「ロジスティクス」の語源である[logistics]は、もともと軍事用語で「兵站(へいたん)」と訳されていました。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる報道で、初めて「兵站」という言葉を目にした方は多かったのではないでしょうか。「ロジスティクス」はここから転じて、「物流全体の最適化・効率化」を目標とした「スマートな物流」を意味する言葉です。少々わかりにくい言葉ですが、この機会にしっかり理解しておきましょう!
【目次】
【「ロジスティクス」の「基礎知識」。わかりやすく説明すると?】
■「ロジスティクス」の「語源」は?
「ロジスティクス」はもともと英語の[logistics]を由来とする軍事用語です。「兵站(へいたん)」と訳され、作戦計画に従って兵器や兵員、弾薬、食料などを確保し、最前線に補給する活動を意味しています。わかりやすい言葉で言えば、「軍事品の調達」ということです。
軍事科学である兵站術、およびその具体的運営技術を、企業経営における物資流動に適用したものが、「ビジネス・ロジスティクス」です。この言葉が産業界全体に普及した結果、現在では単に「ロジスティクス」と呼ばれるようになりました。
■ビジネスシーンで使われるときの意味
ビジネスシーンでは、「物流」と同義に扱われることが多い言葉ですが、「物流」は物資を供給者から需要者に移動する過程、「モノの流れそのもの」を指します。一方で、「ロジスティクス」には、「いかに適切な時間で消費者に商品を届けるか?」という考え方が含まれます。
顧客の要求を満たすという目的のため、原材料の調達地点から消費地点までの物流、生産、サービス、情報、在庫管理、販売、広告など、すべてを統括的にコントロールするプロセスおよびシステムが、「ロジスティクス」です。商品の生産過程から管理するため、不良在庫や欠品の発生を防ぎ、コスト削減が期待できます。
「物流全体の最適化・効率化」を目標とした「スマートな物流」と表現することもできます。
■「ロジスティックセンター」って何?
物流機能と情報ネットワークを利用して、生産から流通までを一元的に管理する部門を「ロジスティックセンター」と呼びます。
【ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文」5選】
■「競争に勝ち残るためには、効率的なロジスティクスの確立が必要です」
■「わが社はロジスティクス部門が弱いので、もっと強化する必要がある」
■「コンビニエンスストアなどにおける商品の発注、物流センターから店舗への配送、陳列・保管といった商品の移動を、『インストア ロジスティクス』と呼ぶ」
■「環境への負荷低減を考慮すれば、商品の容器や包装の再利用などを行う『グリーン ロジスティクス』という考え方が重要になってくる」
■「ロジスティクスには、環境保全や安全対策など、社会的な課題に対処する戦略的な経営管理の意味合いも含まれている」
■「ロジスティクスの追求にはざまざまなメリットがあり、結果的には企業の利益につながる」
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「ロジスティクス」は今後ますます、機械化や自動化に加え、ネットワーク化が進むと言われています。戦時において、軍事品の調達は兵士の生死に関わる重要な課題です。現在の企業活動においても「ロジスティクス」の強化は、業務効率化の実現だけでなく、顧客満足度の向上にもつながる、重要な経営戦略のひとつとなっています。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『イミダス』(集英社)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『「知ったかぶり」を解消する! ビジネス用語図鑑(WAVE出版) :