「起業には明確な事業スキームが不可欠だ」「クラウドファンディングも資金調達スキームのひとつです」など、最近やたらと目にする「スキーム」。職種や業界によってはなじみが薄いかもしれませんが、スキルアップやキャリアアップを目指すなら、ぜひ覚えておきたい単語のひとつです。「スキーム」というカタカナ語を、正確かつ効果的に使うために、ビジネスシーンや例文、言い換え表現などをご紹介します。

【目次】

あなたの職場の「スキーム」は?
あなたの職場の「スキーム」は?

【「スキーム」とはどんな意味?…基礎編】

■「スキーム」を超訳すると「事業の基本計画」です

英語の「スキーム[scheme]」は、「計画を伴った枠組み」や「枠組みのある計画」といった意味のギリシャ語を語源とする名詞です。日本のビジネスシーンでは、公的機関、あるいは企業や事業レベルの計画や、達成までの仕組みや構造、体系などを指します。簡単にいうと、「事業などの仕組み」や「基本計画」ということになります。

■フレーズ別「スキーム」の「意味」

<事業スキーム>
最もよく使われる「事業スキーム」は「事業計画」や「事業構想」と翻訳でき、単なる立案や計画、業務作業の範囲などとは異なります。「事業スキーム」は、「組織(または個人)が継続的に遂行する事業計画」なのです。

<課金スキーム>
音楽からファッション、飲食やホテルなどの宿泊まで、さまざまサブスクリプションを利用している人も多いのでは? サブスクリプションに欠かせないのが「課金の方法や仕組み」ですが、これがまさに「課金スキーム」というもの。「代金を徴収する仕組み」ですね。

<資金調達スキーム>
起業する際や新規事業開拓時などに、必要な資金を他者から調達する場合がありますが、そのための仕組みが「資金調達スキーム」です。「融資スキーム」ともいい、クラウドファンディングもそのひとつ。クラウドファンディングを成功させるためには、しっかりした「事業スキーム」が必要不可欠ですね。


【「スキーム」はどんな文脈で使われる?…実践編】

では、実際の「スキーム使用例」を見てみましょう。

■1:「3年後の出店を目指し、まずはスキームを組むことから始めよう」

スキームを「組む」とは、事業計画などを「立てる」ということ。「スキームを組む」というフレーズで覚えておくと重宝します。

■2:「〇〇社が先日発表した新規事業は、スキームの独自性も注目された」

「スキーム」を高く評価する際には、「独自性」「既存にはない」「確実な」「綿密な」などで形容すると、文章が生き生きとします。

■3:「ご質問の件につきましては、スキームを確実に実行していくことが先決と考えております」

企業や行政の会見、国会答弁などでも「スキーム」という単語を聞くようになりましたね。

■4:「〇〇の件、スキームの見直し案を来週中に提出しなければなりません」

■5:「御社の事業スキームに可能性を感じ、その一助として働きたく志望しました」


【「スキーム」を使う際の「注意点」】

■「IT業界」や「金融業界」で「スキーム」といえば…

・IT業界での「スキーム」:プログラミング言語のひとつ。人工知能プログラムとして幅広く使われている「リスプ[Lisp]」の派生、いわゆる方言として生まれたもの。 

・金融業界での「スキーム」:「ファンド」とも呼ばれる「集団投資スキーム」は、提供者からの資金を用いて事業運営や投資を行い、それによって得られた収益を資金提供者に分配すること。

■「英語」での会話や文章には要注意!

冒頭で紹介したように、日本のビジネスシーンにおける「スキーム」は英語由来ですが、その英語での使い方にはご注意を。「ピラミッドスキーム」というと「ねずみ講」のことを指すように、英語では「陰謀」「たくらみ」「策謀」といった好ましくない意味もあるのです。


【「類語」「類似語」の使い分け…応用編】

■ビジネスシーンで置き換えられる「類語」

「内容」」と「枠組み」のどちらに比重があるかによって、類語も変化するのでご紹介します。

・内容としての「スキーム」の類語:「基本計画」「構想」「案」「要約」

・枠組みとしての「スキーム」の類語:「枠組み」「仕組み」「図式」「体系」「アウトライン」

■類似語「スキーム」「プラン」「フロー」の使い分け

「計画」という意味では似ているのですが、混乱を生まないためにもしっかり使い分けることが肝心です。

・スキーム:実現に向けた具体的な方法や手順まで含む枠組み。

・プラン:予定や希望的観測も含まれている段階のもの。

・フロー:「何から始め、どのようなステップを経て到達するのか」といった一連の流れのこと。


【知っておきたい「スキーム関連用語」】

■スキーム図

「スキーム」の外せない情報である「ヒト・モノ・カネ」の、相互関係をわかりやすく図解化したもの。

■URLスキーム

情報資源の所在とその属性を示す文字列。httpやhttpsなど、URL(URI)のコロン(:)より左側の文字列を指す。URIスキームともいう。

■評価スキーム

人事評価や事業評価を客観的に行うための枠組み。スキルアップに欠かせない自己評価の指針にもなる。

 

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「カタカナ語」や「ビジネス用語」は、使い慣れないとうっかりミスをしてしまいがち。クライアントや上司から「スキームはどうなっている?」と問われて「?」とならないためにも、シチュエーションや文脈から瞬時に正しい意味を理解したいですね。本日は「スキーム」について学びました。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『情報・知識imdas』(集英社)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『現代ビジネス用語辞典』(日本文芸社) :