人生100年時代、老後のことも考えて、マンション購入を視野に入れている方も多いのではないでしょうか。しかし、マンション選びを失敗し、後悔している方もいらっしゃるようです。
この女性のマンション購入時のチェックポイント連載では、宅地建物取引士で「一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会」副代表の白石博美さんによるレクチャーをご紹介。前回は、マンション購入後の失敗例から、居住用マンションの立地選びのコツについて教えていただきましたが、今回は「マンションの共用部分」に関する失敗と、選ぶときのポイントを教えていただきました。
居住用マンション購入後にマンションの共用部分で後悔した例
■1:解放感のあるバルコニーは洗濯物が丸見え
バルコニーの手すりがクリアなガラス製で、眺望がよく開放感があったので購入したが、洗濯物が外から丸見えで後悔した。
■2:エレベーターが遠すぎても近すぎても問題あり
- ・部屋からエレベーターが遠く、朝の混雑時間にはタイムロスになる。また休日は外に出るのが面倒になった。
- ・エレベーターの前に部屋があり、エレベーター待ちの人がいるとなんとなく外に出にくい。
■3:ゴミ捨て場の場所やルールが不便
- ・ゴミ捨てが24時間可ではなかった。
- ・ゴミ捨て場が曜日指定になっているため、不便さを感じる。
- ・ゴミ捨て場が、エントランスの外で、雨の日は濡れてしまう。さらに鍵がその都度必要なので面倒。
- ・ゴミ捨て場が駐車場の真ん中にあるため、ゴミ捨てに行く際にも人に合う確率が高いのが失敗したと感じた。
■4:オートロックでも防犯面に不安あり
- ・オートロックのマンションだが、駐輪場や駐車場の出入り口の扉の高さが低く、侵入しようと思えばできそうだったので、防犯面は心配だと感じた。また周りからも死角になる場所だった。
- ・開放廊下で、住んでいる部屋が丸見えになるため、プライバシー上、不安を感じた。
■5:管理費や修繕積立金の負担が想像以上に多い
- ・管理費・修繕積立金が思いのほか高く、月々負担が大きくなった。
- ・普段ほとんど使わないような豪華な共用施設やキッズルームなどがマンション内にたくさんあり、管理費の負担が一般的な平均より大きくなってしまった。
- ・ディスポーザーのための排水処理槽や機械式駐車場などの修繕積立金の上昇が気になる。
■6:共用部分の各所にストレスの種あり
- ・自転車置き場はあるものの屋根が無いため、禁止されている共用廊下に自転車を置いている人がいて、エレベーター乗車の際、迷惑である。
- ・周辺の緑に惹かれて購入したが、共用部分に虫が多い。
- ・部屋の中はきれいでも、ゴミ捨て場や駐輪場などが整理されていない。雑然としている。廊下に個人の荷物がはみ出している。
マンションの共用部分のチェックポイント3つ
これらの失敗を踏まえると、マンション選びの際に、共用部分については何を注意すれば良いのでしょうか? 白石さんに教えていただきました。
■1:エントランスから部屋までをしっかり確認
「エントランスから部屋までのルートをきちんと確認し、共用部分をよく見ましょう。そして四季に応じて環境が変わることを想定して、実際に自分が使用することを想定してシミュレーションしてみる必要があります。
部屋から、エントランス、エレベーター、ごみ置き場などの動線も確認しておくこと。完成物件なら、自分の足で動線の確認もできるのでなお良いですね。オートロックはエントランスだけではなく、非常階段や駐車場・駐輪場の出入り口も確認しておくことが必要です。
他の住人のマナーが分かるので、ゴミ置き場や駐輪場など共同で使う部分も、常にきちんと整理されているか購入前によく確認しておくと後悔する確率を下げることができるでしょう」
■2:管理規約や管理費については万全に
「マンションによって、管理規約は違いますので、必ず細かなところまで確認を。
また管理費・修繕積立金は毎月のことなので、ムリのない資金計画が重要です。金額にかかわるため、必要以上に豪華な共用施設がついていないかも見ておくといいですね」
■3:駐輪場・駐車場の有無や費用の確認を
「駐車場が平置きなのか、機械式なのかのチェックも欠かさずに。機械式の場合、規模はどのくらいかも確認を。利用者が少なければ、その負担が管理費にプラスになることがあるためです」
マンション購入というと、どうしても部屋の中にばかり気が向きがちですが、共用部分もしっかりチェックしておくことが必要であるようです。少しでも後悔の少ないマンション選びをしたいものですね。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子、原田恵子(イクシアネクスト)