雑誌『Precious』の3号連続企画「SDGsの現在地」の第2弾は、“食”がテーマ。身近な食周りのSDGsをリサーチして、最新情報をお届けします。

今回は、都市の「屋上利用」の取り組みのなかから、「六本木ヒルズ屋上庭園」をご紹介します。

こんなに進化!「都会の屋上」事情

2020年、パリのマレ地区に1万4000平方メートル、欧州最大の屋上菜園「ナチュール・ユーベンヌ」が誕生し、話題となりました。アメリカ・ニューヨークではグルメスーパーが屋上菜園でとれた野菜を販売、世界各地のラグジュアリーホテルでも屋上菜園のハーブなどをレストランで使用するところが増えています。

都市の屋上菜園は、環境に配慮した緑化対策であることはもちろん、とれた野菜をそのビルや近郊で消費することで地産地消につながり、輸送のコストや環境負荷も低くなるうえ、必要なときに必要な分だけ新鮮な野菜を提供できるとあって、メリットだらけ。

そんな都会の「屋上利用」は、日本でも進化中。菜園だけにとどまらない、さまざまな取り組みを紹介します。

あの、六本木ヒルズでも!?森タワーを背景に、屋上でお米を収穫

秋、収穫の風景。背景にそびえる森タワーの姿は、都会の水田ならでは。毎年、うるち米とモチ米などを栽培、収穫している。

地上約45m、六本木ヒルズけやき坂コンプレックスの屋上庭園(通常非公開)では、開業以来、近隣住人や六本木ヒルズで働く人たちのコミュニティ活動として、米づくりや野菜づくりを行っている。

水田では、田植えから稲刈り、餅つきなどを体験できるほか、「ヒルズ街育プロジェクト」の一環として、屋上庭園で生物観察なども不定期で実施。子どもの学習機会の提供にも貢献している。

また、2006年からは日本の稲作文化や地方の食文化などの発信を目的に、都道府県とのコラボレーションもスタート。各地自慢のお米を栽培、2021年は鳥取県とのコラボレーションで鳥取県オリジナル米『星空舞』を収穫。収穫イベントでは新米を使ったおむすびがふるまわれたことも。

<六本木ヒルズ屋上庭園>

新春恒例、屋上庭園での「餅つき」イベントでは例年、居住者やワーカー約150名が杵と臼を使って実際に餅つき体験を。2021年は、つきたての餅は鳥取県特有の雑煮にして提供された(自治体によって内容は異なる)。

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)