「ザ・ソウドウ東山」は戦前の京都を代表する日本画家、竹内栖鳳の旧私邸兼アトリエ「東山艸堂(そうどう)」跡に作られたイタリア料理店。四季折々に咲く花や緑に囲まれ、それはそれは美しい光景を見ながらイタリア料理が堪能できる稀有な場所だ。
京都、日本家屋のイタリア料理店「ザ・ソウドウ東山」
観光名所である清水寺から二年坂、三年坂を下り高台寺まで来ると「ザ・ソウドウ東山」は目の前だ。もう少し足を伸ばせば石塀小路、祇園と最も京都らしい華やかなエリアも近い。しかし、京都の中心地にありながらも「ザ・ソウドウ東山」に一歩足を踏み入れえるとそこには静謐極まりない庭園が広がっていた。
門に立つ黒服のレセプションスタッフに来訪を告げると、庭園の奥にある京風の邸宅へと案内される。日本家屋にはカーペットが敷かれており、靴のままダイニングルームへと進む。
その内部は純粋な日本家屋なのだが、円形のダイニングテーブルが整然とセッティングされており、どの席からも美しい庭園が見えるようになっている。京都ならではのこの演出。いやがおうにも期待は高まる。この日のランチタイムに試したのは「THE CHEF」6品からなるコースだ。
京都ならではの演出で味わうコース料理
これは京都産鴨のリエットを最中に詰めた一口サイズのアミューズ。「傳」のフォワグラ最中を思い起こさせる。最中の皮というのはイタリアのファイニンダイニング界でも注目されている食材であり、フィンガーフードとして様々な可能性があるのでは、と思う。
暖かい2皿目のアミューズは滋賀県産、ひとくちサイズの子持ち鮎のフリット。軽めのパステッラ、わたたとともに揚げてありほろ苦さが心地よい。
季節の寒鰤のマリネに甘いビーツのピューレとビーツのパウダー二十日大根のスライス、ビネガーで酸を効かせた冷たい前菜。いずれも素材の良さ、シンプルな調理、温度やテクスチャーを考えた構成が素晴らしい。パスタはやや辛いディアヴォラ風のラグー。自家製サルシッチャ=塩漬け風の豚肉粗みじんに酸味がきいたトマトソース、そして滑らかな卵入りの生地。ポーションもよく、キレがある。
メインの肉料理は京丹後高原豚のロースト、部位はおそらくスカメリータ=肩ロース、カリフラワーはピューレとフリット、フォンド・ブルーノのソース。一口サイズに綺麗にまとめた肉料理。最後のドルチェは和栗を使ったプリン、実は生クリームたっぷりのパンナコッタだった。これにキャラメルソース、ホイップ、栗のシロップ煮。これも非常に上質な味わいのドルチェ。
今回初めて試した「THE SODOH」の料理は素材、流れ、調理法などいずれも素晴らしい構成。そして非常にコストパフォーマンスが高い。今京都で行きたいイタリア料理店は「チェンチ」「オルト」「ラ・ロカンダ」など何軒かあるが、「ザ・ソウドウ東山」も以前から注目していた一軒。また次回京都を訪れる際にはこうした京都ならではのイタリア料理店を一軒ずつ試してみたい。
問い合わせ先
- THE SODOH 東山 TEL:075-541-3331
- 住所/京都府京都市東山区八坂上町366
- 営業時間/11:00〜14:30、17:30〜23:00
※営業時間などの詳細は、店舗HPなどでご確認ください。
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- TEXT :
- 池田匡克 フォトジャーナリスト