人前で話をするときには、ぜひ聞き手に「面白い」「もっと聴きたい」と思って聞いてもらいたいですよね。
話し方のポイントを押さえるだけで、グンと聞き手引き付けることもできるのです。そこで今回は、話し方の企業研修を行っている株式会社KEE'Sの代表・野村絵理奈さんに、聞き手を引き付ける話し方のポイントを教えていただきました。
聞き手が飽きる・眠くなる原因
野村さんによると、聞き手が飽きたり、眠くなったりする原因には主に次の7つの原因が考えられるといいます。
1:「つかみ」のテクニックなどがない
2:「描写」テクニックがないので、説明にしか聞こえない
3:「置き換え話」「経験談」などの実感を交えたエピソードがなく、本論しか話さない
4:「間」や「抑揚」がなく、一本調子
5:要点が定まらず、何が言いたいのかわからない=結論が不明瞭
6:一文が長い
7:表情やジェスチャーなどのノンバーバルコミュニケーションができていない
聞き手がぐんぐん引き付けられる話し方7つのポイント
そこで野村さんに、これらの7つの原因に対するそれぞれの対策として、話し方のポイントを教えていただきました。
■1:「つかみ」のテクニックなどがない
「次の、つかみの3テクニックを実践しましょう」
(1)質問する
最初からすべてを話さず、ときどき聞き手に質問を振ることで、双方向性のある話し方になる。
(2)ホッとさせる
失敗談やホッとするような経験談を交えることで、親近感を持って聞いてもらえる。
(3)ドキッとさせる
「もし余命が1年しかなかったら何をしますか?」「みなさんの成功の定義は何ですか?」など、考えさせる質問などを振ることで、聞き手は主体性をもって聞く。
■2:「描写」テクニックがないので、説明にしか聞こえない
「聞き手の五感を使わせるような描写を心がけることで、聞き手が頭の中で映像化できるので、より詳細に伝わりやすく、話している内容が生き生きと伝わり、聞き手を引き付けることができます。また、聞き手が話の内容を疑似体験できるので、聞いていて飽きません」
●五感を使わせる表現
例1) ×「あのプリン、すごくおいしかった」
〇「あのプリン、クリームが軽くて、口の中でフワっととろけちゃった」
【Point】具体的に「どう美味しい」のか、食感などを描写する
例2) ×「先輩、真剣にメール見てたよ」
〇「先輩、真っ青な顔して、携帯のメールをただじっと見つめてたよ」
【Point】どのくらい「真剣」なのか、程度が伝わるよう描写する
■3:「置き換え話」「経験談」などの実感を交えたエピソードがなく、本論しか話さない
「本論を深める、『例えば史実では…』『私も先日こんなことがありました』というようなエピソードを加えることで、説明が分かりやすくなります」
■4:「間」や「抑揚」がなく、一本調子
「間がないと、聞き手は直前に聞いた内容を消化しきれないまま次の話題を聞くので、そのうち聞くこと自体をあきらめてしまうことになってしまいます。間には次の2種類があります」
(1)理解の「間」
段落が変わる、話の内容が転換する場面で置く間。5秒くらい間を置くことで、聞き手がさっき聞いた内容を頭で整理して、次の話題を聞くことができる。
(2)強調の「間」
大事な言葉の前後に間を置くことで、大事なフレーズが伝わる。結果、話の中で特に伝えたい言葉がしっかりと聞き手の記憶に残る。
■5:要点が定まらず、何が言いたいのかわからない=結論が不明瞭
「最初に『結論』を言います。その後、結論を下支えする『理由』もしくは『話のポイント』を話します。最後に、付け加えるべき『詳細』を話すようにします。結論が明確で、聞き手は話を理解しやすくなります」
■6:一文が長い
「体現止めなどを使って、一文を短くしましょう。一文の目安は5秒程度で言えるもの。これが最も聞きやすいです。話の内容まで5秒で区切る必要はありませんが、ところどころ意識して短く区切りながら話すと、テンポの良い話し方ができます」
■7:表情やジェスチャーなどのノンバーバルコミュニケーションができていない
「言葉以外にも大事な要素があります。それは、表情、手ぶり身振りなどのノンバーバルコミュニケーション。話の内容に応じて表情を変えたり、感情の起伏に応じて体の動きを付けたりします。取り入れやすいジェスチャーは、数字や大きさ、形状などの動作。こうして言葉に動作を付けると立体的に伝わり、聞き手が引き付けられます」
聞き手を飽きさせない、眠くさせない話し方ができる人は、周りから一目置かれ、人気も高まるはず。また、何より、言いたいことがきちんと伝わるというのもメリットといえます。ぜひポイントを押さえて取り入れてみましょう!
http://www.kees-net.com/
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利