「ラウンジ」と聞くと、ホテルや空港でくつろげる静かな空間をイメージしますよね? そんななか、今、「駅のラウンジ」がにわかに脚光を集めています。ラグジュアリーな観光列車のラウンジや、新幹線や特急列車を利用する人向けのラウンジなどが日本各地に用意され、上質なサービスが提供されているのです。
というわけで本記事では、大人の女性が旅の出発前の時間を心地よく過ごせる、ハイクラスな駅ラウンジを7つご紹介します。
■1:JR東日本「東京駅ビューゴールドラウンジ」
旅立ちまでのひとときを優雅に過ごせる「ビューゴールドラウンジ」。日本の中心駅「東京」駅のなかにあるとは思えないほど、穏やかな雰囲気が漂っています。
「ビューゴールドラウンジ」では、旅行ガイドブックなどの閲覧も可能。無料で提供されるお菓子や飲み物を片手に、これから始まる旅路に思いを馳せながら、列車の出発までゆっくり過ごすことができます。
ラウンジのデザインは、丸の内の歴史や八重洲の先進性をイメージし、上品な色調で落ち着いた空間を演出。内装や調度品には、東京駅のシンボル「丸の内ドーム」の天井レリーフをリデザインした細工が随所にちりばめられています。飾られた写真などからも、東京駅約100年の歴史を肌で感じられます。
また、ラウンジ内は無線LANが完備され、ラウンジ利用中にクロークで荷物を預かってくれるサービスもあるので、待ち時間を少な目の手荷物で、快適に過ごすことができるのもうれしいところ。
「ビューゴールドラウンジ」の利用条件には、「ビューゴールドプラスカード」会員で、かつ東京駅発の新幹線グリーン車・特急列車グリーン車を利用することなどがありますが、非会員でも、東京駅発の新幹線のファーストクラス「グランクラス」に乗車する場合は利用できます。
JR東日本「東京駅ビューゴールドラウンジ」詳細
■2:JR東日本「プロローグ四季島」トランスイート四季島 専用ラウンジ
2017年5月より運行を開始した、JR東日本のクルーズトレイン「トランスイート四季島」。全室スイートルーム以上の客室や、東日本や北海道の滋味深い食材を使用した料理を味わえるダイニングなど、上質な空間やサービスを備えているほか、信州の善光寺平の夜景や、夏の日本海など東日本の麗しい絶景を臨めることから、その話題が止むどころか、さらに人気を高めています。
四季島は車内だけでなく、旅が始まる前の世界も、洗練された演出がなされています。そのひとつが、上野駅13番ホーム上に開設された四季島専用のラウンジ「プロローグ四季島」の存在。
ラウンジの壁面には、運行ルートで停車する21駅をイメージしたウェルカムバナーが埋め込まれており、出発前のゲストが、これから始まる感動体験の旅を予感できる仕掛けが施されています。ラウンジ内には、銅板を鎚で叩き起こして銅器を製作する「鎚起銅器」の伝統技術を200 年に渡って継承する、新潟県の老舗企業「玉川堂」の作品など、各地の素晴らしい工芸品も配されています。
ラウンジでは、スタッフによる日本茶やコーヒー・紅茶などのドリンクや、お茶菓子のサービスを受けることが可能。さらに列車の上野駅帰着後には、「この旅がまだ続く旅」であることを感じられる「フェアウェルパーティ」が本ラウンジで開催されるなど、至れり尽くせりのおもてなしが。
JR東日本「プロローグ四季島」トランスイート四季島 専用ラウンジ詳細
■3:東急電鉄・伊豆急行「THE ROYAL EXPRESS」ラウンジ
JR横浜駅のホームから伊豆半島の海沿いを走り、伊豆急下田駅まで旅する観光列車「THE ROYAL EXPRESS」。2017年7月から東急電鉄と伊豆急行の共同事業として運行されています。その車両デザインは、九州の観光列車「ななつ星」など数多くの鉄道車両を手がけ、多くのファンをもつインダストリアルデザイナー・水戸岡鋭治氏が担当。
出発地点の横浜駅には、THE ROYAL EXPRESSクルーズプランに参加するお客様のためのラウンジ、「THE ROYAL LOUNGE」が設置されています。高級感と温もりを兼ね備えた、木を基調としたやわらかな空間デザインは、車両と同じく水戸岡鋭治氏の手によるもの。車両との一体感を持たせ、THE ROYAL EXPRESSの世界観が体感できるつくりになっています。
ラウンジでは、大正4年創業の、横浜の老舗青果専門店「横浜水信」が提供するフルーツや、ドリンクをはじめ、バイオリン・ピアノの生演奏も楽しめます。
東急電鉄・伊豆急行「THE ROYAL EXPRESS」ラウンジ詳細
■4:しなの鉄道「ろくもん」ラウンジ
しなの鉄道は2017年10月27日、しなの鉄道軽井沢駅「駅ナカ」開発プロジェクトの第1弾として、旧軽井沢駅舎記念館を、しなの鉄道軽井沢駅舎として復活させました。
駅舎2階の旧貴賓室は、しなの鉄道が運行する観光列車「ろくもん」のラウンジに。貴重な当時の部材をそのまま使用し、レトロで上質な雰囲気を醸し出しています。家具は水戸岡鋭治氏がデザインしたものを配置。プレミアムな大人のための空間に仕上げられています。
ラウンジは「ろくもん」運行日に食事付きプラン・信州プレミアムワインプランのお客様がご利用できます。出発前・出発後の時間を、いつもと違う特別な空間で過ごすことができるように。
しなの鉄道「ろくもん」ラウンジ詳細
■5:JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」 瑞風ラウンジ京都
西日本の魅力あふれる地を旅する、JR西日本の新たな寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」。2015年に引退した日本の上質な寝台列車の先駆け「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継ぎ、美しい車窓、車内調理による食事、上質な車両を乗客に楽しんでいただくとともに、沿線の魅力を伝える列車です。
デザインコンセプトは「ノスタルジック・モダン」。車内は上質ながらも、どこか懐かしさを感じさせるデザインに仕上げられているのが特徴です。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の運行コースは、1泊2日の片道タイプ(山陰下り・上り、山陽下り・上り)と、2泊3日で山陽・山陰を巡る周遊タイプの、計5コースが用意されています。
また、1日1回、立ち寄り観光も実施しています。例えば「嚴島神社」や「出雲大社」、「城崎温泉」など、途中下車をして西日本の名所を訪れるプランが織り込まれています。訪れる名所はコースごとに異なるので、毎回違った旅情を味わうことができます。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は、特別な旅の始まりにふさわしいラウンジも完備。京都駅直結のホテル「ホテルグランヴィア京都」の15階に、京都市内が一望できる、専用ラウンジが設置されています。
このラウンジは「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車内同様、アール・デコ調をベースとした造りに。また、入口ではルームキーが手渡され、高級ホテルにチェックインするような気分が味わえます。
ラウンジでは、玉露や日本酒などのドリンクを楽しむことができます。お茶は400年間、宇治茶と共に育った京都・宇治の茶陶、朝日焼の煎茶器で提供されます。この煎茶器は、瑞風京都ラウンジオリジナルカラー。丁寧に育てられた玉露を、何煎も愉しむための茶器となっています。
人気洋菓子店「京都北山マールブランシュ」による、瑞風オリジナル箱に入った四季のスイーツ詰め合わせも用意。そのほか、京都の文化人などによる高話を聞くこともできます。また、クロークで預けた荷物をそのまま列車に運んでくれるサービスも。出発までの時間を手ぶらの状態で、くつろぎながら過ごすことも可能です。
瑞風ラウンジ京都は、瑞風が停車する京都駅0番のりばと専用のエレベーターで結ばれています。乗車の約1時間前にラウンジで手続きを済ませ、クルーの案内でそのまま乗車できます。
なお、2018年2月28日(水)まで、第5期(2018年7月~9月出発分)分を受付中。
JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」 瑞風ラウンジ京都詳細
■6:JR四国「四国まんなか千年ものがたり」専用待合室
“おとなの遊山”を気軽に楽しめる、本格的な観光列車「四国まんなか千年ものがたり」。車内では麗しい四国の景色を眺めながら、地元食材をふんだんに使用した料理を楽しめたり、地元の工芸品を鑑賞できるなど、細部にわたって四国を感じることができます。
列車は香川県「多度津」駅から、徳島県「大歩危」駅の区間を1日1往復運行。途中停車駅「琴平」駅には、乗客専用ラウンジ「TAIJU」が2017年に新設されました。琴平駅以外から乗車しても、琴平駅で20分ほどの停車時間が設けられているため、この専用待合室の利用が可能です。
ラウンジ内には金刀比羅宮の巨大社紋や、大きな木のオブジェのほか、金の畳が配されているなど、見所が盛りだくさん。列車の到着をゆっくりと待つことができます。また、ラウンジは「四国まんなか千年ものがたり」に乗車しない方も観覧可能です。
食事予約券を事前に購入していると、ラウンジで特別なサービスが受けられます。多度津から大歩危へ向かう下り列車では、季節のスープを味わえる「ウェルカムサービス」、大歩危から多度津へ向かう上り列車では、季節のデザートや車内でお茶がいただける「フェアウェルサービス」が提供されています。食事なしでも乗車できますが、四国の上質な食材が使われた料理は、旅の思い出にぜひとも味わいたいところです。
JR四国「四国まんなか千年ものがたり」専用待合室詳細
■7:JR九州 クルーズトレイン「ななつ星in九州」専用ラウンジ
国内のクルーズトレインの先駆者であり、至極のサービスを提供している、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」。2013年の運行から数年経つ今も、なかなか予約が取れないほどの人気を誇ります。
「ななつ星in九州」の旅は、博多駅にある専用ラウンジ「金星」から始まります。空間デザインは列車と同じく、インダストリアルデザイナー・水戸岡鋭治氏が担当しています。
ラウンジは「旅立つ前のワクワク感を、ゲストに持ってほしい」という思いから、「ななつ星in九州」の発着時以外はシャッターを閉め、非公開となっています。また、ラウンジ内のサービスも、同じ理由から秘密になっているそう。乗車する人だけが楽しめる、プレミアム感満載のラウンジです。
ゆったりと過ごせるラウンジは、「ななつ星in九州」の車両内にも。昼は休憩場、夜はバーがオープンするラウンジカー「ブルームーン」では、ジャパニーズモダンな雰囲気に包まれながら、ほかの乗車客と出会い、語らうことができます。パノラマ車窓に映し出される九州の景色と、ピアノの生演奏を楽しみながらグラスを傾ければ、旅が一層特別なものに感じられそうです。
JR九州 クルーズトレイン「ななつ星in九州」専用ラウンジ詳細
以上、日本の豪華列車旅で利用できる「ラウンジ」を7つ、ご紹介しました。豪華観光列車での旅は、ラウンジでの上質な体験から始まります。出発時間直前に到着するのではなく、少し余裕を持って出かけて、ラウンジで優雅な時間を満喫してみてはいかがでしょうか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部