ドイツのものはいつも徹底して機能的だなと、感心してしまうことがあります。それはこんな小さなウォータージャグにも感じます。ウォータージャグの使命は、ストレスなく卓上で飲み物を注げること。そのことに集中しているのが好きなのです。

WMF(ヴェーエムエフ)のウォータージャグ カラフェ ブラック 1.0L[直径9.9×30.4cm]¥8000・0.75L [直径9.5×25.5cm]¥7000 (ともに税抜)
WMF(ヴェーエムエフ)のウォータージャグ カラフェ ブラック 1.0L[直径9.9×30.4cm]¥8000・0.75L [直径9.5×25.5cm]¥7000 (ともに税抜)

食卓に置かれたウォータージャグは、席のあちこちから手が伸びます。喉が渇く日ならなおさら。このジャグは360度、どこからでも飲み物が注げ、取っ手や注ぎ口の向きを直す必要がありません。

傾けると、中央のスリットがふいっと開くのですが、真ん中の黒く丸い重りはそのバランスをとるためのもの。黒いボールの重りが、手に収まりやすいようにくびれたフォルムのガラス瓶の中央にあることが、このジャグを建築のように見せています。これがドイツ人の美意識。

WMF(ヴェーエムエフ)のウォータージャグ「カラフェ」でお水を注いでいるところ
WMF(ヴェーエムエフ)のウォータージャグ「カラフェ」でお水を注いでいるところ

これをつくったWMF(ヴェーエムエフ)は、ドイツのキッチンウェアのブランドです。それまで花柄やレース柄など、色彩豊かだったテーブルウェア(日本で言ういわゆる洋食器たちですね)から一線を画して、バウハウスの影響を受け、ステンレスで無駄のないデザインの世界を食卓に展開したメーカーとして知られています。このジャグも、注ぎ口の中央にWMFというロゴが慎ましく記されています。

そしてこれを買って箱を開けたとき、キャップのステンレス部分が薄紙できれいに包まれて梱包されていました。その丁寧な仕事に、大切に使いますよ、と思わせられたのです。

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この記事の執筆者
早稲田大学文学部卒業後、インテリア専門誌『室内』に入社。独立後は住まい、暮らし、インテリア、デザインの分野で編集執筆、セミナー活動を行う。取材で訪ねた住宅とキッチンは300件以上。海外のキッチンとインテリアの取材も多数。大人の女性が本当に欲しいキッチンとインテリアを考える、専門ムック&ウエブマガジン『REAL KITCHEN&INTERIOR』(小学館)で活躍中。 好きなもの:フィギュアスケート観戦、泡の出るお酒、おいしい食べ物、焼き鳥、キッチンとインテリアに関わるもの&こと、シンプルだけど形のいい服、ノーメイク、三毛猫、アストラッド・ジルベルト、ドイツ、イタリア、北欧、ひとりで過ごす時間、颯爽と歩くこと
公式サイト:REAL KITCHEN&INTERIOR
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文/本間美紀