果てしなく続く青い海や、木々の爽やかなグリーンを車窓から眺めながら、地元食材を贅沢に使った料理や美酒に舌鼓を打つ…。そんなプレミアムな観光列車で、九州の旅を満喫してみませんか?
40代、50代の女性のゆったり旅にオススメしたい、肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」、JR九州「特急A列車で行こう」、JR九州 JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」、JR九州「SL人吉」、JR九州「かわせみ やませみ」の5つを観光列車を紹介します。
■1:肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」
「九州の西海岸の風景を眺めながら、のんびりと旅を楽しめる空間」をコンセプトとする、観光列車。「新八代・八代」駅から「川内」駅の間で運行されています。
ホテルのカフェダイニングをイメージした1号車は、大きなテーブルが特徴的なテーブル席や、窓沿いに海を眺められるカウンターテーブルを配置。熊本と鹿児島でつくられたジュースや焼酎・ビールなどを味わいながら、優雅な時間を過ごすことができます。
ホテルのリビングスペースをイメージした、肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」の2号車
2号車はホテルのリビングスペースをイメージ。海側には、テーブル席のほか、仕切り板を使い、程よいプライベート感を保った半個室席も用意されています。
「おれんじ食堂」では、「大地のパワー 水俣産かぼちゃのポタージュ」や、「出水で採れる小茄子、冬瓜、おくらの炊き合わせ」など、沿線でとれる旬の食材をふんだんに用いた料理を提供。メニューは朝・昼・夕で異なり、旬の素材を使うため、季節ごとに変わります。
料理は沿線のホテルやレストランと協力してつくり上げる、「おれんじ食堂」ならではのフルコース。地域のこだわり食材と季節の風味が活きたメニューを、心ゆくまで味わうことができます。
途中停車駅では、街の人が手づくりマルシェで歓迎。飲食付きのパッケージプランのゲストには、マルシェでお土産がもらえます。そのほか、マルシェには沿線の豊かな自然で育った食材や特産品が勢ぞろい。実際に見たり食べたりしながら、購入することが可能に。
このマルシェサービスには「街の人たちの笑顔に元気をもらえる」と、ゲストからうれしい声が届いているそうです。2018年の大河ドラマ『西郷どん』の地・薩摩をゆったり旅するのに、もってこいの列車と言えそうです。
肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」詳細
■2:JR九州「特急A列車で行こう」
「16世紀の天草に伝わった南蛮文化」をテーマにデザインされた、ゴージャスな車体が特徴の特急列車。「熊本」駅~「三角」駅で運行されています。
車内にはジャズの名曲『A列車で行こう』などが流れ、色彩豊かなステンドグラスとともに、“大人の旅”を盛り上げてくれます。
1号車の共有スペースにはバー「A-TRAIN BAR」が設けられており、地元特産のデコポンをアレンジしたハイボールなどが楽しめます。そばにベンチやソファも配されているので、ゆったりとした空間で座りながら、ドリンク片手に至福のひとときを過ごせます。
2号車は気の置けない人とゆっくり語らえるボックスシートや、窓に向かって座れる子ども席を設置。大人同士の旅行に限らず、家族旅行にもぴったりです。
車内では、沿線から仕入れたドーナツやゼリーなどのスイーツ、おつまみも販売されています。
JR九州「特急A列車で行こう」詳細
■3:JR九州 JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」
2015年、100年の時を超えて蘇った幻の豪華列車「或る列車」。
元となったのは、九州鉄道が、明治39年にアメリカ・ブリル社に発注した豪華客車「九州鉄道ブリル客車」、通称「或る列車」。発注後に九州鉄道が国有化され、活躍する機会がありませんでしたが、当時の日本では最も豪華な設備を備えた客車だったそうです。
その幻の列車を、鉄道模型の神様と呼ばれた故・原 信太郎氏が作成した模型を元に、インダストリアルデザイナー・水戸岡鋭治氏がデザインと設計を手がけ、現代に蘇らせました。日本で最も豪華であった列車の名にふさわしく、車内はどこをとっても高級感あふれるつくりとなっています。
現在は、「佐世保」駅~「長崎」駅で3月末まで運行。長崎の麗しい自然の中を、きらびやかな車体が駆け抜けます(運行区間は4月以降変更あり)。
1号車は明るくやわらかな印象を与えるメープル材を用い、木の温もりを感じられる空間に。2人席、4人席のソファを配置し、ゲストを優しく迎え入れてくれます。
対して2号車は、ダークブラウン系の色調でまとめ上げ、シックな雰囲気が漂います。座席は、ウォールナットの組子に囲まれたコンパートメントタイプです。
「或る列車」で供されるお料理は、食器からすでに強いこだわりを感じさせます。肥前びーどろの技法が生きる、佐賀県の副島硝子工業による「カクテルグラス」など、九州の職人技が光る器が、食事の魅力を一層引き立てます。
料理は東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフである、成澤由浩氏がプロデュース。コースは九州の肉や魚、野菜を使った、彩り豊かな小箱の軽食とスープからスタートし、旬のフルーツをふんだんに使ったスイーツ、そしてお茶菓子へと続きます。
素材はほとんどが九州産のもの。成澤氏が実際に九州各地の生産者を訪れ、自らの五感でその味を確かめたといいます。厳選された、質の高い素材だけが使われた、贅沢なコースなのです。
JR九州 JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」詳細
■4:JR九州「SL人吉」
吹き上げる煙や、どこか懐かしい汽笛の音、力強く走る際の鼓動など、電力で走る列車とは異なる魅力があるSL。次回の運行期間は、2018年3月中旬~11月下旬を予定しています。「熊本」駅~「人吉」駅を走行し、車窓からはエメラルドグリーンに輝く球磨川を眺めることができます。
SL人吉は、車掌や客室乗務員とのコミュニケーションがとりやすいほか、ゲストの大切な思い出づくりをエスコートするサービスが、多数盛り込まれています。希望すれば、客室乗務員の帽子も貸し出してくれるので、帽子を被って記念撮影することも。
車内は木の香り漂う、クラシカルで温かな雰囲気。1号車は上品な白木や、メープルウッドをふんだんに使った、やわらかな色合いが特徴の展望室で、上り(人吉発・熊本行)では、九州の大自然が間近に迫るパノラマビューを楽しめます。
3号車の展望ラウンジは、高級感あふれるローズウッドに包まれたサロン展望室。落ち着きある大人の空間には、4種類の心地よいソファが配されています。こちらは、下り(熊本発・人吉行)で、圧巻のパノラマビューが登場。贅沢な旅路を辿れそうです。
2号車のサービスカウンターでは、銀シャリと赤飯の紅白おむすびや、煮しめなどが入った駅弁「おごっつぉ弁当」のほか「炭焼き馬刺し」「地ビール」「焼酎アイス」などが用意され、SL人吉のオリジナルグッズも販売されています。木材が織りなす洗練された空間で、素敵なカフェタイムを満喫することが可能になっています。
JR九州「SL人吉」詳細
■5:JR九州「かわせみ やませみ」
JR九州から、2017年3月にデビューしたばかりの新しい特急列車。車両デザインは、沿線を流れる球磨川の渓流を飛び回る、かわせみとやませみをイメージしています。列車は瑞々しい自然があふれる「熊本」駅~「人吉」駅で運行されています。
1号車「かわせみ」は、木々に包まれ、心安らぐ内装に。座席の色や天井の模様の色は、かわせみの鮮やかな羽色を想起させる、ブルーを採用しています。
サービスカウンターでは、球磨焼酎酒造組合による焼酎PRイベントなどを不定期で開催。展望コーナーには双眼鏡が設置され、球磨川沿いを飛ぶかわせみや、やませみなどの生物を探すこともできます。
2号車「やませみ」には、軽食等を販売するサービスコーナーを設けられています。「地元で採れた旬の食材で作るおばちゃん達の愛情弁当」をテーマに、郷土の家庭料理店「ひまわり亭」がつくった「球磨の四季彩弁当と郷土料理つぼん汁セット」などが人気です。
また、減圧・常圧・樽熟成の3タイプで提供される球磨焼酎は、多彩なフレーバーを味わえます。お弁当やスイーツのメニューは季節で変わるほか、販売する日と便が決まっているものもあります。
「やませみ」には、沿線の八代市・球磨村・人吉地方の特産品などを展示するショーケースが設置されています。また、360°映像で人吉球磨の自然を体感できるタブレットと、VRゴーグルの貸し出しもしています。
JR九州「かわせみ やませみ」詳細
見どころ満載な九州の旅ですが、観光列車を利用すれば、より充実したものになりそうですね。女友達やご家族と九州への旅、あくせくしない国内旅行を考えている方は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
豪華列車の旅シリーズ
- TEXT :
- Precious.jp編集部