【目次】

【「ご容赦ください」の「読み方」「意味」】

「読み方」 

ご容赦くださいの「容赦」は「ようしゃ」と読みます。

■「意味」

「ご容赦ください」は、「許してください」を、さらに丁寧にした敬語表現です。相手に詫びる気持ちを表しつつ、理解を求めるときに使われます。

ただし、明らかにこちらに非がある過失や深刻な失敗に対する心からの謝罪の意味合いで「ご容赦ください」を使うのは不適切です。相手に「ミスを軽く見ているのでは?」という懸念を抱かせ、火に油を注ぐ結果になりかねません。注意しましょう。


【ビジネスメールで使われる場面】

ビジネスシーンにおいて「ご容赦ください」が用いられるのは、相手からなんらかの要求があり、ストレートに「無理です」とは断れないときが多いですね。「どうかご容赦ください」「何卒ご容赦いただきたく存じます」などと使われます。

また、先方からなんらかの要望が出されると予測されたとき、「あなた(御社)のご希望・ご期待には応えることができませんが、致し方ないことですので、(申し訳ありませんが)ご理解・ご協力ください」といった意味で使われます。この場合、言外に「お気持ちはわかるのですが、会社の規則ですので…」などといった気持ちをにじませ、予防線を張る意図で使われます。

■1:申し訳ないという気持ちを表すとき

■2:相手の期待に沿えそうにないとき

■3:相手の要望をやんわりと拒絶したいとき

■4:事前に相手の行動を止めたいとき


【そのまま使える「例文」】

「ご容赦ください」の「ください」は、「くれる」の尊敬語「くださる」を命令形にしたものです。正しい敬語表現ではありますが、強制のニュアンスを感じる人もいるようですので、特に目上の方に対しては、「何卒〜」「どうか」「どうぞ」と添える、あるいは語尾に丁寧の助動詞「ます」の命令形「ませ」を付けて、相手への敬意を表しましょう。

■1:「何卒ご容赦くださいますようお願いいたします」

■2:「駐車場内での事故に対しては責任を負いかねます。不測のトラブルの際は悪しからずご容赦ください」

■3:「生憎ですが、只今お貸出しできる傘はございません。ご容赦くださいませ」

■4:「当日は混雑が予想されます。駐車場には数に限りがございますので、お車でのお越しはご容赦くださいませ」

■5:「行き違いがございましたら、ご容赦ください」

■6:「こちらの不手際でご迷惑をおかけしましたが、何卒ご容赦ください」

■7:「ご希望の変更に即座に対応できず、申し訳ございません。ご容赦いただければ幸いです」

■8:「納期に関する変更が生じましたこと、深くお詫び申し上げます。ご容赦ください」

■9:「不備によりご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。どうかご容赦ください」

■10:「注文の商品に誤りがありましたこと、深くお詫び申し上げます。ご容赦くださいますようお願い申し上げます」


【目上の方に使える「言い換え」表現】

前述の通り、「ご容赦ください」は、「あなた(御社)のご希望・ご期待には応えることができませんが、致し方ないことですので、ご理解・ご協力ください」という意味で使われることが多い言葉です。そういった意味での言い変え表現をご紹介しましょう。

■どうぞお許しください  ■大変申し訳ございません  ■ご容赦願います 
■ご了承くださいませ  ■ご理解いたたけますようお願い申し上げます
■ご海容ください

「ご容赦ください」には非礼を詫びるニュアンスが含まれているのに対し、「ご理解ください」や「ご了承ください」には、謝罪の意味は含まれていませんので注意が必要です。「大変申し訳ございませんが」「恐縮ですが」といったクッション言葉を活用して、相手への敬意を表しましょう。あるいは「悪く思わないで欲しい」という意味の「あしからず」を使い、「あしからずご了承ください」と言い換えることもできます。

「海容(かいよう)」は耳慣れない言葉かもしれませんね。「海のように広い寛容な心で、相手の過ちや無礼などを許すこと」であり、主に手紙文で用いられます。

***

「ご容赦ください」は、相手の期待や要望に応えられないときに理解を求める、お詫びの言葉です。事前に予想される相手の行動を止めたいときも、リスクを避ける意図で使われます。上手に使えば、小さなトラブルを未然に防げるかもしれません。ただし、心からの謝罪を表する言葉ではありませんので、あきらかに自分に非があるときや、目上の方に対しては、「申し訳ございません」「お詫び申し上げます」と、率直なお詫びの言葉で気持ちを表現しましょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂)/『大人なら知っておきたいモノの言い方サクッとノート』(永岡書店)/『これ一冊であとはいらない! 大人の語彙力大全」(中経の文庫) :