吉戸三貴・著 イースト・プレス刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
山本裕美