ひとたび纏えばたちまちオーラに包まれる、まさにそんなジュエリーを、137年間絶えることなく生み出し続けるブルガリ。その魅力が最もラグジュアリーに表現されているハイジュエリーに、新しいコレクション「マニフィカ(MAGNIFICA)」が登場しました。
ミューズにインスピレーションを得たピースや珠玉の石を主役としたジュエリーなど、どれもアートピースのような格別の存在感を湛え、人々を虜にします。
では、「マニフィカ」コレクションの圧倒的な美しさの秘密はどこにあるのでしょうか。ディレクションを担うルチア・シルヴェストリ氏のインタビューと共に解き明かします。
ブルガリの美の頂点を極めるハイジュエリーコレクション「マニフィカ」
永遠の都ローマに生まれ、137年もの長い時を経てなお、人を魅了するジュエリーを創り続けるブルガリ。その真髄を堪能できるハイジュエリーコレクションが「マニフィカ」です。一点一点が放つ圧倒的なオーラは、比類のない宝石、この上ない創造性、卓越したクラフツマンシップがみごとな調和を奏でる、ブルガリでならではのもの。
コレクションは全122点のジュエリーで構成され、60点以上のミリオネアピースも含まれます。製作時間は延べ何十万時間にも及び、いずれの作品も、練達の職人たちがすべて手作業で精魂込めて作り上げています。
それぞれのジュエリーには、ブルガリが世界中で出合った希少な宝石が用いられています。そうした貴重な自然の贈り物を、ときに強く美しいミューズたちへの賛歌として、アートピースさながらの究極のジュエリーへと昇華させたコレクション「マニフィカ」。時を超えた輝きで、纏う人の魅力を映し出します。
ミューズのひとり、バロック期の女性画家から着想を得て
そんな「マニフィカ」コレクションのジュエリーやインスピレーション源となったミューズ、珠玉の石などについて、ルチアさんにお話をうかがいました。
「ブルガリのジュエリークリエイションを象徴づける3つの要素は、デザイン、クラフツマンシップ、そしてジェムです」と語るルチアさん。日本の女性に詳しく紹介したいジュエリーは? という問いにまず挙げてくれたのが、「プロディジャス カラー(Prodigious Color)」です。
「3要素を兼ね備えた“ブルガリの代表的なクリエイション”のひとつで、アルテミジア・ジェンティレスキというバロック期の画家の作品にインスピレーションを得たネックレスです。彼女の人間性、生き方、そして強さに魅了され、本コレクションにおけるミューズのひとりに選びました」
ジェンティレスキは17世紀に活躍したカラヴァッジオ派の画家で、作品を通して女性が社会で果たしている重要な役割に新しい光を当てました。
「このネックレスでは、5石の色石に施したカボションカットの柔らかな曲線で、彼女の絵画に見る色の柔らかさを表現しています。ミューズから着想を得たジュエリーのなかでも、ブルガリらしさが凝縮されている一点です」
ジェンティレスキ作品の色使いをジュエリーで表現
カボションカットのエメラルド、ルビー、サファイアが鮮やかに際立つ「バロッコ スパイラル(Baroque Spiral)」も、ジェンティレスキの作品に着想を得たジュエリーです。
「このネックレスもまたブルガリらしさが凝縮されたデザインで、ブルガリのヘリテージコレクションの、カボションカットの石をあしらったジュエリーを想起させるもの。ブルガリは貴石にカボションカットを用いた初のジュエラーだと思っています」
と、ルチアさんが語るように、かつてどのジュエラーも、ファセットを見せるカッティングしか施さなかった時代に、ブルガリは独自のクリエイションを実現するためカボションカットというユニークなカッティングを始めたのです。
「そしてこのジュエリーでは、ジェンティレスキの作品に見られる色使いと、柔らかな印象をもたらすテクスチャーをカボションカットの色石で表現してみました。フェミニンさに溢れ、幾何学的模様でありながらもしなやかさも感じていただけるデザインで、エメラルド、サファイア、ルビーという色の組み合わせは典型的なブルガリ・クリエイションです」
運命的に巡り合った5石のパライバトルマリン
さらにもう一点、日本の女性にぜひご紹介したいジュエリーとして挙がったのは、珠玉のパライバトルマリンをあしらった「メディテレニアン クイーン(Mediterranean Queen)」。5石のパライバトルマリンは総計470カラットを超え、それぞれ1石ずつ個別のジュエリーにできるほどのジェムです。
「これほどまでの珠玉の石たちをひとつのピースにまとめる大胆さこそがブルガリであり、ブルガリのDNAなのです。このクリエイションを通じて、ブルガリの豊かな創造性とクラフツマンシップを感じていただけるかと思います。またビッグカラットの石でありながら、セッティングにより軽やかな印象に仕上げている点にもご注目ください」
何十年にもわたり、ブルガリ・ファミリーとともに、ジェムのバイイングにも携わってきたルチアさん。この5石のパライバトルマリンとの出合いにはどのようなストーリーがあるのでしょうか?
「まずセンターにあしらったパライバトルマリン1石に出合い、その美しさに魅了され、すぐさまデザインを創造し始めました。その2週間後、別ルートでさらに2石と出合います。
偶然にもその2石が最初の1石と同じ色合い、同じカットだったのです。2石を目にした瞬間、この3石はひとつのジュエリーに一緒にあしらうべきだと直感しました。そして当初考えていたデザインを一旦白紙に戻し、3石を用いたデザインを考えることに。
ところが2か月後、さらに別ルートでパライバトルマリン2石に出合いました。これがまたしても最初の3石と同じ色合い、同じカット。このとき、5石をすべて用いて『広大な海』を表現する1ピースを作るべきだと確信したのです」
ルチアさんにとって「広大な海」とはサルデーニャ島の海。その海からインスピレーションを得てデザインしたというこのネックレスには、「マニフィカ」コレクションらしい、圧巻の逸品を作りたいという思いが込められています。
心を突き動かされた131カラット超のスピネルが際立つネックレス
「デザインを考えるときには、まず石に宿る個性や石が生まれるまでの月日を想像し、石の周りにあしらうものを想像します」というルチアさんには、珠玉の石との出合いが数え切れないほどあります。「インペリアル スピネル(Imperial Spinel)」ネックレスに用いられたスピネルもそのひとつです。
「2019年、コレクターの方から、『所有しているなかでも特別なこのスピネルをジュエリーにしたい。スペシャルなピースにするならブルガリにお願いするしかない』とご連絡をいただきました。131カラットを超える珠玉のスピネルがあるというのです。
大きさは確かに類を見ないものでしたが、クオリティ面はどうなのか少し不安に思いました。でも動画を見せていただいた瞬間、その美しさに心を奪われたのです。実際に手にとったときには、何か特別なものを作らなくてはと、沸き起こる感情に突き動かされました」
そして、ブルガリらしいタイムレスな美しさに溢れるピースにするため、ブルガリの典型的な組み合わせである、エメラルドのビーズとダイヤモンドを合わせることに。周囲にセットしたダイヤモンドにはラウンド、バゲット、アッシャーカットと異なるカッティングを施しており、まさにブルガリのクラフツマンシップを体現する一点となりました。
ジュエリーとは、個性を表現するために身につけるもの
最後に、ルチアさんにジュエリーの装い方についてのアドバイスを尋ねました。
「ジュエリーは日常になくてはならないものですし、毎日のスタイリングにおいても欠かせません。ですから型にはまったつけこなしをする装飾品ではなく、纏う方の個性を表現するもの、その方のキャラクターを構成する要素のひとつとしてとらえてください。
フォーマルな場だけではなく、昼夜通して、太陽の下でも、ご自身のスタイルを表現するものとして、自分らしくジュエリーをつけていただきたいと思います。特にブルガリは、ジュエリーそのものを、そしてジュエリーの美しさを、楽しんで纏うことをおすすめしたいですね」
まるで美術館で目にするような、華麗でラグジュアリーなブルガリのハイジュエリーコレクション「マニフィカ」。その一点一点の背景には、深く豊かなストーリーが秘められていました。
これらのハイジュエリーを実際に身につけることはなくても、ルチアさんのアドバイスは、手持ちのジュエリーにも共通するもの。型にはまることなく、自由にジュエリーを楽しむ…それが纏う人を輝かせる秘訣のようです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 髙橋真理子
- EDIT :
- 谷 花生