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人生相談って「お年寄りが新聞に投稿するもの」という地味なイメージを持ちがちだけど、最近、町田 康、津村記久子という名うての芥川賞作家が続けて「悩み」に向き合う本を刊行。

町田さんの『人生パンク道場』は文芸誌の連載で、読者からの投稿に答える形式。津村さんの『くよくよマネジメント』はだれかの相談に乗るものではなく、彼女が自分のくよくよしがちな性格をとことん分析。人生相談されてもいないのに、答えを出しちゃったような味わいがすごい!

2冊の共通点は、「この悩みの何が悩みなのか」に迫っていること。キャリア世代って、仕事では上司からも部下からも、家族だと親からも子供からも(そして夫からも!)、つまり上からも下からも(横からも!)、悩み事を打ち明けられがちだ。で、たとえば後輩からの「家族が冷たい」という相談をよくよく聞いてみると「母が洋服代を貸してくれない」という「金かい!」だったりする。また、夫の「新規プロジェクトが不穏」という悩みも、「実はグループ内のふたりが以前、男女の仲でさ」などという「恋愛かい!」だったりするのだ。

うなずく方も多いと思うが、相談してるくせに悩みを隠そうとする人間は多い。プライドかもしれないし、本当に悩みの核心にたどり着けないでいるのかもしれない。ただの愚痴なら疲れるだけだが、他人の悩みは実は貴重。だからこそ新聞や雑誌に人生相談がある。読んで絶望的な気持ちになるものは載らない。だれかの悩みは必ずだれかの糧になる。人生相談はエンタメなのだ。町田さんの、相談者以上ののめり込みぶり、津村さんの「“くよくよ”と“さばさば”に貴賤なし」「明日の自分を接待する」などの名言にシビれよう!

この記事の執筆者
岩手県生まれ。幼いころから「本屋の娘」として大量の本を読んで育つ。2011年入社。書店勤務の傍ら、テレビや雑誌など、さまざまなメディアでオススメ本を紹介する文学担当コンシェルジュ。文庫解説に『タイニーストーリーズ』(山田詠美/文春文庫)、『母性』(湊かなえ/新潮文庫)、『蒼ざめた馬』(アガサ・クリスティー/早川クリスティ―文庫)などがある。 好きなもの:青空柄のカーテン、ハワイ、ミステリー、『アメトーーク』(テレビ朝日)
クレジット :
撮影/田村昌裕(FREAKS) 文/間室道子
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