小泉今日子はなぜいつも旬なのか kyokokoizumi 小泉今日子


小泉今日子が止まらない! 朝ドラの大ヒット、個人事務所立ち上げに続き、2016年は特集雑誌が入手困難となり、6月には初の舞台演出&プロデューサーデビューも。

書籍も花盛りで、まず『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』。彼女と同世代の書き手による豊富な情報と分析の名言が読みどころ。私のお気に入りは「言われたとおりにやってはみるが、言いなりにはならない」。これぞ彼女の核である。


裏打ちするエピソードが、『小泉今日子 書評集』にある。巻末の新聞記者との対談で、彼女は連載紙の書評者たちが集まる会議に出たとき、私がここにいる意味はなんだろう、と考えたという。たとえば松田聖子がどこかに呼ばれ、その意味を聞かれたら「だって私は松田聖子だもの」と言うだろう。だれもが思うとおりに、場に君臨する。それが松田聖子のあり方だ。

小泉今日子は違う。「名前が欲しいだけの書評なら嫌」と考えた彼女は打ち合わせで、内容が伴わなければボツにしてくれと言い、担当者との間で「ボツは絶対ありません」「いや、ボツにして」の押し問答が続いたという。

最新エッセイ『黄色いマンション 黒い猫』に書かれているのは、残酷だったり心もとなかったりする思い出。小泉今日子はあの時代の嫌な汗、怖さを今の自分にぶつけている。まるで、現在の強度を試すみたいに。

アイドルの役割はノスタルジーを与えるか(松田聖子や中森明菜)、近未来に連れていくか(きゃりーぱみゅぱみゅやPerfume )。つまりファンに現実を忘れさせることだ。でも小泉今日子はいつも現在(オンタイム)に乗っている。今だって悪くないよ、とチャーミングに笑ってみせる。

名は体を表すとはよくいったもの。そう彼女は小泉「今日」子なのだ。

 

この記事の執筆者
岩手県生まれ。幼いころから「本屋の娘」として大量の本を読んで育つ。2011年入社。書店勤務の傍ら、テレビや雑誌など、さまざまなメディアでオススメ本を紹介する文学担当コンシェルジュ。文庫解説に『タイニーストーリーズ』(山田詠美/文春文庫)、『母性』(湊かなえ/新潮文庫)、『蒼ざめた馬』(アガサ・クリスティー/早川クリスティ―文庫)などがある。 好きなもの:青空柄のカーテン、ハワイ、ミステリー、『アメトーーク』(テレビ朝日)
クレジット :
撮影/田村昌裕(FREAKS) 文/間室道子
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