輝きの秘密を知り尽くした究極のダイヤモンドジュエラー「ハリー・ウィンストン」の魅力
アメリカを代表するハイジュエラーとして、世界にその名を馳せるハリー・ウィンストン。
「キング・オブ・ダイヤモンド」と呼ばれた創始者のハリー・ウィンストン氏は、ダイヤモンドへの比類なき情熱と天性の審美眼をもち、その美しさを際立たせる技と様式を確立。デザインについても類いまれなセンスを擁していました。
今もブランドに連綿と受け継がれるダイヤモンドのエキスパートとしてのこだわりと圧巻のセッティング技術をご紹介いたします。
ニューヨークをテーマにした 輝きに宿る独自の様式美
ハリー・ウィンストン発祥の地、ニューヨークをテーマにしたハイジュエリーコレクション。この壮麗なネックレスは、ニューヨーク5番街718番地の本店サロンできらめくシャンデリアにインスピレーションを得て誕生しました。
ラウンド、マーキース、ペアシェイプのダイヤモンドが連なり、光が共鳴して至上の輝きを生み出します。大きさやシェイプだけでなく、ダイヤモンドの品質までもハイレベルでそろえた、ダイヤモンドのエキスパートの名に恥じない完璧な美しさです。
「キング・オブ・ダイヤモンド」が生み出した技術と様式美
ハリー・ウィンストンのダイヤモンドジュエリーは、 なぜこんなにも美しく輝くのでしょう? その秘密を知るには、創始者の物語をひもとく必要があります。
ニューヨークに生まれたハリー・ウィンストン氏は宝石商を営む両親のもとで育ち、幼いころから確かな審美眼を培ってきました。また、ビジネスにおいては天賦の才があり、1920年に28歳でダイヤモンド会社を立ち上げると、当時、公開オークションで最大のダイヤモンドを買い付けるなどし、注目の存在に。
そして、1932年、ハリー・ウィンストンを設立したのでした。
ウィンストン氏はダイヤモンドの原石を見ただけで、それをどうカットし、どんなジュエリーにすべきか即座に判断できたといいます。そうした類いまれな能力によって、ビジネスは拡大。顧客は欧州やインド、イランにも広がっていきました。
やがてウィンストン氏は世界的なダイヤモンドカンパニーと揺るぎない関係を築き、高品質なダイヤモンドを入手できるようになります。また、ウィンストン氏が獲得したダイヤモンドの多くがのちに伝説となり、彼はいつしか「キング・オブ・ダイヤモンド」と呼ばれるようになっていました。
その一方で、ダイヤモンドに比類なき愛と情熱を傾けてきたウィンストン氏は、その美しさを最大に引き出す技術とデザインを自ら発案。それは、ダイヤモンドを極細のプラチナワイヤーでセッティングし、つなぎ合わせていく手法で、最小限の金属しか用いないため、軽くフレキシブルなジュエリーをつくり出すことができました。
また、石を覆う金属が少なくなったことで、ダイヤモンドはその内部に大量の光を取り込み、かつてないほどの輝きを放つようになったのです。この技術によってハリー・ウィンストンは、「ウィンストニアン・スタイル」と呼ばれるブランドを象徴する様式を確立。マーキースやペアシェイプなどさまざまなカットのダイヤモンドをプラチナワイヤーで形づくった「クラスター」は、まさにその様式を用いた代表的デザインといえます。
その最たる魅力は、ジュエリーを肌の上に乗せたとき、ダイヤモンドだけが浮かび上がって見える奇跡のような美しさに尽きるでしょう。ダイヤモンドを知り尽くしているからこそ生まれた独自の技術と様式。それは今、より立体的で複雑なデザインに用いられ、さらなる進化を遂げています。
ここに注目!
威厳と優雅な美しさに満ちた鷲の羽ばたく姿をモチーフに
1900年代前半、マンハッタンのグランドセントラル駅をはじめ多くの建造物の装飾に用いられた鷲のモチーフ。それは「成長、飛翔」のシンボルとして知られ、ニューヨーカーに愛されてきました。
その鷲の翼を想起させるデザインは、曲線を多用することで力強いモチーフをエレガントに。また、あえて濃色を避け、軽やかな色調にこだわったファンシーイエローダイヤモンドがノーブルな華やぎを添えています。
ここに注目!
構築的なデザインが生む 弾ける光のコンビネーション
ラウンド、マーキース、ペアシェイプのダイヤモンドを組み合わせ、高低差をつけてセッティングしたリング。
向きや高さ、微妙な角度までもが緻密に計算されています。光が反射し合うことで生まれる輝きは無限であり、単なる美しさを超えて神秘的です。こうした立体的なデザインはCADと呼ばれる先端技術によって以前に比べ容易になったものの、その完成度を決めるのは、今も職人の手と勘にほかなりません。
裏側は…
ダイヤモンドを際立たせるプラチナ加工の秀でた技術
ダイヤモンドを最高に輝かせる方法を模索し、プロングセッティングと呼ばれる爪留めに着目したハリー・ウィンストン氏。彼はその技術を向上させつつ応用し、プラチナワイヤーを使ってダイヤモンドをつなぎ合わせる「ウィンストニアン・スタイル」を生み出しました。
その素材にプラチナが選ばれた理由は、粘り強い性質によって驚くほど薄く、細く延ばすことができ、小さな爪でもしっかりと宝石を留めることができるため。また、変質や変色の心配もありません。そうしたプラチナですが、融点が高く、加工が難しい素材であることも事実です。
ハリー・ウィンストンのダイヤモンドジュエリーの美しさは、宝石の品質だけでなく、プラチナの扱いに秀でた職人を擁しているがゆえでもあるのです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 戸田嘉昭
- EDIT&WRITING :
- 福田詞子(英国宝石学協会 FGA)