せっかく選び抜いたカシミヤ製品だから、できるだけ長く楽しみたいですよね。でも、カシミヤ製品のお手入れは面倒、と思っていませんか? それが実は、意外と手間がかからずにできるんです!

今回は、忙しい女性にも簡単にできる正しいカシミヤケアから、クリーニングのプロに聞いた困ったときの対処法まで、知っておきたいケアテクニックをご紹介します。

自宅でできる基本の2大ケアは、「やさしい手洗い」と適切な道具を使った「正しいブラッシング」。ぜひやり方をマスターして、カシミヤの美しさを保ちましょう。

■手洗いでカシミヤ本来の風合いを引き出す

 

カシミヤなどの天然繊維は、手洗いで風合いが増すことをご存じですか? カシミヤ繊維は水分を吸収することで、なめらかで目の詰まった状態を取り戻します。ドライクリーニング表示でも、正しい方法をマスターすれば、自宅で洗えるものがほとんどです。

むしろドライクリーニングだけでは、汗などの汚れが蓄積されるうえ、繊維が乾燥して糸がゆるんでしまうことも。頻度は、数回着用したら洗うくらいが適当です。

またカシミヤ繊維は、湿気の吸収や発散を繰り返し、元の形に戻ろうとするので、着用後は数日休ませるのもポイントです。

■やさしく押し洗いし、風通しのいい室内で平干し

 

手洗いの方法は意外と簡単。シンクなどに1.5~10Lの水を貯め、中性洗剤を入れてかき混ぜます。人肌以上の温度は繊維が開いて縮みの原因になるため、水温は30℃くらいが目安です。

裏返したカシミヤ製品をネットに入れて、20分ほどつけ置いたあと、ていねいに押し洗いします。その後.軽く絞り、ネットのまま洗濯機で10秒ほど脱水します。

 

脱水後には、吸水性に優れたタオルの上に広げ、タオルでくるくる巻いて余分な水分をとります。それから、乾いたタオルの上、または専用の乾燥ラックなどに平らに広げて、じっくり自然乾燥させます。直射日光や、暖房、乾燥機は避けてくださいね。

■道具選びと正しいブラッシングで艶をキープ

ブラシ左/¥15,000(ブラシの平野)・右/¥6,000(江戸屋)

冬は特に、乾燥や静電気でカシミヤ繊維にほこりが付着しやすい季節。流行のショルダーバッグや重ね着などの摩擦だけでも、デリケートなカシミヤ繊維は乱れます。放っておけば、毛玉になるだけでなくカシミヤ本来の美しい発色までも損なう原因に。

毎日の髪や歯のケアと同じように、カシミヤにもブラッシングを徹底させましょう。それには、カシミヤ繊維に適した天然獣毛(豚毛・馬毛)のブラシと、正しいブラッシングが重要です。

ブラッシングの手順は、まず繊維の絡みをほぐすように、あらゆる方向からブラシをかけて、カシミヤの奥にひそんでいるゴミを表面にかき出します。次に、表面に現れたゴミをブラシで払います。力任せに強くこするのはNGです。

仕上げに、ほぐした繊維を整えるように一方向にブラッシングします。カシミヤ本来の美しい毛並みと艶を、日ごろのケアでキープしましょう!

■たたみジワ解消には、スチームか水洗いが効果的

 

オフシーズンにたたんで収納していたカシミヤニット。出してみたらシワが……。そんなたたみジワを解消するにはどんな方法がよいのでしょうか。クリーニングのプロ「ウォータークリーニング」さんに伺いました。

「もともとカシミヤ繊維には、湿気の吸収や発散を繰り返すことで、自然に形が戻る性質があります。それでもついてしまったシワは、ニットから少し浮かせた状態で、スチームを当てます。

それでもとれない場合は、面倒でも水洗いがおすすめです。10秒ほど脱水したあと、すぐに洗濯機から取り出して自然乾燥させましょう」

カシミヤ製品のシワは、無理な収納に原因があることも。カシミヤのやわらかな風合いを損ねないよう、引き出しなどへの詰め込みすぎには注意したいですね。

■水濡れ時は、タオルで水気を拭き取ってから自然乾燥

 

突然、雨が降ってきて、お気に入りのカシミヤニットがびしょ濡れに……。こんなとき、ドライヤーで乾かしても大丈夫でしょうか? 

「ドライヤーで急激に熱を加えるより、水分をタオルで軽く拭き取ったあと、暖かい部屋に平らに置いて、自然乾燥することをおすすめします。

人工的な熱が加わると、デリケートなカシミヤ繊維は硬くなり、本来の弾力を失ってしまいます。ニットが十分に乾いたら、ブラッシングで毛並みをそろえてあげましょう」

ドライヤーを使う場合は、高温は避けます。風が当たる面を手で押さえて、ドライヤーを動かしながら乾かすのがベストです。けれどもそれは応急処置程度で、長時間の使用は避けたほうがいいそうです。

■ファンデーションや口紅の汚れにはベンジン

 

気をつけていたのに、うっかり、カシミヤニットに口紅が……ということも。そんなときの応急処置の方法は?

「ファンデーションや口紅は油性の汚れですから、小さなシミであれば、ベンジンをやわらかい布か綿棒に付けて、軽くたたき出してみてください。

それでもとれないシミは、プロのクリーニング店に委ねましょう。シミをそのままにしておくと、カビや虫害の原因に。完全に落ちなくなる前に、迅速な対処が必要です」

ベンジンのついた綿棒でシミをたたき出す場合は、シミがついている面の下に、白の綿布を用意します。その布に吸い取らせるように表面をたたくと、より効果的です。

■強い臭いには水洗いがおすすめ!

左/抗菌・消臭効果に優れたファブリックフレッシュ。防虫効果のあるシダ―のほか、全4種の香りを展開。この持ち歩きシリーズは旅行にも便利。60ml ¥1,200・中/カシミヤ製品には、中性洗剤が最適。475ml ¥3,200(THE LAUNDRESS<ザ・ランドレス>)・右/中性洗剤 300ml ¥10,000(ロロ・ピアーナ銀座並木通り店)

外食の機会が多くなるシーズン、飲食店での臭いの影響も気になるところです。焼き肉の臭いがカシミア製品についてしまった時、フレッシュにする方法は?

「簡単にできるのは、帰宅後にリネンウォーターや消臭剤をかけることです。しかし強い臭いを完全に取り除くには、水洗いするに限ります。

ニットやマフラー類は、自宅で手洗いが可能ですので、最低でも20分ほど中性洗剤につけ置きするようにしてください。目に見えない臭いと共に汚れもとれて、一石二鳥です」

■通気性を確保して保管。季節の終わりにはリフレッシュを

 

デリケートなカシミヤ製品は、保管方法に気をつける必要があります。正しい保管方法を教えていただきましょう。

「収納は、風通しがいい場所が理想です。クローゼットや引き出しに収納する際は、詰め込みすぎず、適度な空間を空けるようにしましょう。

クリーニング店のビニール袋は収納袋ではありませんので、必ず取って、通気性を確保してください。カシミヤは天然素材であるため、カビや虫害が発生することも多々あります。防虫剤は衣類の最上部へ。防湿剤も忘れずに入れましょう」

季節の終わりには、洗濯とブラッシングでリフレッシュを。今、多くのクリーニング店が、最適な温度と湿度に保たれた専用スペースで、カシミヤをはじめとするデリケート素材の保管サービスを行っているそうです(有料の場合も)。活用してみるのもいいですね。

大切なカシミヤ衣類は丁寧にお手入れすれば、愛着もひとしおです。ぜひこまめにケアして、長いおつきあいを楽しみたいですね。

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PHOTO :
佐藤 彩
ILLUSTRATION :
山本直孝
EDIT&WRITING :
兼信実加子、小林桐子(Precious)