美文字は「繰り返し書いて手に覚えさせる練習をしないと、習得できない」と思っていませんか?
文字の書き方は、自分のスタイルが染みついてしまっているもの。それゆえ、美文字への矯正には時間が掛かると考えがち。しかし、萩原季実子さんいわく「ちょっとしたポイントを押さえるだけで、美しい大人文字に変身しますよ」と言います。
早速、具体的な4つのメソッドについて紹介してもらいました。これは誰でも一瞬で美文字を書くことができるため、いま数々のメディアで取り上げられて話題沸騰中。ぜひ早めに取り入れて、読みにくいクセ字を脱却しましょう!
■1:大人の美文字は“しなり”が肝心! 「一、二、三」でヨコ線をマスター
漢字には、漢数字「一、二、三」の要素が多く含まれます。そこで、この3パターンのヨコ線の書き方をマスターすることで、落ち着きのある漢字を書けるようになります。ポイントになるのは、ヨコ線の“しなり”です。真っすぐな線ではなく、それぞれしならせた線を書くことで、大人っぽい印象を持たせることができるのです。
「パソコンやスマホの文字ばかりみていると、ヨコ線をまっすぐな一本線だと認識してしまいますよね。たとえば、『生』という字を書く場合、3本あるヨコ線をまっすぐにしてしまうと、子供っぽい印象を与えてしまいます。
また、よく見受けられるのが、ヨコ線が右ななめ上にはねていたり、逆に下がってしまっていたりと、同じ方向に流しているケースです。それにより、クセ字の印象が強くなってしまうので、まずはヨコ線の方向や書き方の違いを明確にすることで、文字に大人らしい品格を与えることができるのです」(萩原さん)
■2:斜め45度の「打ち込み」が、エレガントな漢字へと導く
まっすぐなタテ線・ヨコ線ではなく、毛筆のように書き始めに「打ち込み」をつくると、落ち着きを感じさせる文字になります。そこで、最初に斜め45度に打ち込みを入れてから線を書き出しましょう。
「漢字は書き始めの位置に斜め45度の打ち込みを入れると、フォーマル感を出すことができて、大人っぽい印象になります。書道でも同様の仕草はありますが、ペン字でも打ち込みを入れると動きが出てくるため、メリハリを出すことができます。
ただし、ひらがな・数字は例外です。このふたつに打ち込みをつくると、ひらがなは逆に子供っぽい印象になったり、数字は読み間違えてしまったりするので、ためを入れずに書き始めることを意識してみてくださいね」(萩原さん)
■3:囲みのなかにあるヨコ線は、スキマをつくって抜け感を演出
上品な印象を抱かせる字には、どことなく「こなれ感」が漂っているものです。そこでポイントとなるのが、囲みの中にあるヨコ線を、囲みにきっちり触れさせないということ。ヨコ線の両サイドに余白を持たせることで、抜け感を出すことができます。
「囲みにヨコ線を触れさせることで、きっちり感は伝わりますが、どことなく窮屈そうな印象になってしまいます。大人のこなれ感は、両脇にスキマを入れることで演出できます。いわゆる引き算メイクと同じで、スペースをインクで埋め過ぎず、わずかに量を減らしていくテクニックです。これにより、漢字全体の雰囲気が抜群に大人っぽい仕上がりになります」(萩原さん)
■4:「しかく」要素の漢字は、逆台形で引き締めてしなやかに
「正方形」のように四角い漢字はタテ線を真っすぐおろすのではなく、徐々に面積が小さくなるようにすぼめて「逆台形」にします。こうすることで、漢字全体の印象が引き締まり、大人っぽい雰囲気を漂わせることができます。
「漢字は『口(しかく)』の要素が出てきます。たとえば、『申』や『田※』といった、よく見慣れた漢字も『口』を多用していますよね。
そこで、この『口』の角を90度の正方形にするのではなく、下部が段々と狭くなっていく逆台形を意識してみてください。そうすることで、漢字が引き締まり、直線的ではなく動きのあるしなやかな印象へと変わります。底辺がない『高』や『南』にも応用してみましょう」(萩原さん)
この4つのメソッドを意識するだけで、どんな人でも自分の字が見違えるほど綺麗になるとのこと。ちなみに、より早い上達のコツは「人に見せること」。手帳やメモ書きだけで練習するのではなく、お礼状や手紙などを手書きに代えることで、緊張感や集中力も高まり、何度も繰り返し練習するよりも効果が得られるそう。
「1日1回、会社での伝言メモを綺麗に書く、資料に一筆箋を入れて送ってみるなど、誰かに文字を見せるタイミングをつくることを心がけてみてください」と萩原さん。今すぐにでもトライできる美文字メソッドで、思わず自慢したくなるような、大人の品格漂う筆跡を手に入れてみてくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 末吉陽子