「クリティカル」と聞いて思い浮かぶのは「クリティカルヒット!」でしょうか? 2021年初頭にブレイクした吉本興業の男女コンビ芸人、Everybody(エビバディ)のネタ「クリティカルヒット!」は、リズム感と顔芸が特徴で、意味がわからなくてもおもしろいですよね。しかしビジネスシーンで使われる「クリティカル」については、しっかり把握しておきたいもの。「クリティカルヒット!」のように、テンポよくご紹介します。
【目次】
【「クリティカル」のビジネス用語としての「意味」】
■「クリティカル」はざっくりいうと「マズい!」ということ?
まずは意味を見てみましょう。『日本国語大辞典』で引くと【(1)危機的であるさま。また、病気や症状が重いさま。(2)批判的であるさま。批評的なさま】とあります。
要するに、「マズい!」「ヤバい!」ということですね。
■語源
英語の[critical]という形容詞からきているカタカナ語ですが、もとはギリシャ語の「見分ける」や「分析する」という言葉からきています。英語の[critical]には、大きく分けて3つの意味があります。
1)重大な、重要な
2)物事の長所と短所について考察すること、厳しく批判すること。懐疑的な、批判的な。
3)命にかかわる危機や重篤な状態
ビジネスカタカナ語としては、1と2が当てはまります。
■ビジネスシーンでの意味
重大な場面や、重要な案件を指して「クリティカルな状況」や「クリティカルな案件」といいます。「批判的」といった意味で使われることもありますが、正確には「客観的に分析して善しあしを判断した」という意味です。
「危機的な状況です!」とは報告しづらくても、「クリティカルな状況です!」と言い換えれば、前向きな気持ちになれそうですね。
【「クリティカル」を用いた「ビジネス例文」と「言い換え」「類語」】
ビジネスシーンでどのように使われているのか、例文で見てみましょう。
■例文1:「部下の査定は、常にクリティカルでなければなりません」
■例文2:「納期に間に合うか、クリティカルな状況だ」
■例文3:「取引先より、大変クリティカルな意見を頂きました」
では、これを「クリティカル」を使わずに言い換えてみます。
■1の言い換え:「部下の査定は、常によい面と改善すべき面を同時に評価すべきです」
■2の言い換え:「納期に間に合うか、かなり危うい状況だ」
■3の言い換え:「取引先より、大変参考になる意見を頂きました」
「クリティカル」の類語として、下記の単語も活用できます。
・危機 ・限界点 ・決定的 ・致命的 ・ピンチ ・批判的 ・懐疑的 ・客観的
【なるほど!な「クリティカル」の「関連用語」】
■クリティカルシンキング
物事や情報をそのまま受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること。
■クリティカルパス
プロジェクトの全工程を最短時間で完了するために重要な作業経路のこと。プロジェクト推進にあたっては、「クリティカルパス」をいかに短くしてコストを圧縮するかという観点で管理がなされます。
■クリティカルポイント
消費者の関心を引きつけるために必要とされる、小売販路の数や広告量のこと。望ましい結果を得るために必要とされる十分な数あるいは量。物理・理工の分野では「臨界点」や「臨界質量」をいいます。
■クリティカルエラー
コンピューターの致命的なエラー。また、ソフトウエアが修復不可能な状態を指します。
■クリティカルヒット
「とどめの一撃」や「致命的なダメージ」のこと。
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確かに危機的状況時に「クリティカル」を使うことがありますが、ビジネスシーンでは公平に批評や判断する意味で使いたいものですね。意味や使い方をしっかり把握していないと「うわべだけの会話」や「ちぐはぐな返答」になりがちなのがカタカナ語。毎日ひとつずつ、着実に覚えていきましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『情報・知識imdas』(集英社)/『いまさら聞けない ビジネス用語BOOK』(成美堂出版)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館) :