人生100年時代、老後のことも考えて、マンション購入を視野に入れている方も多いのではないでしょうか。しかし、マンション選びを失敗し、後悔している方もいらっしゃるようです。

そこで今回は、宅地建物取引士で「一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会」副代表の白石博美さんに、よくあるマンション購入後の失敗のうち、「マンションの立地」に関する失敗と、立地選びのポイントを教えていただきました。

「女性のためのかしこいマンション購入術講座」で講師を務めながら、20歳代~70歳代の幅広い年代の女性たちのマンション購入に関する相談にのっている白石さんが教えてくれた内容は、とてもリアルです。

そこから、居住用マンションの立地選びのコツを探っていきましょう。

居住用マンション購入の「立地面」のよくある失敗例5つ

居住用マンションの立地選びのコツ1
こんな立地で失敗…(※画像はイメージです)

■1:目の前の建物を想定しておらず南向きが無意味に!

せっかくの南向きの部屋だったが、すぐに目の前の駐車場に同じ高さのマンションが建ってしまって、日当たりが変わった。

■2:買い物の便が悪い

実際住んでみたら、買い物の便が良くなかった。スーパーが帰り道にないため不便に感じた。

■3:「駅から歩ける」と思ったが、売却にも支障が

駅距離は徒歩10分越えでも良いと思って購入したが、雨の日などやはり近いほうが良いし、将来、売却する際に厳しかった。

■4:夜の環境の悪さに気付かなかった

駅からマンションまでの動線に居酒屋ビルがあり、夜は酔っ払いが多く不安になる。

■5:地盤がよくないと後から知った

エリアを気に入って購入したが、後で地盤がよくないと知って、地震のたびに心配になる。

マンションの立地の面で注意すべきポイント8つ

居住用マンションの立地選びのコツ2
立地面で注意すべきは…?

これらの失敗を踏まえると、マンション選びの際に、立地面については何を注意すれば良いのでしょうか? 白石さんに教えていただきました。

■1:マンションの両隣・前後も確認を

居住用マンションの立地選びのコツ3
将来的な環境の変化も見据えて

「月々の支払いが数千円の違いであれば、できれば少しでも上階を購入したほうが、目の前に建物が立つなどしても、環境の変化が起きにくいといえます。マンションの両隣、前後の建物や駐車場に注意を。駐車場や古い戸建てが密集している場合、マンションに建て替わる場合もあります。

物件概要の『用途地域』をチェックして、どんな特徴のある地域なのかを確認したり、日照を確保するための、日影による建築物の高さの制限である『日影規制』の説明を受けたりして、しっかりと確認しておきましょう」

■2:自分のライフスタイルの優先順位を決めておく

「自分の優先順位を決めて、自分のライフスタイルを把握しておく必要があります。眺望は必須なのか、買い物の便はどの程度が必要なのか、コンビニ程度でOKなのか、スーパーでも大型スーパーがあったほうが良いのかなど、できるだけ細かく決めておきましょう。

マンション購入しても住み替えはできますし、ライフプランが変わることもありますので、ずっと先の将来を重要視するのではなく、今のライフスタイルに合う立地を選択するのをおすすめします」

■3:駅までの距離を実際に歩いて確かめる

居住用マンションの立地選びのコツ4
自分の足で歩いてみることが大切

「表記の駅距離とは異なることがあるため、普段利用する沿線・ホームまでの距離を実際に歩いて事前に確かめてみることをおすすめします。信号待ちや踏切、歩道橋などが障害となり、思ったよりも時間がかかる場合もあります。売却時の価格に影響するため、できれば駅から徒歩10分以内がおすすめです」

■4:複数駅、複数路線が利用できる立地を

「結婚や転勤、転職などライフスタイル変化の順応を考えると、複数駅、複数路線、JRとメトロなどが利用できる場所を選んだほうが良いです。また再開発の主要駅まで電車で20分以内のサブエリアはねらい目です」

■5:周辺環境を把握する

居住用マンションの立地選びのコツ5
周辺環境をよくチェックして

「特に知らない土地のマンションを購入するときは、周辺環境を把握することが大切です。昼と夜とでは大きく変わることもありますので、できるだけさまざまな時間帯に下見しましょう」

■6:周辺施設もチェックしておく

「周りにどんな施設があるかを確認しておきましょう。懸念される施設がないかなど、小学校が近くにあれば子どもの声や、大きな病院があると救急車のサイレン音など騒音となる場合があります」

■7:建物管理でわからない点はよく確認を

「特に中古物件の場合、建物管理などが分かりにくいので、分からない点は営業担当者など、プロによく相談してから選びましょう。長期修繕計画の確認、修繕積立金の確認、大規模修繕の実施状況などです。管理の良し悪しは、資産価値を左右する大事なポイントです」

■8:安全な立地のマンションを選ぶ

「地質柱状(ちゅうじょう)図で地盤の固さを、ハザードマップで浸水や液状化の有無を確認し、安全な場所に建つ、災害から自分の身を守ってくれるマンションを選ぶことが大切です。わざわざリスクのあるところを購入する必要はありませんからね」


マイホームとなるマンションの立地を選ぶ際には、今回ご紹介したような失敗と、教えていただいたチェックポイントを踏まえて、後悔のない選択をしたいですね。

白石 博美さん
「一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会」副代表
(しらいし・ひろみ)宅地建物取引士、ライフスタイルコーディネーターとして、代表の小島ひろ美の研究会設立の理念にそって活動。1991年に設立した「女性のための快適住まいづくり研究会」の「女性のためのかしこいマンション購入術講座」で講師を務める傍ら、20歳代~70歳代の幅広い年代の女性たちのマンション購入に関する相談にのり、会員に寄り添ったライフスタイル・プランニングの活動などを行う。ホームページ

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この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、原田恵子(イクシアネクスト)
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