雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は「センショー」代表 堀内麻祐子さんの活動をご紹介します。
若い女性が活躍するめっき加工会社、能力を伸ばす環境づくりで大躍進
堀内さんが40歳で家業のめっき工場を継いだとき、設備は古く、売り上げは少なく、社員18人の多くは高齢、借金は12億円あった。
「とにかく未来を描ける会社にしなければ、と。借金は債務免除できたこともあり、2年半で返済しました。すぐに止まる古い機械も更新。あとは人材です。いろんな同業者さんを見ていくうちに気が付いたのは、うちには若い女性がいない、ということ。でも、募集しても来てもらえなかった。そこで、大阪府のインターンシップ制度を活用し、女子大学生3名を採用することができました」
当初、現場は女性の採用に反発していた。しかし、アナログで煩雑だった事務仕事が整理されたり、理系女子がめっき液の成分分析をしたりと新風が吹き込まれ、さらにロッカーなどの設備も整えて、事務所もおしゃれに。会社の雰囲気がガラリと変わった。
「女性の現場希望者も出てきたので、若い子にポストがまわるように、工場も3つに増やしました。女性でも、いや、女性だからこそ、できることいっぱいあるやん、と」
現在は社員60名のうち、3分の1が女性。平均年齢は34歳。
「いずれは男女比を1:1に。結婚や出産といったライフステージに合わせた制度もつくりたい」
初の自社製品となった純チタン製ストロー(※)も、女性社員の発案だ。別件でチタン加工によってきれいな色合いが出ることに気付いたとき、「これで何かつくれないか」と開発を提案した。中国に留学経験がある女性社員の入社をきっかけに、海外に出張所をつくることも目標になった。
「めっきという仕事自体、すごくおもしろい。そして、私にとって経営はもっとおもしろいことなんです」
【SDGsの現場から】
●100%チタン製のストローは初の自社製品
●工場の現場でも女性スタッフが活躍中
※チタン製ストローとは…人体と環境に優しく、「マイストロー」にも。'21年10月から開催中のドバイ万博でも新潟県燕市のメーカーの製品が日本館土産に。
- PHOTO :
- 香西ジュン
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 木佐貫久代