パソコンやスマホはもちろん、家電やゲームなど、以前は当たり前だった分厚い「取扱説明書」が姿を消しつつあります。例えば、アプリを開くと、最初に解説画面が表示されますよね? ユーザーはこれに従って初期設定などを進めていくだけ。今回は「チュートリアル」について解説します。
【目次】
【「チュートリアル」の「基礎知識」】
■「チュートリアル」を簡単にいうと、「個別指導」ってこと!
まずは言葉本来の意味をチェックしましょう。英語の[tutorial]は、「個人指導教官による」という意味の形容詞と、「個別指導」「指導書」「アプリケーションソフトに習熟するための学習プログラムや取扱説明書」という意味をもつ名詞があります。 語源はラテン語で「保護者」を意味する語。
カタカナ語の「チュートリアル」も、英語圏での使われ方とほぼ相違ありません。もともとは親切丁寧に1対1で教えてくれる家庭教師、もしくはそのような教え方のことを指していました。例えば予備校では、大学生がアルバイトでチューターを務め、生徒と1対1で受験対策のアドバイスなどの相談に乗っています。
IT時代になって以降は、「IT機器やソフトウエアの使い方について、親切丁寧に解説してくれる教材(ヘルプ機能)」を、「チュートリアル」と呼ぶようになりました。3Dプリンターやミシンなど、多様な操作を必要とする商品には、「チュートリアル」を収録したDVDが付属していたり、ダウンロード可能なURLが付いているものもあります。
■ビジネスシーンで使われるときの意味
ビジネスシーンで使われる「チュートリアル」も、「IT機器やソフトウエアに関する使用説明書や教材」を指しています。
従来、説明書は冊子に頼っていましたが、現在はアプリケーションソフトやOSそのものに付属しているのが主流です。このことから、画面の指示に従って操作をすれば、1人でも自然と基本操作を覚えられる「教育用プログラム」のことを「チュートリアル」といっています。画面の指示通りに行えばいいので安心ですね。
また、ゲームの分野における「チュートリアル」は、ゲームの序盤に必ず行われる、ゲームの基本操作を解説する部分を指します。流れのなかでユーザーが自然と操作できるようになる仕様になっており、ゲームの世界への導入も兼ねています。
【知っておきたい「チュートリアル」の「関連用語」】
■「チュートリアル動画」とは
ソフトウエアの使い方に限らず、料理の手順や、かぎ針でバッグを編む方法などを解説している動画を、「チュートリアル動画」と呼びます。以前は書籍を購入しなければわからなかったようなテクニックを、その分野が得意なYouTuberが次々と動画解説してくれるので、とても便利ですね。
【「チュートリアル」の「言い換え」表現は?】
■マニュアル
「マニュアル」も「取扱説明書」や「手引き書」を意味しますが、文字情報を読んで自分で理解する必要があることがポイント。「チュートリアル」は誰にでもわかるよう、動画も含め、より丁寧な解説であることに違いがあるといってよいでしょう。
■レクチャー
「レクチャー」も「講義や講演」、「説明をすること」の意味で「チュートリアル」と同義ですが、対象人数は一般に「チュートリアル」より多くなります。
【「チュートリアル」の「使い方」がわかる「例文」5選】
■「個別指導」の意味で
・「予備校時代は、現役大学生のチューターが親身に相談に乗ってくれた」
■「IT器機に関する使用説明書や教材」の意味で
・「チュートリアル動画を見ながらだったので、複雑な操作も理解できた」
・「ソフトの使用法がわからないときは、まずチュートリアルを見てみよう」
・「チュートリアルを見ながらアプリを操作するときには、端末が2台あると便利だ」
■「ゲームの基本操作の解説」の意味で
・「スマホのゲームはチュートリアルから始まって、アイテムなどの特典がもらえるものも多い」
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パソコンでもスマホの操作でも、知りたい情報は大概、「チュートリアル動画」をインターネットで検索すれば調べられます。目で見てわかりやすい解説は便利な一方で、電話で直接、問合せを受け付けるメーカーや企業はぐっと減りました。IT器機を使い慣れない高齢者やビギナーとって、より親切で使いやすい機能として、「チュートリアル」が進化するといいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP) :