昭和12年、妙高山の中腹に開業した、赤倉観光ホテル。赤じゅうたんのロビーに迎えられるホテルでは、源泉かけ流しの温泉が楽しめ、連山の壮大なパノラマビューに心打たれます。運がよければ、一面に広がる雲海のごほうびも。そして今では考えられない、豪快な誕生秘話も、クラシカルなホテルならではの面白みでしょう。

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日本百名山のひとつ、妙高山の中腹にたたずむクラシカルホテル

赤倉観光ホテルの創業者は、帝国ホテルのトップを務め、ホテル・オークラも手がけた大倉喜七郎。川奈ホテル、上高地帝国ホテルに続けて取り組んだのが、こちらです。当時、政府が外貨獲得のために建設を推進していた、国際ホテルのひとつでした。

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1937年に建造後、1966年に今の姿となった本館。そこここに、なつかしい風情が。

喜七郎が土地選びの条件にあげたのが、「三千尺以上の標高があり、野尻湖と佐渡島を眺望すること」。その条件をクリアしたのが、別名「越後富士」と呼ばれる、妙高山の中腹のこの地でした。そして、そこから見える限りの土地を、買えるだけ買ったのです。その広さ、約100万坪!

標高1000メートルのロビーからは八海山や斑尾山などの連山、そして野尻湖も一望。この眺望を前にすると、美しい自然こそが、リゾートホテルにおいて最高のおもてなしであることを、再認識させてくれます。

この絶景を堪能したのは、国内外の賓客たち。その中には昭和天皇・皇后もいらっしゃいました。

その後、ホテルの敷地を含め、国立公園に指定されたことで、これからもこの絶景が約束されています。

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さまざまな表情を見せる自然の移ろいを、ただただ眺める休日に癒されます。

大自然を愛でるためにデザインされた客室

クラシカルモダンな客室は2008年に全面改装した本館に47室、その翌年に新築したSPA&SUITE棟に10室、2016年に増築されたプレミアム棟に19室。

おすすめは全室に露天風呂を備えたSPA&SUITE棟。広々としたテラスに露天温泉と、景色を映す水盤(防犯の役割も)、その先にさえぎるもののない絶景が広がります。

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SPA&SUITE棟のお部屋。ひとり旅にも広すぎず、心地いいサイズ。この開放的な眺めを好きなだけ、どうぞ。

屋内はガス式暖炉のあるリビングと、ベッドルームからなるスイートタイプ。床暖房なので、冬でも裸足で過ごせます。

Aタイプはバスタブの窓を閉められる半屋外、Bタイプは露天風呂、どちらも広さは59平方メートル。Cタイプは露天風呂で、広さはゆったりと70平方メートル以上あります。

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プレミアム棟の温泉露天付きテラスルームP4。リビング、広々!

さらに贅沢な造りなのが、プレミアム棟。13室に露天風呂をしつらえ、ハイエンドの「温泉露天付きテラスルームP4」には、38度に保たれた温水プールも。

広さも他の温泉露天付きテラスルームの約2倍の143平方メートルを確保し、リビングでは圧巻のビューが広がります。2ベッドルームなので、ファミリーやグループでの利用にもぴったりです。

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プレミアム棟の温泉露天付きテラスルームP4には露天温泉に加え、温水プールも。プールは深さ115センチなので、ウォーキングにちょうどいい。

ピーリングと潤いの相乗効果が期待できる美肌の湯

赤倉観光ホテルでは、妙高山北地獄谷で自然湧出する温泉を引き湯しています。約2キロにわたる引き湯管を流れるうちにお湯の温度がちょうどいい塩梅となり、文字通りの源泉かけ流しです。

泉質は“美肌の湯”と呼ばれる温泉でよく耳にするメタケイ酸や炭酸水素塩泉、硫酸塩泉が豊富に、バランスよく含まれています。そのため、古い角質や皮脂を取り除くピーリング作用と、肌に潤いを与える作用、どちらも期待できます。

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館内の温泉はすべて赤倉温泉の源泉かけ流し。こちらは温泉大浴場。

SPA&SUITE棟にある温泉大浴場は温度を保つために、サイズはやや小さめ。湯の花を手ですくい、温泉を楽しみながら、ふと視線をあげると、まるで迫ってくるような山並みの風景。温泉と絶景、自然がもたらす恵に癒されます。

スパは、フランスのコスメブランド、クラランスがプロデュースする「Heavenly view Earth SPA by CLARINS」。連山の眺めや高原の緑の香り、自然が奏でる音を五感を見たし、ゆったりとした呼吸法で身体を整えることから、トリートメントは始まります。

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クラランスによるスパ。地元のプロダクツを使ったメニューも。

シグネチャーメニューには、姫川薬石を使うホットストーンや、越後野草のハーブテントまたは野草シロダーラを含むものなど、大地の恵みを生かしたものもあります。

すべてを覆い隠す一面の雲海も、これまた絶景!

ロビーや2つのレストラン、温泉大浴場、スパ、そして客室、あらゆる場所から楽しめる絶景。それを覆い隠してしまうけれど、それでも見てみたいのが、みごとな雲海です。

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SPA & SUITE棟のルーフトップにあるアクアテラス。水盤の向こうに雲海が。
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プレミアム棟最上階にあるレストラン「アクア グリル ダイニング」

山の中腹に位置し、周囲には2000メートル級の山々や大きな湖、日本海にも近い立地的条件、これに気象条件がぴたりと合致すると、雲海が発生します。

しかも通年、その可能性があり、特に10月下旬~12月上旬の晩秋の朝は期待大(5月中旬から7月中旬の雨上がりも)。ホテルの標高が、雲の下りてくる境界線なのか、雲の海をすぐそばに感じるのも、ポイントです。

問い合わせ先

  • 赤倉観光ホテル
  • 料金/本館デラックスツイン(野尻湖側)¥29,150~、SPA&SUITE棟温泉露天テラスツインB(野尻湖側)¥35,750~、プレミアム棟温泉露天P4(野尻湖側)¥85,250(朝食付き、1室2名利用1名料金)
  • TEL:0255-87-2501
  • 住所/新潟県妙高市田切216

 

この記事の執筆者
ダイビング雑誌の編集者を経てフリーに。海外旅行専門誌でもビーチを担当。月に1~2回、海外を中心に国内外のビーチリゾートへ通うこと、かれこれ四半世紀以上になる。女性誌の旅記事、ライフスタイル誌の連載、ウェブの連載ほか、共著に『奇跡のリゾート 星のや竹富島』など。世界のビーチガイド「World Beach Guide(http://www.world-beach-guide.com ) 」主催 好きなもの:海でボーッとすること、ボディボード、ダイビング、ビーチパーティー、Jazztronik、H ZETTRIO、渋谷Room
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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WRITING :
古関千恵子
EDIT :
安念美和子、榊原淳