「光栄に存じます」など、ビジネスシーンでも使うことのある「光栄」というフレーズ。本日は、上手に気持ちを伝える「光栄」の敬語表現を紹介します。似たような言葉や表現もありますが、「光栄」を用いたスマートな大人の言い回しを身につけ、好印象を与えたいものですね。使い方や注意すべき点を見ていきましょう。

【目次】

使ってみたい! 「光栄に存じます」
使ってみたい! 「光栄に存じます」

使わないのはもったいない!「光栄」の基礎知識

■「光栄」の意味をしっかり把握

まずは「光栄」という言葉のもつ意味を解説しましょう。

『デジタル大辞泉』には【業績や行動を褒められたり、重要な役目を任されたりして、名誉に思うこと。また、そのさま。】と記載されていて、名誉や誇りに思うことを表す言葉です。例文には「光栄の至り」や「身に過ぎて光栄なこと」と記載されていて、謙虚さを含んだ表現であることがわかります。

■どんなシーンで使える?

「光栄」は、相手を立てながらその気持ちを伝える言葉です。ビジネスシーンでも大げさな表現にはならないので、敬語で対応すべき相手には積極的に使ってみましょう。下記のような場合に重宝するはずです。

(1)「お褒めにあずかり光栄です」など、目上の人に謝意を伝える場合

(2)「お目にかかれて光栄です」など、目上の人に尊敬の念を伝える場合

■目下の人には使えない?

「光栄」は同等以上の人へ敬意をもって使う言葉なので、原則的に目下の人には使いません。ただし、年下や自分よりキャリアが浅くても“尊敬に値する人”には、「〇〇さんと仕事ができて光栄です」と、ライトな表現で使っても。

「光栄です」を使ったビジネス例文3選

ビジネスシーンでの「光栄」のスマートな用い方を、例文を使ってご紹介します。■1と■2は褒められた場合に、■3は異動時など別れの挨拶に。

■1:「部長にそう言っていただけて光栄です」

■2:「お役に立てて光栄に存じます」

■3:「部長に、社会人としての心掛けから仕事の細部にいたるまで教えていただき、大変光栄でした」

このように、「光栄」を用いた謝意は敬語表現で使用します。「光栄」自体は尊敬語や丁寧語、謙譲語などの敬語にはなりません。「ご光栄」などとは言いませんよね。「光栄」に思う気持ちを伝えるには、「文章を敬語表現にして使う」のが的確というわけです。

「光栄」と「栄光」は同じ? 「うれしい」とはどう違う?

■「光栄」と「栄光」の違い

「光栄」と似た言葉に「栄光」があります。どちらも「名誉」や「誉れ」という共通の意味をもつ言葉ですが、「栄光」が輝かしい名誉自体を示すのに対し、「光栄」は名誉に感じることを表します。

決勝戦で勝利するのは「栄光に輝く」で、褒められて喜ぶのは「栄光の誉れ」というわけです。

■「光栄」と「うれしい」の使い分け

「光栄」を「うれしい」の最上格表現と捉えることもできますが、 取引先の部長などに「お目にかかれて光栄です」と挨拶するのはトゥーマッチかもしれません。会えたこと自体が名誉である場合、特別な理由や機会がなければ会えない人に対して限定的に使うのが「光栄」です。普段は現場にいない部長に偶然会えたというようなケースでは、「お会いできてうれしいです」が正解。

「光栄」と同じようにビジネス敬語で使える「類語」や「言い換え」

相手やシーンが適切なら決して大げさな表現ではない「光栄」の類語には、「名誉」や「栄誉」「栄冠」「名声」などが。ビジネスシーンで使うなら、「光栄」「名誉」「栄誉」が同じような意味で使いやすいでしょう。また、これらの単語を使わず、別の表現で言い表すこともできます。ビジネス例文で、言い換えたり類語を使った表現を見てみましょう。

■1:「重要な任務を仰せつかり、身に余る光栄です」

→重要な任務を仰せつかり、光栄の至りです

→重要な任務を仰せつかり、冥利に尽きます

■2:「お役に立てて光栄に存じます」

→お役に立てて栄誉なことと思っております

→お役に立てて幸甚の至りです

■3:「尊敬する〇〇様からお褒めいただき、光栄の極みです」

→尊敬する〇〇様からお褒めいただき、大変恐縮です

→尊敬する〇〇様からお褒めいただき、幸甚に存じます

より効果的な「光栄」の使い方

目上の人に使うフレーズは、印象よく用いたいもの。最後に「光栄」を使う際のポイントと注意点をご紹介します。

■「感謝の言葉」+「光栄」

褒められたり特別うれしいことがあった際に使う「光栄」ですから、まずは相手に感謝の気持ちを伝えましょう。

例:そのようにご評価いただきありがとうございます。大変光栄に存じます。

■「光栄です」と言われたときのスマートな返しは?

相手の仕事ぶりや親切などに対して感謝したり褒めたりして「光栄です」と言われたら、「今後ともよろしくお願いします」や「変わらずご助力ください」など、関係性を継続したい意思を示すのが大人の返しです。

 

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本日は、「光栄」のビジネス使用について学びました。「ありがとうございます、光栄に存じます」というようなフレーズを、さらりと使いこなせる“敬語美人”を目指して頑張りましょう!

この記事の執筆者
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