世界的な芸術家たちにも愛され、ときには作品の着想源ともなった猫たち。その自由気ままな生き方は、だれもが知る画家や作家たちにも多くの影響を与えました。今回は、男性と女性、それぞれの芸術家たちとともに生きた猫の物語をご紹介します。

男性画家たちは「女のような猫」に翻弄された!

ピカソ、ウォーホル、マティス、クリムト…。猫好きで知られる芸術家は古今東西、たくさんいますが、なかでもサルバドール・ダリ、バルテュス、藤田嗣治の3人の画家たちは、猫にまつわる逸話を数多く残しています。

■1:ワイルドな猫をペットにしていた、サルバドール・ダリ

サルバドール・ダリ©Everett Collection/AFLO

ダリが飼っていたのは「オセロット」という種類の野生の山猫。写真を見てもわかるように、美しい斑点と、野性味のある眼差しが印象的な猫です。豪華客船のクルージングに連れて行ったり、宝石をちりばめた首輪をつけさせてエッフェル塔の最上階で散歩を楽しんだりと、伴侶のように特別扱いし、深く愛しました。

■2:「猫たちの王」と呼ばれた、バルテュス

バルテュス©Photo by Getty Images

「猫は私の守護神であり、私自身、猫の生まれ変わりなのだ」と語っていたバルテュス。そんな彼のことを、友人たちは「猫たちの王」と呼んだといいます。そもそも、バルテュスの作品が初めて出版されたのも、猫がきっかけでした。11歳のとき、迷い猫と出合ったバルテュスは、「ミツ」と名づけてかわいがりますが、ある日突然、その猫はいなくなってしまいます。その出合いから別れまでを40枚のドローイング作品にしたものが、最初の作品集となったのです。後年、人を寄せつけなかったアトリエには、たくさんの猫がくつろいでいたといいます。

■3:自身の作品にも猫を多く登場させた、藤田嗣治

藤田嗣治©Ullstein bild/AFLO

猫と女を描いた作品で、世界中を魅了した藤田嗣治。「なぜ猫と女を描くのですか?」と記者に尋ねられて答えた、「女は猫とまったく同じだからだ。かわいがればおとなしくしているけれど、そうでなければ引っ掻いたりする。女にヒゲとシッポをつければ、そのまま猫になるじゃないですか」という言葉が、すべてを表現しています。

猫のように、しなやかに自由気ままに生きた女性作家たち

■4:あの名作にも猫の気配が感じられる、フランソワーズ・サガン

フランソワーズ・サガン©Roger-Viollet/AFLO

巨匠や文豪と呼ばれる男性たちが、軒並み猫に骨抜きにされているのに比べると、女性と猫との関係は、少し違ったもののようです。フランソワーズ・サガンは、スポーツカーを乗り回し、夜遊びやギャンブルもする、破天荒でどこか孤独な私生活で知られる作家。それは、彼女がいつもそばにおいて慈しんでいた猫の姿とも重なります。『悲しみよ こんにちは』などの作品のなかで感じさせる、愛や裏切りに翻弄される人々の姿をどこか遠いところから眺めているような静かな視線は、猫のもつ眼差しにも通じるように思えます。

■5:日本を代表する作家、向田邦子も愛猫家だった

日本にも、サガンと猫の関係を彷彿させる作家がいます。それは、数々の名ドラマを残した向田邦子。彼女もまた、自らの価値観のままに生きた女性であり、愛猫家でした。やはり、猫と女は近しい生き物なのかもしれません。

以上、猫とともに生きた4人の芸術家たちの物語をご紹介しました。女性のように妖艶で、自由気ままな猫たちは、世界的な芸術家たちも多くの影響を与えた存在だったようです。

EDIT&WRITING :
川口夏希、剣持亜弥・海渡理恵(HATSU)、喜多容子(Precious)
RECONSTRUCT :
難波寛彦
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