イタリアが誇る金細工の技術を、独自のスタイルをもって守り続けるミラノ発の老舗ジュエラー「BUCCELLATI(ブチェラッティ)」。息をのむ美しさと華やかさ、繊細さを併せもつ感動的なジュエリーが、どのようにしてつくられているのか、詳細にレポートします!
精緻の極み──「ブチェラッティ」受け継がれる匠の技
金細工ジュエリーに宿る麗しきオーラの秘密
ルネッサンス期の彫金技術をベースに、金細工ジュエリーの魅力を親子3代にわたって継承するブチェラッティは、1919年にミラノで創業しました。初代マリオ・ブチェラッティは若い頃から国内有数のジュエリー工房で働き、金属と石を巧みに操るジュエリーづくりの奥深さに心酔。
つけるとモチーフが浮き出たように見える金細工の伝統的な技巧、「オープンワーク」を用いた『ロンビ』コレクションでは、2代目が愛したペルシャ絨毯の幾何学的な模様を、ダイヤモンドを配した菱形モチーフで表現。縁にも繊細な彫金が施された美意識溢れる逸品は、身につけるアートといっても過言ではありません。
また、独自に考案した蜂の巣状の透かし模様が印象的な複雑技巧、「ハニカム」のように、熟練の技を要する『チュール』コレクションも圧巻です。
見た目の美しさもさることながら、肌に重ねて初めてわかるつくり手の深い意匠…。1点つくるのに最低でも3か月は要するリングは、金細工職人、彫刻家、ストーンセッターの手仕事を経て初めて完成。オーダーメイドのような手仕事の温もりに癒やされる、“ブチェラッティ”のジュエリー。
そのレガシーは、3代目アンドレア・ブチェラッティによって、確実に受け継がれています。
研ぎ澄まされた感性と、職人たちの超絶技に感動!
金細工ジュエリーの華やかさは、複雑な技巧に極まります。作業台で地金と真摯に向き合う職人たちの姿を見れば、緻密な作業を要することは一目瞭然!
前にも触れた「オープンワーク」の技巧を用いたリング『ロンビ』の場合、職人は、まずプレート状のホワイトゴールドとイエローゴールドのリングを複数本用意します。
各リングに装飾の形をドリルし、それぞれをはんだ付けしてひとつのリングに。そして完成した土台に、時間をかけて彫金や石のセッティングが丁寧に施されていきます。
ブチェラッティでは職人の集中力とクオリティを保つため、1日の作業は6時間までに制限。60名以上いる職人のなかには、親子2代でブチェラッティのジュエリーづくりを支える大ベテランもいるそうです。多くの職人の手が紡ぐブチェラッティのジュエリーが、世界中のファンにお守りのように愛されるのも納得です。
【Column│ブランドゆかりの地を訪ねて】中世と現代が交錯する国際都市、ブチェラッティの本拠地、ミラノへ
ミラノのビジネス街で、貴重なジュエリーづくりに触れる
世界最大規模のゴシック建築で知られる、ミラノのランドマーク「ドゥオモ」。そこからほど近いスカラ広場にブティックを開いたことから、ブチェラッティの歴史はスタートしました。現在はミラノ市内だけでも4店舗を構え、本部と工房は、「ドゥオモ」から徒歩で1km圏内のビジネス街に。
これまでは、定期的に貴重なジュエリーづくりが見学できるアトリエツアーを開催していたブチェラッティ。参加者は、1階のアトリエでジュエリーづくりの工程を堪能したあと、眺望が自慢の屋上へ。そこからは再開発が進む話題のスポット、トレ・トッリ地区のスカイライン(高層ビル群)も一望。
中世の面影を残す歴史的な建造物と共に、新旧が交錯するミラノの街並みは絶景です。
金銀細工で有名なイタリアでは、今も街のいたるところで華やかな手工芸の光景を目にすることができます。実は「ドゥオモ」の外観を飾る135本の尖塔にも、美しい金銀細工が施されているのをご存じでしょうか。ミラノを訪れる機会が来たら、注目してみては。
本社に隣接する遺跡は、ミラノ観光の穴場スポット!
街中に佇むこの遺跡は、286年にローマ皇帝のマクシミヌスが建てた皇帝宮跡。当時ミラノがイタリアの首都として栄えていたことを示す歴史的な場所は、今でこそ宮廷の土台しか残っていないものの、時の権力者とゆかりの深い知る人ぞ知る観光の穴場。
※掲載商品の価格は税込みです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 戸田嘉昭(パイルドライバー/静物)
- EDIT&WRITING :
- 兼信実加子、佐藤友貴絵(Preciuos)