私の大切なもの──シンプルで気持ちのいい、清潔感のあるファッション

報道の世界に入ったばかりの20代のころは、バブルまっしぐらのボディコン時代。派手な原色のスーツなどを着ていましたが、30代ではその反動でぐっとミニマムに。アクセサリーもつけずに、テーラード・スーツにタンクトップのみという感じでした。

40代になると体型の変化からいろいろ悩み、50代後半の今はシンプルで気持ちのいいもの、清潔感のあるスタイルが好きになりました。

エムフィルやマディソンブルーが好きと語る安藤優子さん

国内ブランドでは、エムフィルやマディソンブルーなど、大人のカジュアルを可能にしてくれるブランドが好きです。ショップは気の向くままどこでものぞきますが、ウィム ガゼットやザ シークレット クロゼットなど、リアルクローズがそろうお店を訪ねることが多いですね。

アイテムでいうなら、紺ブレ、襟ぐりのつまった白いTシャツ、マキシ丈のカジュアルワンピースが、私のファッションの定番です。

セリーヌの紺ブレと、デニム/ともに安藤さん私物

なかでも紺ブレは、私にとって永遠のアイテム。小さなころからネイビーが好きでしたし、黒だとちょっと強すぎるんですね。特にダークネイビーのものは何でも好きで、ブレザーはちょっとしたデザイン違いで何枚も持っているほどです。

このセリーヌの紺ブレはずいぶん前のものですが、前を留めずに着るデザイン。紺ブレはボタンを外して着ることが多いので、その点でもぴったりだし、ワンピースにはおっても、ジーンズに白Tシャツで合わせてもサマになる万能選手なんです。何年経っても古くなりません。

GAPの半袖Tシャツ(左)、ブルネロ クチネリの長袖Tシャツ(右)/ともに安藤さん私物

白いTシャツは襟ぐりが命。首元が開いていると、私にはラフすぎるみたいで、つまっているほうがシックに見えるように思います。あと、年代的にも背中が丸くなってくるので、ボートネックのように横に開いていても、きれいに見えない気がします。

長袖の白TシャツのNo.1は、ブルネロ クチネリのもの。襟ぐりの開きや長袖をくしゅっとたくし上げた雰囲気、そして素材感も完璧です。Tシャツがウン万円もするなんていかがなものかと思いますが(笑)、それだけのことはありますね。最初は手洗いしていたのですが、ずいぶん着古した今は扱いがぞんざいになり、裾に犬がジャンプした跡があったり、洗濯機で洗ったりもしています。でも、ヘタっても長く着られるのはさすがです。

半袖の白TシャツはGAPのものが定番で、何枚も買い足しているし、色違いを買うことも。白のTシャツは、本当にあらゆるブランドのものを買いましたし、今も違うブランドのものを買ってみることもありますが、この2ブランドは定番ですね。マキシ丈のワンピースは定番アイテムですが、デイリーブランドのものです。

RACY RADIANT(左)とhaunt(右)のワンピース/ともに安藤さん私物

オンでもオフでも、洋服を選ぶ基準は、あくまでも自分の好きなもの。シンプルで上質なものと、流行を取り入れた適度にエッジィで安価なものとをミックスしています。選ぶ際に、時間はほとんどかかりません。ピンときたものを選びます。なので、ショッピングにかかる時間は10分くらいです。

本当はアクセサリーやジュエリーはゆっくり選びたいのですが、たまたま店頭で見かけたり、カタログで見たり、こうして撮影のときに気に入ったものを買い取ったり、何かのついでに買うことが多いです。だから、着けてみたら少し的外れだったり…と、失敗も多いです。

リラックスしてインタビューに答える安藤優子さん

おしゃれな方たちみたいに、ブレスレットの重ね付けをさらっと楽しんだりもしたいのですが、一見自然なようでも、バランスよく見せるためには計算しないといけないので、パッとつけられるものに頼りがち。目的がなくぶらっとショッピングに行くようなゴージャスな時間の使い方も、今だにできていないんです。こんなに仕事をするはずではなかったのに、なんだかんだで忙しくしちゃっていますね。

私の大切なもの──まったく違った魅力を引き出せる!「額装」の魅力とは?

大切なものは、なんでも額装して飾っています。額装にはまったきっかけは、知人にいただいたピカソの絵柄のスカーフを、ピカソが好んで使った大きな額に入れてみたときのこと。実際に絵を飾っているみたいで、とても面白いと思い、額装の力を知りました。

額装について語る安藤優子さん

額装すると、飾りたいもののまったく違った魅力を引き出せるんです。額縁だけでなく、下に敷くマットなどをどう重ねるかなどで、仕上がりがまったく違うので、本当に奥が深い。例えば、フィレンツェで買った古いイタリアの地図にアンティークの額装を施して、白い壁に飾っているのですが、高い絵よりよっぽど素敵(笑)。保管という面から見ても一石二鳥ですよね。

額装するときは、いつも恵比寿にある「ジンプラ」という額装専門店に額装したいものを持って行って、相談して決めます。時には驚かれることもありますが、本当になんでも額装できるんですよ。

はまるきっかけになったピカソのスカーフ

例えば、小さいころ習っていたバレエのトウシューズや練習シューズが3足あったので、キャンバスに革を張って額装しています。実家で見つけたときは、こんなもの取っておいて…と思ったのですが、いざ額装してみると、私はこんなに小さな足をしていたんだとか、母が一生懸命書いてくれた手描きの名前だとか、そういった想いが額装のなかにぎゅーっと詰まっているんです。

ただ、しまいこんでいるだけではゴミと変わらないようなものだったのが、額装することによって、そのモノに対して感謝や敬意の気持ちをもつことができる。これも額装の魅力だと思います。

安藤さんが、ホアキン・ベラオのハガキを額装したもの

ほかにも、通っていた学校などの布製のシール類、アンティークのチョコレートの包み紙、絵葉書など、なんでも額装しています。額装したものは、自宅や別荘の廊下などに飾っています。司馬遼太郎さんからの葉書やポール・マッカートニーのサインも額装してあります。

アンティークのチョコレートの包み紙の額装

ポール・マッカートニーのサインは、もともとは姉が持っていたビートルズの古い写真集から、お気に入りのカットをはがして額装したもので、キッチンに飾っていました。その後、来日インタビューでご本人にお会いする機会があり、それを持って行ったら、大変喜んで額装のガラスの上からサインしてくれたんです。なので、そのガラスの上からもう一度ガラスを重ねて額装し直しました(笑)。宝物ですね。

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私の大切なこと──「きれいな言葉」を話すこと

 

響きがきれいで、相手を不快にさせない“きれいな言葉”が好きです。私自身は、テレビに出るようになって、自然と言葉を探す訓練をするようになりました。

訓練をするために、たくさん本を読みます。ひたすらどんなジャンルの本でも読みます。活字を声に出して読むこともします。すると、文字から音が聞こえてくるようになるんですよ。

書棚の前に立つ安藤優子さん

今は、人との距離がある社会なので、反射的に無駄な言葉を重ねすぎて、言葉の力が失われているんですね。便利な言葉にきれいな言葉はありません。特になんでも「ヤバイ」と表現するような、便利なのか安直なのかわかりませんが、そういうたぐいの言葉に、きれいな言葉は存在しないんです。

その点、やはり高齢の女性は言葉がとても丁寧な方が多いですね。また、暮らし方の丁寧な方はとてもきれいな言葉をもっていて、相手の心持ちに配慮できる方も、言葉は圧倒的にきれいです。

もし、きれいな言葉を話したいと思ったら、決して難しい言葉を使う必要はありません。言葉というのは、それぞれがもつ響きがあります。思っていることと違うことを言うとき、人は遠回りした言葉を探します。その遠回りした言葉というのは、言葉自体の力が半減していて、きれいに響かないんですね。

一方で、言葉数が少なくても、発する言葉に力がある方もいます。そういう方は、自分が思っていることに一番近い言葉を、頭の中で探して探して、探したあげく、二言くらいしか話さないんじゃないかな。言葉を探す時間が長くて、話す言葉も少ないけれど、でも響く。そういった自分の気持ちに近い言葉を探す訓練をすることが、とても大切だと思います。

きれいな言葉とは、真っ直ぐ相手に響く言葉でもあります。それには、率直な言葉を探すことが大事です。耳に痛いことを話すときでも、率直で相手を傷つけない、きれいに響く言葉があるはずですよ。

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私の大切な時間──心のバランスを取るひとり料理時間

ひとりでお酒を飲みながら、料理する時間を大切にしています。パートナーの帰宅が夜遅いので、自分の会合のない平日の夜に、ひとりで黒糖焼酎やワインを飲みながら料理をするんです。

心のバランスについて語る安藤優子さん

常備菜としてよくつくるのは、キャベツのコールスローとか、ニンジンとツナのラぺ、焼きなすのマリネ、キュウリの梅おかかあえ、いろいろなお豆のサラダ、きんぴらなど。あとは煮込みが大好きで、ストウブの鍋を愛用しています。

ストウブの鍋を使い始めたのは、食卓にそのまま出しても華があって、サマになる鍋を探していて出会ったのがきっかけ。ごはんを炊くときにも多用していて、先日もエビとトマトの炊き込みピラフをストウブでつくって大成功でした。お野菜がいろいろ半端に余っているときには、カレーもつくります。おしゃれなホウロウ鍋でいうと、実はル・クルーゼもたくさんもっているのですが、ストウブとサイズを変えて、用途によって使い分けています。

プルオーバー¥28,000・パンツ¥30,000(オールウェイズ<M-fil >) ピアス/スタイリスト私物 腕時計/安藤さん私物

なぜ“ひとり”が重要かというと、いつも家ではパートナーがいたり、ひとりでいても気づくと仕事のことを考えてしまいがち。でも、料理をする時間は何も考えていません。せいぜい段取りや、つくり置きしておく常備菜の組み合わせくらい(笑)。だしをひいたり、料理をていねいに丹念に仕上げる作業に集中しているので、すごくリラックスできるんです。頭を空っぽにして、何かができあがる過程をゆっくり味わう、その時間の流れが魅力的だと思います。

プライベートな時間を、自分自身のおしゃれに使うことはほとんどありません。例えば仕事ではヘア&メイクもしますが、自分にとってメイクはオンタイムにするものという感覚で、リラックスする時間にはならないんですよね。オフのときは犬のことや家のこと、生活を快適にすることが優先で、ひとりで料理をすることで頭の中をリセットして、自分の心の保育をしているような状態です。

自分の身だしなみにかける時間は、まだまだ取れなさそうですね。

安藤さん愛用のストウブ「ピコ・ココット」はグレーのオーバル。別荘ではラウンドの赤を愛用

問い合わせ先

  • オールウェイズ TEL : 03-5952-5958
  • オリバーピープルズ 東京ギャラリー TEL : 03-5766-7426
この記事の執筆者
1958年生まれ。上智大学外国学部卒。上智大学グローバルスタディーズ社会学修士。同博士課程後期終了。現在、博士論文に悪戦苦闘中。テーマは日本の政治と女性議員。20歳のころから、テレビの報道番組でリポーターや司会のアシスタントを務め、テレビ朝日「ニュースステーション」「CNNニュース」を経て、フジテレビの「スーパータイム」「ニュースジャパン」「スーパーニュース」、現在は「直撃ライブ・グッディ」でキャスターを務めている。報道ニュース歴40年近く──。報道の仕事に入ってから17年間は、大晦日から元旦までを日本で祝ったことがなく、つねにどこか海外に取材出張。お雑煮の代わりにインスタントラーメンに持参したお餅を入れて、スタッフと寂しく過ごしていたという。 好きなもの:ひとりでお酒を飲みながら料理する夜、ネイビーブルーと白の組み合わせ、白いシャツ、フレンチブルドッグ、ジャクリーン・ケネディ・オナシス(ジャッキー)、大学の図書館の書庫、朝井まかて、西 加奈子、ストウブのお鍋、薪ストーブ、夏のビーチハウス、VIRONのバゲット、履き古したローファー、かごバッグ、紺ブレザー、首元の詰まった白いTシャツ、リネンのエプロン、窓際のひとり掛けソファ、額装(なんでも額装する)、白のスプマンテ、レモン、マキシ丈のカジュアルワンピース、山中千尋のジャズピアノ、きれいな言葉、インテリアの写真本
クレジット :
撮影/篠原宏明 スタイリスト/岡本庸子 ヘア&メイク/重見幸江(gem) 構成/安念美和子