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今年は不倫がすごすぎる! 1月の女性タレントとミュージシャンに始まり、有名ヴォーカリスト、大物落語家ふたり、人気男性歌手など、スクープが止まらない。さらに不倫歴をもつ女性タレントを起用したCMが放送中止に追い込まれ、不倫会見が企業の不祥事会見並みに「出来」を批評され、一方テレビでは相変わらず不倫ドラマが賑やか。我々は男女の逸脱した関係が好きなのか嫌いなのか、大いに混乱させられました。

ひとついいたいのは、あれらは「モテる」とは違うということ。騒動多発のなか、天然芸人の「六股」もあったけど、ワイドショーで司会者が「彼はモテるんですね」と口にしたところ、大御所女性タレントがすかさず「ああいうのはモテ男っていわないの。だらしないだけ。昔の本当にモテた人って、もっと上手よ」とのたまい「さすがー」と思いました。

閑話休題。週刊誌やテレビを追いかけるのはなんだかむなしいと思い始めた方、オススメの不倫小説がたくさんあります! 江國香織の『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』には、外で女性と恋愛中の夫と、彼を待ち続ける妻が登場する。夫は家庭を崩壊させない。それが安心どころかなんともいえぬ薄暗さを一家のなかに漂わせる。『風花』は、「夫が浮気。離婚をほのめかされた妻」。こんなありがちな設定で、とてつもなくおもしろい話を書く川上弘美に舌を巻く。井上荒野の『それを愛とまちがえるから』はなぜか「不倫相手ぐるみのおつきあい」を始めてしまう夫と妻のコミカルな関係。

不倫文学には傑作が多い。どれも複雑で、夫婦という関係のただならなさが描かれる。「奥さんは許すのか」「やっぱり離婚なんだ!」の二択しか話されない芸能ニュースより、男女の深淵がのぞけます。


この記事の執筆者
岩手県生まれ。幼いころから「本屋の娘」として大量の本を読んで育つ。2011年入社。書店勤務の傍ら、テレビや雑誌など、さまざまなメディアでオススメ本を紹介する文学担当コンシェルジュ。文庫解説に『タイニーストーリーズ』(山田詠美/文春文庫)、『母性』(湊かなえ/新潮文庫)、『蒼ざめた馬』(アガサ・クリスティー/早川クリスティ―文庫)などがある。 好きなもの:青空柄のカーテン、ハワイ、ミステリー、『アメトーーク』(テレビ朝日)
クレジット :
撮影/田村昌裕(FREAKS) 文/間室道子
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