京都には、伝統と革新が違和感なく共存しています。それは、古いものを大切に守りながら、新しいものを受け入れる懐の深さがあるから。そんな京都のおもしろさ、京都の今が感じられる名店・名皿を3回に渡ってご紹介。
第2回目は、「京都でしか味わえない最高の洋食店」を食べすぎ系ライター・T、レストランジャーナリスト・I、ミーハー編集者・Eの3人がセレクト。ぜひ京都の最新スパニッシュ、イタリアン、フレンチを堪能してみてください。
■1:炭火焼きが個性的なスペイン料理店「acá1°」(烏丸御池)
東 鉄雄シェフの炭火焼き台の前でじっと焼き加減を見つめる姿が特徴的な、acá1°。網を操作しながらの火入れを見られるカウンター席は、全国から予約が殺到する特別席です。25歳で料理の世界に入った東シェフは、修業中にスペイン・バスク地方へ足を運んだ経験から、「そこで得たのはモダンな料理より、素材を生かす郷土料理の奥深さでした」と語ります。
帰国後、2013年に独立。コース1本で料理の求心力を発揮しています。料理もワインもおまかせの至福を味わってみてはいかがでしょうか。写真の料理はすべておまかせコース¥12,000となっています。
■2:野菜イタリアンのトップランナー「cenci」(神宮丸太町)
小さな入り口から中へ進むとパッと劇場空間が広がる、cenci。しかもイタリア風のレンガの壁や木を組んだ独特の空間です。坂本健シェフ自ら土を掘り、レンガを焼いて、10か月かけてつくり上げています。
坂本シェフ曰く、「中央のキッチンに立つと、お客様の様子がすぐわかるし、お客様からも僕が見える」とのこと。イル・ギオットーネの笹島保弘シェフの右腕として約12年活躍後、独立したそうです。京野菜の名手は第2幕で主演。連日満員御礼となっています。写真の料理はすべて夜のコース¥10,000です。
■3:京のたたずまいにフレンチの心意気「山地陽介」(祇園四条)
祇園のど真ん中の町家に表札が出ている、山地陽介。在仏合計11年のキャリアをもつ山地シェフが時間をかけて祇園になじみ、2015年6月に念願の店をオープンしました。経緯について「最高の和食を知っているお客様から求められているのは本物ではないかと」とコメント。
京の素材にフランス料理の技法、そして最後に添えたソースで山地シェフの料理は完成します。3年目に入り、チーム力もアップ。まだまだ進化し続けること確実のフランス料理店といえるでしょう。写真の料理はすべて夜のコース¥15,000です。
以上、京都育ちのラテン系名皿を集めてみました。本稿で取り上げたお店について、レストランジャーナリスト・Iは炭火を絶賛。「今年も1ツ星をキープ、予約困難のスペイン料理・acá1°。炭火使いが個性的でよかった」とのこと。
これに対してミーハー編集者・Eは、「京都のイタリアンはどこも元気ですね」と返答。食べすぎ系ライター・Tは「cenciはその筆頭」と同調し、Iがcenciを「凝った内装、和ではないところがおもしろい」と評価しています。
フレンチに関しては、Tが「フレンチの山地陽介は祇園らしい和の空間で」とコメント。最後にIが、「どの店も厳しい客に育てられた洗練を感じるわ。そこが京都の底力ね」のひと言で締めくくりました。
京都は日本料理だけではありません。旅行中に西洋料理が食べたくなったら、このなかから選んでみてはいかがでしょうか。
- PHOTO :
- ハリー中西
- EDIT :
- 寺尾妙子、遠藤智子(Precious)
- RECONSTRUCT :
- 藤岡あかね
- SUPERVISION :
- 犬養裕美子