純銀を使ったこのペンはずっしりと重たい。そしてしばらく放っておくと、黒くくすんでしまう。正直いって非常に手間がかかるのだ。しかしそれも無理のないこと。ヤード・オ・レッドのペンづくりは、19世紀半ばからほとんど進化していないのだ。

ヴィクトリアン朝の遺産

ヤード・オ・レッドの『パーフェクタ ヴィクトリアン ボールペン』

●モデル名/『パーフェクタ ヴィクトリアン ボールペン』 ●サイズ/長さ13cm ●重さ/23g ¥100,000(銀座 伊東屋〈ヤード・オ・レッド〉)税抜、参考価格

1822年に創業した金銀細工工房をルーツに持ち、その後繰り出し式ペンシル、すなわちシャープペンの構造を開発したことで、ペンメーカーとしての地位を確立したヤード・オ・レッド。バーミンガムにあるその小さな工房では、スターリングシルバー(純銀)を使い、職人が手彫りによって装飾を施していく。

古色蒼然としたその風景も、そしてヴィクトリアン様式を色濃く感じさせるデザインも、英国が産業革命によって隆盛を極めた19世紀そのまま。進歩や発展など不要とばかりに自らのスタイルを貫くその気高い姿に、現代を生きる私たちは心を奪われてしまうのだ。

関連記事

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2020年春号より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)
STYLIST :
石川英治(tablerockstudio)
EDIT :
山下英介(本誌)