日光の中心地を走る、国道122号線沿い。行楽シーズンには往来が激しい道に面しながら、ゲートを越えると、喧噪が後へ遠のき、明治・大正期に迷い込んだような錯覚をおぼえます。皇族ゆかりの田母沢の地に誕生した「ふふ 日光」は、近代日本のノスタルジックな世界観に浸れます。

ふふ日光のエントランス
かつての田母沢御用邸の付属邸の跡地に、2020年10月にオープン。

大正天皇の静養のために建造された田母沢御用邸の付属邸の跡地に、2020年10月に開業した「ふふ 日光」。もとからある樹木をできる限り生かし、近くに流れる田母沢川の川音も届く、豊かな自然が感じられる環境です。

ホテルブランドの「ふふ」では、各プロパティでシンボルマークがあるのですが、こちらはアヤメがモチーフ。平成天皇のご意向で栃木県に贈られたあやめを、田母沢御用邸の襖の引手飾りの型に収めたようなデザインになっています。

エントランスは梅をモチーフにした照明。窓の向こうの中庭には五葉つづじが。
エントランスは梅をモチーフにした照明。窓の向こうの中庭には五葉つづじが。

エントランスをくぐると、天井から下がる梅を模したライトに迎えられます。平安の時代から高貴な花とされた梅に迎えられ、館内へ。ガラスの向こうの中庭に、樹齢350~400年といわれる五葉つつじを望みます。5月に純白の花を咲かせるこの木は、愛子さまのお印でもあります。ちなみに中庭の植物はすべて日本の在来種。日本固有の景色と、いえるでしょう。

明治・大正期を彷彿させる和洋折衷なアンティーク空間

建物は1階建てのメイン棟と、3階建ての宿泊棟、そして温泉の大浴場棟からなり、渡り廊下で結ばれています。

それぞれ日本様式を大切に守りつつ、明治・大正期を思わせる和洋折衷なスタイル。当時、日光は在日大使館員の間で避暑地として人気が高く、外国のハイソな暮らしが入り込んでいました。同時に、日本の昔ながらのスタイルも変わらず守られてもいました。そんな時代背景を投影したデザインといえるでしょう。

ふふラグジュアリープレミアムスイート305号室のリビングルーム
どこか懐かしい明治・大正期のクラシカルな調度品。

明治・大正期の和洋折衷スタイルの客室は、6タイプ24室。同じデザインはなく、家具も異なります。

雪見障子や大正期の碁盤のような格天井といった純和風と、毛足の短いカーペットや鋲止めのソファといった当時の富裕層が好んだ洋風の調度品が組み合わさり、独特なアンティーク空間を作り上げています。

雪見障子の窓辺に、くつろぎの小上がり。
雪見障子の窓辺に、くつろぎの小上がり。
あえて窓のないふふ日光の最上位クラスの客室
あえて窓を作らなかったベッドルーム。照明は雰囲気に合わせて6段階の調節ができます。

広さは56.51平方メートル以上の、すべてスイートタイプ。ゆったりとした間取りで、部屋によってはコの字型のソファなど、余裕あるスペースの使い方をしています。天井のライトやバスルームのラタンのカゴは、どこか懐かしい風情。蓄音機型のスピーカーは、反響させる最新技術と往年のラッパ型部分を組み合わせたハイブリッド仕様です。部屋によっては、栃木産の大谷石がアクセントに使われているのもポイントです。

そんな空間を満たしているアロマは、春の花の高貴な香り、ベルガモット。テーマカラーはかつて天皇しか身に付けられなかったという黄色やゴールド。館内着やバスローブにも、ゴールドの縁取りがされています。オリジナルのロゴ入りカップに、菊をモチーフにしたコースターなど、随所にやんごとなきしつらえ。

ふふ日光のウェルカムスイーツはいちごのホワイトチョコレートがけと紅茶
栃木産の「とちおとめ」のホワイトチョコレートがけと、宇都宮の紅茶専門店によるオリジナルブレンド。

ウェルカムスイーツは「とちおとめ」のホワイトチョコレートがけ。宇都宮の紅茶専門店「Y’s tea」のオリジナルブレンドの華やいだ香りも、旅の疲れを忘れさせてくれます。ちなみに、冷蔵庫の中のドリンクはフリー。水出しのマスカットティーは湯上りに、格別です。

食も和洋折衷。夕食は日本と世界の三大珍味でおもてなし

ぐるりとめぐらせたガラス窓から中庭を望む「ふふラウンジ」は、チェックインをはじめ、滞在中、なにか立ち寄る場所。背もたれの高いボックスシートは、人の目が気にならない工夫がされています。

中央に暖炉を置き、くつろいだ雰囲気のふふラウンジ。
中央に暖炉を置き、くつろいだ雰囲気のふふラウンジ。
ぐるりと窓ガラスで囲まれたふふラウンジは、周囲の景色とシームレスにつながっています
ぐるりと窓ガラスで囲まれたふふラウンジは、周囲の景色とシームレスにつながっています

ふふラウンジでいただくアフタヌーンティーも、テーマは和洋折衷。ねりきりとマカロンが並び、山椒が効いた味噌を使ったトリュフチョコレートといった創作スイーツも。ヤシオマスのサンドイッチや、御用卵を使った焼き菓子など、地元の食材も取り入れられています。4種類の紅茶は、客室と同様、Y’s teaのブレンドティー。優雅な時間を味わえます。

ふふ日光のアフタヌーンティー
ねりきりとマカロン、アフタヌーンティーのスイーツも和洋折衷。

そして夕方のお楽しみは、シャンパンのフリーフロー。ディナーに向かう前に、暖炉の揺れる火を眺めながら一杯。くつろいだ気分で食事に向かえます。

メインレストランの日本料理「節中」では、日本に古来より伝わる季節の“二十四節気”とさらに細分化した“七十二節”の旬を大切にしています。さらに、日本三大珍味のうに、からすみ、このわた、そして世界三大珍味のキャビア、フォアグラ、トリュフを使い、ぜいたくな和洋折衷を、日本料理で仕上げています。

ふふ日光のディナーの八寸は日本の三大珍味が
ボンボニエールの中にうにやからすみなど、日本の三大珍味をおさめた八寸。
ふふ日光のディナーのメインで出される栃木和牛のロースト
焼き物は栃木和牛のロースト。器と料理の組み合わせも楽しめます。
大正天皇即位礼祝宴料理にも出されたエクルビスのばらあげ
大正天皇即位礼祝宴料理に供された“エクルビス”(ざりがに)のばら揚げ。
レストラン「日本料理 節中」は、すべて個室。2名席は並んで窓に向かう、今のご時勢に嬉しい間取り。
レストラン「日本料理 節中」は、すべて個室。2名席は並んで窓に向かう、今のご時勢に嬉しい間取り。

 

すべての客室に自家源泉の温泉。緑に包まれた大浴場は森林浴のよう

すべての客室で地下1500メートルから引いた自家源泉の温泉が楽しめます。2部屋ある「ふふラグジュアリープレミアムスイート」は、桧または石造りの湯船の露天も。そして全室に、ほのかに紅茶とジンジャーが香る、オリジナルのバスソルト「紅茶の香りの湯」が用意されています。

ラグジュアリープレミアムスイートの露天風呂
2室のみのふふラグジュアリープレミアムスイートの露天風呂の桧風呂バージョン。

大浴場棟の露天風呂は、緑に包まれ、せせらぎの音が届きます。見上げると梢の先に空も覗き、木漏れ日の中、森林浴気分で湯あみができます。

大浴場棟の露天の女湯入口
渡り廊下で結ばれた、大浴場棟。
ふふ日光の大浴場の露天風呂
緑に目隠しされて見えないけれど、せせらぎが湯船まで運ばれてきます

大浴場棟の露天風呂は、緑に包まれ、せせらぎの音が届きます。見上げると梢の先に空も覗き、木漏れ日の中、森林浴気分で湯あみができます。

明治・大正から昭和にかけて皇族が愛でた、日光の自然に抱かれる休日。特別な時間が待っています。

 

問い合わせ先

ふふ日光

料金/スタイリッシュスイート¥77,300~、プレミアムスイート¥115,800~、ふふラグジュアリープレミアムスイート¥242,300~(税サ入湯税込)
TEL:0288-25-5122
住所/栃木県日光市本町1573-8

 

※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では一部情報が変更となる可能性があります。公式HPなどでご確認ください。  

 

この記事の執筆者
ダイビング雑誌の編集者を経てフリーに。海外旅行専門誌でもビーチを担当。月に1~2回、海外を中心に国内外のビーチリゾートへ通うこと、かれこれ四半世紀以上になる。女性誌の旅記事、ライフスタイル誌の連載、ウェブの連載ほか、共著に『奇跡のリゾート 星のや竹富島』など。世界のビーチガイド「World Beach Guide(http://www.world-beach-guide.com ) 」主催 好きなもの:海でボーッとすること、ボディボード、ダイビング、ビーチパーティー、Jazztronik、H ZETTRIO、渋谷Room
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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