「秋分の日」は「昼と夜の時間の長さがほぼ同じになる日」として知られていますね。たとえ夏の酷暑が残る毎日であっても、「秋分の日」を過ぎると、「これからどんどん日が暮れるのが早くなり、冬に向かっていくのだな〜」と、秋の訪れを実感するものです。今回は「秋分の日」について、おさらい! 天文学上の「秋分日」や「秋分の日」にまつわる雑学、季節の行事についてもご紹介します。

【目次】

秋分の日とは?昼と夜の時間の長さがほぼ同じになる日です。
秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。

【「秋分の日」とはどういう日?「意味」「由来」】

■「秋分の日」ってどんな日?「意味」は?

「秋分」は二十四節気のひとつで、「太陽が黄経180度の秋分点を通過する日」です。この日の太陽は、真東から出て、真西に沈みます。ご存知のように、夏の間は昼の時間が長く、秋に向けて少しずつ太陽が昇る時間が遅くなり、日が暮れる時間が早くなることで、夜の時間が長くなっていきます。その過程で、昼と夜の時間の長さがほぼ同じになる日、それが「秋分」です。そのため、私たちは秋分を迎えるころになると、本格的な「秋の訪れ」を感じるのです。また、「秋分の日」は、1948年に施行された祝日法(国民の祝日に関する法律)により、「国民の祝日」に制定されています。

内閣府の「各『国民の祝日』について」では、秋分の日を、「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」日とされています。これは、秋分の日が秋のお彼岸の中日(ちゅうにち)にあたることから、お墓参りをする習慣をふまえてのこと。毎年9月23日、24日ごろと、秋分の日の日付が定まっていない理由については後述しますね。

「由来」

「秋分の日」の由来は、「秋季皇霊祭」です。これは、毎年「秋分の日」に、天皇が宮中の皇霊殿で歴代の天皇・皇后・皇親の霊を祭る儀式でう。「国民の祝日に関する法律」施行以前は、「秋季皇霊祭」が国の祭日でした。

二十四節気をおさらい!

二十四節気とは、古代中国でつくられた季節の区分方です。地球から見て太陽が移動する天球上の経路(黄道)を基準に、1年を24等分して気候の推移を表します。従って、各節気の期間は約15日。例えば、「秋分」といった場合、「秋分」に入る日を指す場合と、「秋分」にあたる期間を指す場合があります。

二十四節気の中で重要な節目となるのが、「二至二分(にしにぶん)」と呼ばれる、春分、夏至、秋分、冬至の4つの節目です。春分と秋分は昼と夜の時間が同じになり、夏至は昼の時間が最も長く、冬至は昼の時間が最も短くなる日。また、それぞれの季節の始まりを告げる、立春、立夏、立秋、立冬の4つを「四立(しりゅう)」と呼び、二至二分と四立をあわせたものが「八節(はっせつ)」となります。この八節をそれぞれ3つの節気に分けたものが、二十四節気なのです。


【2024年の秋分の日は「いつ」?】

2024年の「秋分の日」は、9月22日(日)です。

実は、「春分の日」と「秋分の日」は、「国民の祝日」として法律に具体的な月日は定められておらず、天文学上の呼び名である「春分日」と「秋分日」が採用されています。「春分日」と「秋分日」は、国立天文台が毎年2月に公表する暦要項(れきようこう)により、翌年の日付が確定します。太陽の軌道は一定ではないため、「秋分の日」は毎年9月23日、24日ごろと、日付が前後するのです。将来の「春分日」と「秋分日」については、地球の運行状態などが現在と変わらないと仮定して、予想した日付が国立天文台ホームページに掲載されています。2025年は確定されていますが、それ以降は必ずしもこの計算結果の通りになるとは限りませんので、あくまで参考としてご覧になってくださいね。

2025年    春分日:3月20日(木)    秋分日:9月23日(火) ←確定!
2026年    春分日:3月20日(金)    秋分日:9月23日(水) ←予想!
2027年    春分日:3月21日(日)    秋分日:9月23日(木) ←予想!
2028年    春分日:3月20日(月)    秋分日:9月22日(金) ←予想!
2029年    春分日:3月20日(火)    秋分日:9月23日(日) ←予想!
2030年    春分日:3月20日(水)    秋分日:9月23日(月) ←予想!


【「秋分の日」にまつわる「雑学」】

■「秋分日」はどうやって決まる?

「秋分の日」は、法律に具体的な月日は定められておらず、「秋分日を秋分の日とする」ことになっています。そして「秋分日」とは天文学上の呼び名であり、「その年の太陽が秋分点を通過する日」です。

太陽の通り道のことを「黄道」、地球の赤道を宇宙にまで伸ばしたものを「天の赤道」と言います。黄道と天の赤道は互いに傾いているため、2点で交わるのですが、この交わる点の、ひとつが「春分点」、もうひとつが「秋分点」と呼ばれるものです。「秋分」は、太陽が秋分点の上を通過する瞬間のことで、その日を「秋分日」と言うのです。前述の通り、国立天文台が「暦要項」の中で翌年の「春分日」「秋分日」を定めて毎年2月に発表します。

■「秋分の日」と「お彼岸」の関係は?

「秋分の日」は「お彼岸  の中日」でもあります。「彼岸」とは、「春分の日」と「秋分の日」、それぞれを中日とした前後3日間、合計7日間の期間です。お彼岸は年に2回あり、それぞれを「春の彼岸」「秋の彼岸」と呼びます。つまり、「秋分の日」は「秋のお彼岸の中日」というわけです。また、彼岸の最初の日は「お彼岸の入り」、最終日は「お彼岸のあけ」と呼ばれます。

■「秋分の日」を英語で言うと?

「秋分の日」を表す英語表現は[Autumnal Equinox]です。国立天文台のホームページにはこの意味を[Length of day and night becomes nearly equal.]と説明されています。ちなみに「春分の日」は[Spring Equinox or Vernal Equinox]です。

■なぜ「休日」なの?

日本では「祝日法」により、年間16日の「国民の祝日」が設けられています。「国民の祝日」とは、美しい風習を育てつつ、よりよい社会、より豊かな生活を築きあげるために定められた「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」です。そして、同法第3条により、「『国民の祝日』は、休日とする」と定められているのです。

■「シルバーウイーク」の出現は、「秋分の日」の曜日次第って、知ってた?

2024年の9月は、16日の「敬老の日」絡みと、22日の「秋分の日」による3連休が、2週連続でやってくる嬉しい月でした。でも、「シルバーウイーク」と呼ばれる大型連休になる年もあるはず…どうして毎年、「シルバーウイーク」にはならないのでしょうか?

実は「シルバーウイーク」出現のキーとなるのが「秋分の日」。「敬老の日」は毎年「9月の第3月曜日」と決まっていますが、「秋分の日」はその年によって異なります。そして「祝日法」では「ふたつの祝日に挟まれた平日は休日とする」ことが規定されています。従って、9月に「シルバーウイーク」が出現するためには、「秋分の日」が水曜日であることが条件となるのです。「秋分の日」が水曜日なら、「敬老の日」と挟まれた火曜日も休日となり、5連休に! 次に5連休になるのは、「秋分の日」が9月23日(水)になると予測される、2026年の見込みです。

■「秋分の日」にはスピリチュアルな意味も…

秋分の日は、スピリチュアルな世界では、太陽と月の位置などから「転換期となる日」と言われています。 この転換期となる日は、デトックスすることがよいとされています。デトックスの方法はいろいろありますが、秋分の日はお彼岸でもありますから、ご先祖さまお墓をきれいにして供養すると、体や心のデトックスにつながるかもしれませんよ。


【「行事食」は?「秋分の日」の「過ごし方」】

前述の通り、秋分の日は「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」日。それをふまえて、秋分の日の過ごし方をいくつかご提案しましょう。

■お仏壇やお墓をお掃除し、お参りする

秋分の日は「秋のお彼岸の中日」にあたります。お仏壇をきれいにしたり、お墓参りでご先祖様を偲び、供養しましょう。

■おはぎをお供えする

秋のお彼岸の日に食べるものと言えば、「おはぎ」ですね。おはぎには小豆が使われていますが、この小豆の赤い色に、邪気を払う力があるといわれていました。ここから、お彼岸におはぎをお供えするようになったようです。お供えしたあとのおはぎは、必ず美味しくいただきましょうね。

■彼岸花(曼殊沙華)を愛でる

この頃ころに満開を迎えるのが彼岸花とも呼ばれる曼殊沙華です。曼殊沙華は、以前は墓地や田んぼの脇などで、よく見られました。なぜそれらの場所によく植えられているのかというと、彼岸花は特に球根部分に毒の成分が多く含まれており、誤って口にすれば、呼吸困難や痙攣、麻痺などを引き起こす程の猛毒です。この毒を利用して、田畑を荒らすモグラやネズミから、大切な先祖の墓や田んぼを守るために植えられたとされています。

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2024年の「秋分の日」は9月22日の日曜日。この日を堺に、夜の時間が徐々に長くなり本格的な秋を迎えます…迎えるはずです。天気予報でも、22日を過ぎると、気温が30度を超える日はほぼなくなりそうですね。今年は「秋分の日」をことさらに意識して、私たちを取り巻く自然の変化を肌で感じる時間をもってみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /内閣府HP「国民の祝日について」 https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html / 国立天文台「暦Wiki」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FC6F3BDBDBBCDC0E1B5A4A4CEC4EAA4E1CAFD.html /「日の出入り」https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2024/s1301.html :
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