雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「リッチーエブリデイ」共同創始者COO 仲本千津さんの活動をご紹介します。

仲本千津さん
「リッチーエブリデイ」共同創始者COO
(なかもと ちづ)大学院を卒業後、金融機関に就職。その後、国際農業NGOに参画しウガンダの首都、カンパラに駐在。’15年にアフリカンプリントを使ったブランド「リッチーエブリデイ」を創業。’19年直営店舗を代官山に開業。ウガンダ、日本在住。

アフリカンプリントに魅せられ起業、現地女性が安心して働ける環境をつくる

原色の美しい色合いと目を引くデザインが魅力のアフリカンプリント。農業支援を行うNGOで働きウガンダに駐在していた仲本さんは、マーケットでうず高く積まれたこの布の鮮やかさに心を奪われ、起業を決意。

常々、アフリカの女性の愛情深さや縁の下の力持ち的なパワーに可能性を感じ、起業するなら彼女たちを巻き込みたいと思っていた仲本さん。

思いを叶え、’15年ウガンダの女性3人とアフリカンプリントでつくるライフスタイルブランド「リッチーエブリデイ」を創業した。現在工房で働く17名のスタッフの多くがシングルマザーだという。

「ある日、朝から超不機嫌なスタッフがいて、話を聞けば元夫から養育費をもらえなかったとのこと。彼女たちが集中して働ける環境を整える必要を感じました。それは個人のためだけでなく、製品の質にも大きく関わるからです」

医療費の一部負担や無利子ローンなど、子供の健康や教育をなによりも大切にしている彼女たちが安心できる仕組みを整えた。

最近では、アフリカンプリントといっても文化の盗用(※)をされ、違法コピーされた布も、多く出回っている。仲本さんは工場を視察し、アフリカ産であることはもちろん、生産過程での環境配慮等の視点からも素材を選んでいる。

これらは創業後、走りながら少しずつ調整してきたことだ。工房は今やウガンダ随一の技術と信頼されるほどに成長した。

「将来の不安を抱え、うつむき加減で入社した人が、ここで働くうちに顔を上げ自信に満ちたふるまいをするようになる。その姿を見ることが大きなやりがいです。今後もウガンダの『モノづくり』の素晴らしさを世界に広めたい」(仲本さん)

【SDGsの現場から】

●週に1回開催されるインスタライブで日本とのつながりも

インタビュー_1
日本で売れるモノをつくっていることもスタッフの誇り。ライブでは、お客さんと楽しく雑談。

●アフリカンプリントアイテムは200超、熱心なコレクターも

インタビュー_2
質のいい素材を生産する工場を自らの足で探し回り、環境に配慮したガーナ産の布を使用。

※文化の盗用とは…特定の文化圏の要素をほかの文化圏の者が流用すること。アフリカ産でないアフリカンプリントが増え問題視されている。

PHOTO :
Davis Simbwa
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)