伊勢志摩国立公園内に建つ「アマネム」は、都会の喧騒から離れた豊かな自然環境にあります。これまで世界中のアマンに、そしてアマネムにも何度も足を運んでいますが、アマネムは、訪れるたびに季節や気候、自然の変化が敏感に感じ取れ、いつも新たな発見と感動がある場所。

オープンから約半年経った今、感じることは、緑が育ち、見える景色がみずみずしく、建物の周りが青々としていて…より一層、自然が呼吸をしているような生命力を感じる場所となっている、ということです。広大な緑と空と海に恵まれたこの場所で、こうした自然はこれからも残していかなくてはならない、そんなふうに改めて感じます。

伊勢志摩アマネムのインフィニティプール
伊勢志摩アマネムのインフィニティプール

そうした自然の魅力も加わったアマネムの最大の魅力を一言で語るのであれば、「これまで日本にはなかった“本来のリゾートの贅沢さ”が全て備わったリゾート」であるということでしょう。

本来のリゾートの贅沢さとは何か──それは、心と体を解き放っていられる空間であること。時計を外して、スマホを見ずに、自分を縛るものから全てを解放して、本当の「非日常」を味わうことが本来のリゾートの贅沢なのです。

最初にアマネムに行ったときに、日本にはほかに比べるものがない、と感じました。日本にもたくさんリゾートはありますが、アマネムは“唯一無二”のリゾートだと。仕事柄、世界各国の素晴らしいリゾートを訪れていますが、それでもアマネムの素晴らしさは比べるものがない、そう思うのです。

アマネムが唯一無二のリゾートである理由とは?

森スイート
森スイート

まずは贅沢なスペースの取り方。アマン東京にもいえることですが、敷地が何平米あるから部屋は幾つ設計して…というつくり方をしていないんです。ゲストの安らぎや、空間の心地よさだけを追求した、本当にゆったりと贅沢な空間の使い方をしています。

伊勢志摩国立公園内に建つ「アマネム」外観
伊勢志摩国立公園内に建つ「アマネム」外観

日本人が見た日本の伝統そのものではなく、アマン東京を手がけた建築デザイナー、ケリー・ヒルさんが、アマンを知り尽くした彼の目を通して見た“日本の美学”を表現しています。彼の日本に対する思いと、日本の伝統とがすごく綺麗に切り取られ、つくられている。それは例えば、瓦屋根の美しさ。この瓦屋根の美しさには本当に圧倒されます。日本家屋の屋根にインスパイアされてつくったそうで、日本瓦を使っています。

伊勢志摩国立公園内に建つ「アマネム」の中から見る庭
伊勢志摩国立公園内に建つ「アマネム」の中から見る庭

そして、アマネムの“森”も魅力のひとつです。楓や桜をたどって丘の道を行くと、リゾートのウェルカムパビリオンが現れ、アマネムは深い森に包まれるように佇んでいます。アマネムでは設計の際に、そこにあった森を再現しようという計画が立てられているので、できる限る元のように植栽をして、なるべく当初の形に近いような自然環境をつくり直している。そうした周りの環境整備が、アマネムの美しい自然を生み出しているのです。

サンクンテラス
サンクンテラス

アマンが世界のリゾートとして培ってきた贅沢な雰囲気は、アマネムにももちろん踏襲されています。例えばレストランの棟にあるサンクンテラス。世界中のどこのリゾートでも見たことがない、掘りごたつのようになったテラスなのですが、能舞台のような木のデッキに一段掘り下げられたここでは、アフタヌーンティーを楽しむもよし、夜のカクテルも、ちょっと集まっておしゃべりをするもよし。アペリティフを楽しむ場所としても、まさに理想的です。

サーマルスプリング
サーマルスプリング

スパももちろん2,000平米以上と、贅沢なスペースを占有し、そのスパの真ん中には、サーマルスプリングという温泉水を利用したソーシャルなプール施設があります。それがとにかく広く、これだけのお湯の温度を保つだけでも大変なのでは? と思います。水着で入れる温泉なので、1日中そこでのんびりと過ごすことができます。

和牛の冷しゃぶ
和牛の冷しゃぶ

そしてお食事、これも特別です。もともと伊勢は、はるか神話の時代から「御食国(みけつくに)」と呼ばれ、豊かな海の恵みを神宮や朝廷に捧げてきた特別な土地。そこで獲れる農作物、海鮮、全てにおいて格段に美味しいんです。

ミキモトの真珠の海としても有名ですが、上質なパールができるということは、海にはプランクトンがたくさんいて、魚介がたっぷりの栄養を摂取できる証拠。美味しい海産物が獲れるんです。そんな恵まれた土、緑、海に育まれた新鮮な現地の食材に加えて、さらに、世界中から集めた一流の食材を使うのがアマネムのお料理の魅力。こだわり抜いた食材で、素材の味わいを生かしたお食事を堪能できます。

伊勢志摩アマネムのプールに沈む夕日
伊勢志摩アマネムのプールに沈む夕日

いわゆるゴージャスという意味の、ただの“贅沢”なリゾートではないんです。日本という国、伊勢志摩という土地、その良さを、あらゆる場所、設計から食事に至るまで、細部にもふんだんに取り入れている。これこそアマネムがアマンとして代表的な存在といえる所以です。

さらに「非日常」にこだわった、ホスピタリティも特筆すべきことのひとつ。アマンでは、ゲストが最寄りの駅に降りた瞬間に、そこが非日常世界への入り口になります。気取らないカジュアルさと、温かさで迎えてくれるスタッフがつくり出す空間こそ、アマネムが理想的なリトリートであり続けるうえでの大切なコンテンツなのです。

伊勢志摩アマネムのプールサイドデッキ
伊勢志摩アマネムのプールサイドデッキ

賢島に到着したら、そこは心と体を解放するリトリートへの一歩。アマンならではのリゾート体験を、体と心で感じてみてください。

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この記事の執筆者
仏アンジェ西カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務中、ホテル住まいを経験。仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープ多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも兼任。著書多数。 好きなもの:猫、旅、男前の女友達、下駄、餅米でできたお煎餅、ドライブ、アフリカン・サファリ、自然森、メキシコ、笑顔、新茶、美味しいトマト
公式サイト:公式サイト
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写真/宮部一通 構成/渋谷香菜子