雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「ア・プラスチック・プラネット」共同創始者 シアン・サザーランドさんの活動をご紹介します。

シアン・サザーランドさん
「ア・プラスチック・プラネット」共同創始者
大学卒業後、広告業界に携わり、26歳でレストラン開業。その後もデザイン会社起業、スキンケアブランドなどで成功を収める。'17年にドキュメンタリー映画『プラスチック・オーシャン』を観て、プラスチック問題に開眼。

企業や政府に解決策を提案し、プラスチックフリーの世界を実現

「ア・プラスチック・プラネット」は、’17年にシアンさんが友人と立ち上げた団体で、「プラスチックの使用をゼロにする」ことを掲げて活動している。

環境問題を声高に訴えるのではなく、企業と共にその解決策を模索していくというビジネスに寄り添ったスタンスが特徴で、シアンさんは今や、プラスチック問題に関するイギリスのオピニオンリーダーとして、国内外で注目を集めている。

「ミートフリー、デイリーフリー、グルテンフリーの製品が普通に手に入る現代。プラスチック・フリーという選択肢だって実現できるはず。私たちはNGOでも、チャリティでもなく、ビジネスという形を重要視し、個人の意識を変えるというよりも、企業や政府に働きかけて、社会をよくするためのチャレンジを提案します」

例えば、飲食店で幅広く使われているケチャップやマヨネーズが入った小さな袋。実は、海辺などで見つけられるプラスチックゴミで最も多いのが、この小袋なのだそう。1年間に使われている量は、なんと、約1兆袋!(’21年推定)

「私たちは2年前から、この小袋を法的に規制するキャンペーンを展開。ロビー活動を頻繁に行いながら、同時に、メーカーのハインツと提携して、プラスチックに代わる素材(※)を開発中です」

プラスチック問題で重要なのは、「リサイクル」や「使用量を減らす」ことではなく、「使わない」ことだとシアンさんは強調する。

「そして、『地球を救うため』という認識を捨てるべき。なぜなら、地球は私たちがどんなことをしても生き延びるから。地球環境や自然を粗末に扱い、その生態系にダメージを与えて、最後に痛い目を見るのは、私たち人類なのです」

【SDGsの現場から】

●プラスチック・ヘルス・サミットでスピーチ

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海洋保護団体が'21年にアムステルダムで開催したサミットに登壇するシアンさん。

●プラスチックフリーのスローガンをヨットの帆に掲げて

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国別対抗のヨットレース「セールGP」で、シアンさんの会社が日本チームのスポンサーに。

※プラスチックに代わる素材とは…ポートレートでシアンさんが手にしているのは、再生紙でできたボトル。現在、大手企業と組んで、防水機能をどうもたせるかなど、開発中。

PHOTO :
Misa Watanabe
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuka Hasegawa