日々の仕事のなかで「ご連絡させていただきます」は最もよく使うフレーズのひとつです。クライアントや上司、プロジェクトの仲間などにも使いますよね。大変丁寧な敬語ですが、このフレーズ、本当に正しい?「もしかして二重敬語では?」と不安になったことはありませんか?

【目次】

「ご連絡させていただきます」の意味は?敬語として正しい?

「ご連絡させていただきます」は、「連絡」に接頭語の「ご」をつけて謙譲語にし、さらに「する」の謙譲語である「させていただく」でつないでいます。相手を上位に据えた丁寧な言い回しですが、なんとなく不安を感じることもありませんか。それは「二重敬語」を疑っているからでは?

「二重敬語」の定義を『大辞泉』で調べると…【同じ種類の敬語を重ねて使うこと。ふつう、誤りとされる。尊敬語を重ねた『おっしゃられる(「おっしゃる」と「言われる」)』や、謙譲語を重ねた『ご参上する(「参上」と「ご…する」)』など】とあります。

「ご」も「させていただきます」も同一種類の敬語(謙譲語)なので二重敬語ではありますが、現在では広く使用されているため問題なし、とされています。ただ、上司やお客様など上位の相手には、「ご連絡いたします」「ご連絡申し上げます」のほうが無難かもしれません

ビジネスシーンで無意識に使いがちな「例文」、これは正解?

それでは、便利なフレーズ「ご連絡させていただきます」の具体的なシチュエーション例や、NG使用例、「ご○○させていただきます」の例文を見てみましょう。

■OK:「こちらからご連絡させていただきます」

連絡を取る必要がある相手に対し、「連絡が欲しい」のではなく「連絡する」と丁寧に申告しています。「こちらの都合のよいタイミングで連絡します」なのですね。ただし、相手から連絡をもらうのがはばかれるような場合にも使います。

■NG:「ご確認後に改めてご連絡させていただきます」

この場合、「確認」するのは当方ですから、尊敬語の「ご確認」はNGです。「確認後に改めてご連絡させていただきます」が正解。「連絡するのもこちらだから、ご連絡も同様にNGなのでは?」と思われるかもしれませんが、「連絡」につけた「ご」は先方を立てる謙譲語だからOK!「確認後に改めてご連絡いたします/申し上げます」も使えます。

■OK:「ご連絡させていただきました」

連絡を入れた際に使うフレーズ。「ご連絡させていただきましたがご不在のようですので…」や「再度ご連絡させていただきました」など、留守番電話へのメッセージでも使いますね。

■OK:「初めてご連絡させていただきます。私、〇〇会社の△△と申します」

「させていただきます」を使用するのは、次のようなケースが正しいシチュエーションです。
【1】相手の許可を得る/許可が得られると想定
【2】相手のおかげで恩恵を受ける
【3】自分の行為を丁寧に表す
【4】相手の意思に関係ない

「初めてご連絡させていただきます~」というこの例文は【4】のケース。いきなり連絡をするのは不躾ではありますが、「突然申し訳ありません」という意味を含んだこの例文ならOK!「□□様のご紹介で初めてご連絡させていただきます~」や、「□□を拝見し、初めてご連絡させていただきます~」など、きっかけを説明するひと言を添えればなおよし、です。

「ご連絡させていただきます」と同じ意味をもつ「言い換え表現」3選

「ご連絡」も「させていただきます」も、それぞれ使用頻度の高いワード。これを組み合わせ、最も丁重な謙譲表現として使われる「ご連絡させていただきます」は、以下のように言い換えが可能です。

■1:「ご連絡申し上げます」

■2:「ご連絡差し上げます」

■3:「ご連絡いたします」

また「ご連絡」を「ご案内」「お知らせ」「ご報告」と、より具体的に言い換えてもOK。ちょっとした工夫や状況に応じたワードに換えることで、定型文も生きたフレーズになるのでぜひ活用してください。

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本日はビジネス敬語で差がつく「ご連絡させていただきます」の使い方を確認しました。正しく使って、マナー美人を目指しましょう!

この記事の執筆者
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参考資料:『精選版日本国語大辞典』(小学館)/『大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂)/『すぐに使えて、きちんと伝わる 敬語サクッとノート』(永岡書店) :