「第二のお年頃」ーーそれは、いわゆる更年期。 女性なら誰もが迎える、心身が揺らぎやすい時期です。『Precious』12月号では、『「第二のお年頃」が私を育む、未来を開く』と題し、人生の先輩や同年代の方が「第二のお年頃」とどう向き合い、どう楽しんだか、インタビューやアンケートと共にご紹介しています。
今回はその中から、世界のセレブリティによる「お年頃発言」をピックアップ。年齢を重ねればこそ、心晴れやかな日もあれば、 靄がかかる日もある…。それは国境を越えて、世界中の女性が経験していること。
世界のセレブリティたちは、「第二のお年頃」にどう向き合い、慈しみ、乗り越えていったのでしょうか。女優、元ファーストレディ、学者、スポーツ選手…さまざまなジャンルで活躍する6人の前向きな発言は、私たちに温かな勇気を与えてくれるはずです。
■1:シンシア・ニクソン(女優)
「同性パートナーである私とクリスティンは、一緒に更年期障害を乗り越えたの。生理が来ないのは女性にとって大きな自由も意味すると思う」
『SATC』のミランダ役、シンシア・ニクソン。実生活では、最初の結婚でふたりの子供をもうけ、のちに、同性愛者であることをカミングアウト。今は同性の恋人、クリスティン・マリノニと暮らす。
心と体の不調を、最愛のパートナーが実感として理解し、共に対処しながら過ごせるのは、何ものにも代えがたい安心感が得られるはず。さらに閉経をメランコリックなものにせず『大きな自由』と捉える彼女の生き方に勇気が湧く。
■2:ジュリエット・ビノシュ(女優)
「マスコミは『若さこそ素晴らしい』と強迫観念を植え付けるけれど、人は成熟すると精神的によりよいゾーンに入るから、固定観念や恐れから自由になれるのよ」
数多くの代表作をもち、プライベートではふたりの子供を育てた大女優、ジュリエット・ビノシュ。14歳になった娘に「私は14歳も20歳も40歳も、100%全力で生きてきた」と語りかけ、続けて上の言葉を伝える。
肉体的精神的にマチュアな存在であることに価値をおく、フランス女優の人生哲学に胸が高鳴る。
■3:アンジェリーナ・ジョリー(女優)
「これから何が起きるにしても穏やかな気持ちでいる。それは私が強いからではなく、閉経は人生の一部だから。歳をとったことが幸せ。若い頃に戻りたいとは思わない」
遺伝子検査で卵巣がん発症の可能性が高いことが判明し、卵巣卵管摘出手術を受けて40代で閉経期を体験。これはその手術直後の言葉。
正解を求めるのではなく、自分が選んだ道を正解にする。そう歩んできたひとりの女性のしなやかな覚悟を、胸に留めたい。
■4:ミシェル・オバマ(弁護士)
「ホットフラッシュは、体の溶鉱炉のスイッチが入って全部溶け出した感じ。これは社会が考慮しなくてはならないわ。だって人類の半分が通過するものなのだから」
夫婦関係や女性の加齢について多くの場で発言しているミシェル。2020年8月、自身のポッドキャストで更年期障害の詳細について語り、話題を呼んだ。
夫・オバマ元大統領に助けられたとしながらも、いまだ多くの男性の理解は低いと分析。社会が、そして女性自身が声を挙げることを呼びかけている。
■5:アビー・ワンバック(元女子サッカー選手)
「私たちは赤ずきんではなく狼。群れをつくり、このひどいシステムを変えるのです。子育てで控え選手になるなどありえません。どこにいようとも、そこでリーダーシップをとってください」
アメリカ女子サッカー界の立役者から女性支援活動家というセカンドキャリアを築き始めたアビー・ワンバック。『個』ではなく『群れ』をつくり、それぞれがチームを活性化させる。そんな彼女ならではの価値観を発信している。
■6:リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授)
「人生100年時代に必要なことは、『無形資産』への投資。お金に換算できずとも、家族や友人、高度なスキルと知識、肉体的・精神的な健康は生きる礎になり得ます」
大ベストセラー『ライフシフト100年時代の人生戦略』の著者は60代の今も学び続け、SNSで発信し、コーチングを受けていると言う。
「第二のお年頃」である私たちは『経済的資産』とは違う『生きがい資産』への投資準備を、今こそ始めるべきなのかもしれない。
- PHOTO :
- Getty Images
- EDIT&WRITING :
- 本庄真穂、剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)