ビジネスの世界でめざましい成功を収め続ける、一流のビジネスウーマンやビジネスマン。仕事もプライベートも充実せず、人生に行き詰まりを感じている普通の人。両者の違いはどこにあるのでしょうか?

アメリカでトップ経営者やアスリートのメンターを務める行動心理学者、スタン・ビーチャム博士の著書『エリート・マインド』によれば、一流の人とそれ以外の人を分けるカギは、いかに無意識をコントロールし、潜在能力を発揮するか?にあるようです。

ただ、この潜在能力という言葉はよく耳にするものの、実際にどう引き出せばいいのかは誰も教えてくれません。一体どうすればいいのでしょうか? 同書の監修者であり、ベストセラー『最強の働き方』『一流の育て方』の著者でもある、ムーギー・キム氏に詳しいお話をうかがいました。

もっと自分を高めたいと思っている女性は、ぜひこの5つのポイントを取り入れてみてください。

■1:自分の「本当に好きなこと」を自分自身の頭で決める

 

自分の潜在能力を発揮するための条件は、きわめてシンプル。(1)自分の好きなことを知っている(2)自分で決断する。このふたつの条件を満すことが、本来の潜在能力を発揮する基本なのです。

まず、あなたが本当に好きなことは何でしょうか? たとえば、ファッションのことを話し出したら止まらない。インテリアについて1日中考えていても飽きない。ペットになら自分の命をかけられる……。誰でも本当に自分の好きなことであれば、放っておいても誰よりも頑張るものです。

また、ふたつめの条件、自分で決断するという点も、潜在能力を発揮するのに不可欠です。人はたとえ自分の好きなことでも、誰かから押しつけられたことには、心から打ち込むことができないでしょう。もし、あなたが自分が深く好きなことが何かすらわからないのであれば、他人の尺度で考えてしまい、自分の尺度で決定できていないのかもしれません。

その場合は、日常生活におけるさまざまな場面で「自分の好きなことは何か?」と自問自答し、自分で決断するように心がけましょう。それこそ、「お昼は何を食べるか?」といったささやかな決断でも、他人任せにするのはやめて、自分の好きなものを自分で決める。

主体的に生きることは、人生の満足度を高め、自己肯定感を高めることにもつながります。自分で決断することは、モティベーションの大きな源泉にもなります。

■2:意識や行動を変えて「無意識の思考癖」を変える

実は、人間の決断や行動の「95%は無意識に支配されている」といいます。無意識・意識・行動の3つはつながっていて、無意識が意識や行動に強い影響を及ぼしているのです。

たとえば、「人前に出るなんておこがましい」「自分がリーダーになるなんてとんでもない」「自分にはどうせできない」といった無意識の思い込みがあるままでは、いつまでも誰かから指示されたことをこなすだけの地位に甘んじることになりかねません。

そこを脱却したいのであれば、無意識の思考癖を変えること。この点については、『エリート・マインド』においても、たくさんの実例が紹介されています。たとえば、スポーツ選手は、単に「メダルを獲得したい」と目標を意識するだけでなく、「自分は必ずメダルを獲得する」という無意識の信念をもってこそ、練習でも本番でもベストパフォーマンスを引き出すことができるのです。

もちろん、無意識とは文字通り、自分が意識していない部分なので、そこをコントロールするのは容易なことではありません。しかし、無意識・意識・行動の3つはつながっているため、意識や行動を変えることで無意識に影響を与えることは、不可能ではないのです。

スポーツの例でいえば、漫然と「オリンピックに出場したい」と思うのではなく、日々「メダルを獲るつもり」で練習に取り組む。すると、練習への意気込みや成果に変化が現れ、やがて「自分は必ずメダルを獲得する」という信念が無意識に刻まれ、ますますパフォーマンスが向上するという波に乗れるのです。

無意識の思考癖を変えるために、意識や行動を変えていきましょう。意識においては、「自分はできる」と強く信じる。行動においては、小さな目標をこつこつ達成していく。これらを日々実践していくことで、あなたの無意識も少しずつ書き換えられていくことでしょう。

■3:誰かから「押しつけられた信念」に縛られない

 

あなたが潜在能力を発揮できない原因……。それは、自分以外の誰かから押しつけられた信念に縛られているせいかもしれません。たとえば、女性は家事、育児に励むべきだ、妻は夫を支えなければならない、せっかく正社員なのだから定年まで勤めあげるべきだ、など。

普段、意識していなくても、こうした押しつけの信念に縛られて、自分の思考や行動に無意識のうちに制限をかけていないでしょうか? 潜在能力を発揮するためには、まずは押しつけの信念について「自分にとって本当に正しいのか?」「その根拠は何か?」と疑ってみること。

これまでうのみにしてきた「~ねばならない」「~べきだ」という価値観のほとんどが、実は裏付けとなる事実がなく、誰かに押しつけられたものに過ぎない……。そのことに気づけば、あなたはこれまでよりも自由に考え、行動できるようになるでしょう。

■4:役割をシェアする

たとえば、自分が好きなことに四六時中かまけて、家の中はちらかり放題、子どもが発熱しても知らん顔……。当然、こんなことが許されるわけがありません。つまり、潜在能力を発揮する=好き勝手に生きるというわけではないのです。

では、自分の好きなことと、やらなければならないことの調和をはかるには、どうすればいいのか? 自分の好きなことにできるだけ時間と労力を割けるように、家事や育児など自分に課せられた役割の一部を“シェア”することを検討してみましょう。

もし結婚されている場合は、シェア先として、まず思いつくのは夫。夫との話し合いで解決するなら、それに越したことはありません。では、パートナーや同居している方が、なかなか引き受けてくれない場合は? この場合は、延々と説得を試みるよりも、家事代行やベビーシッターなど「外部のサービスを利用する」メリットが大きいです。

日本ではまだ「家事をこなせなければ一人前ではない」「育児を家庭外に委託するなんてとんでもない」といった感覚も根強いですが、これらもまた、前述の押しつけの信念の一種といえます。こうした押しつけの信念に縛られて、自分の役割をシェアすることに妙な罪悪感をもち、自分の好きなことをあきらめるなんて、実にもったいのないこと。

アメリカの調査では、家事代行サービスを利用している人の、人生への満足度は「有意に高い」との調査結果も出されています。自分の役割の一部を誰かに分担してもらい、そのぶんあなたの好きなことで能力を生かすほうが、よほど社会的意義が高いのではないでしょうか。

■5:小手先のノウハウばかりを追い求めない

 

巷には、潜在能力を発揮するためのノウハウがあふれています。今、まさしくこの記事を読んでいるあなたも、潜在能力に関心があり、何らかのノウハウを試したことがあるのではないでしょうか。さて、その結果は……?

残念ながら、「~して成功した」という類のノウハウは、ある人には適していても、自分にとって合うとは限りません。というより、万人に当てはまる都合のいい方法など、そもそも存在しないのです。それにもかかわらず、小手先のノウハウばかり追い求める人は、効果が実感できないことで「やっぱり自分はダメだ」と自己評価が下がるという、悪循環に陥りやすいといえます。

この悪循環から抜け出すには、どうすればいいのか? ここまで紹介した4つの項目すべてに通じるのですが、潜在能力を発揮するために何よりも大切なのは、「自分にしっかり向き合うこと」なのです。

もちろん、さまざまな情報にふれて、新しいことにチャレンジしてみること自体はすばらしいのですが、ただノウハウをありがたがるばかりでは、本当の自分に気づくことからかえって遠ざかってしまいます。常に「自分にとってその情報は正しいのか?」「自分の好きなことを自分で決めているか?」と主体的に考える姿勢を忘れないようにしましょう。

今日、人間の仕事の多くが機械やAI(人工知能)でまかなえるようになっています。であるからこそ、これからの社会においては、IQよりもEQの高さが求められ、EQおよび共感力に富む女性の活躍の場が広がるのではないか。そうムーギー・キム氏は主張します。
(EQ=感情指数、感情の知能指数。自らの感情を認識しつつ、自制したり、他者を共感的に理解する能力)

「自分は本当にこのままでいいのか?」と現状に物足りなさを感じている女性は、ぜひこの機会に自分をしっかりと見つめ直し、あなたの潜在能力を発揮する一歩を踏み出しましょう。

PROFILE
ムーギー・キムさん
1977年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA(経営学修士)取得。大学卒業後、外資系金融機関、大手グローバル・コンサルティングファーム、外資系資産運用会社を経て、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。現在、シンガポールでベンチャー投資支援企業を経営。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。3冊の著書は全てベストセラーとなり、『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』『最強の働き方』(ともに東洋経済新報社)、『一流の育て方』(共著、ダイヤモンド社)は6か国語で展開、累計で50万部を突破。
公式サイト
『エリート・マインド 「勝ち抜く」力!』 Dr.スタン・ビーチャム著/ムーギー・キム監修 日本文芸社刊
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2017.9.17 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美