今回取り上げる「ストラクチャー」は、聞き慣れないカタカナ語かもしれません。でも、単語そのものにはなじみがなくても、このワードから派生した「インフラ」や「リストラ」はご存じですよね。さまざまなシーンでの使用についても、インターネットで意味を検索されることの多い「ストラクチャー」について、学んでいきましょう。 

【目次】

「ストラクチャー」というワード、使ったことありますか?
「ストラクチャー」というワード、使ったことありますか?

【「ストラクチャー」とは…基礎編】 

■英単語としての意味は「構造」「組織」「建造物」

英単語の「ストラクチャー[structure]」は、構造・構成・組織・機構・建造物などを意味する名詞です。日本語では「ストラクチュア」とも表記されます。

■ビジネスシーンではこんな意味!

建築関連での「ストラクチャー」は、広い意味での建造物のこと。「ビル」も「橋」も、ニューヨークの「自由の女神像」のようなものも「ストラクチャー」です。

そのほかのビジネスシーンでの「ストラクチャー」は、企業や事業の「構造」や「骨組み」を指して用いられます。また、M&A(企業の買収・合併)のシーンでは「手法」や「手順」という意味でも使われます。


【ビジネスでの一般的な使い方がわかる「例文」…実用編】

■1:「新規事業のストラクチャーについて説明いたします」

■2:「M&Aにおけるストラクチャーの選択肢には、株式譲渡や合併、会社分割などがある」


【別の言葉にするなら…一般的な「言い換え」】

聞き慣れない、使い慣れないワードこそ、類語や言い換え表現を含めて覚えておくと、いざというときに役立つはず。下記に挙げた「ストラクチャー」の言い換えワードを見れば、自分のビジネスシーンでも使うことがありそうな、特殊な言葉ではないことがわかりますね。

■構造 ■構成 ■組織 ■組み立て ■システム 


【さまざまな分野での「ストラクチャー」…応用編】

■「金融」「銀行」「融資」の分野では

先物取引やオプション取引といった金融派生商品などを用いて資金調達を行う方法を「ストラクチャードファイナンス」といいます。「仕組み金融」や「仕組み債」とも。

■「医療」「介護」分野でも

介護保険では、介護サービスを提供する施設や事業所の物的資源や人的資源、地域の状態などを表すものを「ストラクチャー指標」といいます。地域のサービス提供事業所数、利用定員数、従事者数に加え、短期集中リハビリ実地加算などによって示される「ストラクチャー指標」をもとに、サービスを拡充させたりします。

​■「ワインの表現」にも

ワインの風味を表現する際に、「テクスチャーがまろやかで、しっかりとしたストラクチャーを感じる」などと言いますね。「テクスチャー」は質感や口当たりのこと、ここでの「ストラクチャー」はワインの「骨格」を意味します。タンニンが豊富などっしりしたスタイルのワインに対してよく使われます。

■「画像の加工・修正」でも  

画像加工アプリなどに見られる「ストラクチャ」とは、撮影した画像のなかで際立たせたい被写体にフォーカスする機能。明るい部分のディテールを浮かび上がらせ、暗い部分をより暗く加工するなどして立体感と粒子感を出し、ドラマチックでプロっぽい仕上がりに。ただし、人の顔に「ストラクチャ」加工をかけると、シミやシワが強調されてしまうのでご注意を。


【「ストラクチャー」からの派生語】 

最後に、「ストラクチャー」から派生した用語をふたつご紹介します。本家より、こちらの方がなじみがあるかもしれませんね。

■インフラ

「インフラストラクチャー[infrastructure]」の略で、産業や生活の基盤を形成する施設・設備の総称です。産業基盤となる施設(道路、港湾、鉄道、空港、工業用水など)や、生活基盤となる施設(住宅、環境衛生、上・下水道、公園、学校など)、厚生福祉施設(病院や福祉施設など)などが含まれます。

■リストラ

「リストラクチャリング[restructuring]」の略。企業などにおける人員削減や組織見直しなどの動きをいいます。また、事業内容の再編・再構築のため、採算が合わない事業からの撤退や、成長分野への進出なども「リストラ」といいます。

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「ストラクチャー」は、なかなか奥の深いカタカナ語でした。分野によって意味が違うように感じるかもしれませんが、実はいずれも「構造」や「骨格」を表しているのです。

この記事の執筆者
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