仕事の最中に「~ですが」という言い方をすることってありませんか? 何かを否定するわけでもなく、口癖のように使っている…という人もいるのではないでしょうか。日常的に使っている言葉こそ、しっかり意味や使い方を把握しておきたいもの。本日は「ですが」について確認していきましょう。
【目次】
【きちんと知りたい!「ですが」を徹底解剖】
■接続詞としての「ですが」
まずは言葉の成り立ちを見てみましょう。
「ですが」は、助動詞「です」に助詞の「が」がついたもの。「だが」の丁寧な言い方です。
■ビジネスシーンでの「ですが=(1)否定や代替」
会話文に用いられ、相手の述べた事柄を受けとめたうえで、別の意見や案を述べる際に使う接続詞です。直前の言葉を否定したり反対します。また、「頭痛や咳は治まりました。ですが熱は下がりません」というように、否定ではなく「AだけどB」という場合にも使います。
いずれにしても「ですが」というフレーズが出てきたら、なんらかの意見や提案、注意すべき話題があると思ってよいでしょう。
■ビジネスシーンでの「ですが=(2)ことわりやクッション」
「否定」でも「代替」でもなく、「ことわり」を表現することも。「営業部の〇〇ですが」というように、名乗る際などにも使います。「恐縮ですが」や「失礼ですが」というフレーズは、よく使われる“クッション言葉”でもありますね。
■ビジネスシーンで便利な理由
ビジネスシーンで「ですが」が頻出するのは、相手の意見や提案を全否定するのではなく、「それもわかりますが、私はこう思います」など、こちらの意見をソフトに伝えられるからでしょう。「あなたの意見も受け入れた」と表しているところがポイントです。
【ビジネスシーンでの「ですが」の使い方】
■「ですが」は敬語? 取引先の人にも使ってもOK?
敬語の種類でいえば「ですが」は丁寧語にあたります。尊敬語や謙譲語ではなく、また「そうですが」の略語とされているため、目上の人に対して使うのは得策ではありません(基本的に目上の人に対して「略語は失礼にあたる」とされています)。「部内の上司」になら問題はないでしょうが、取引先などの目上の相手には使用できないと心得て。
■会話のみで使える? メールでも使える?
主に会話で使用されます。接続詞なので、その話題での冒頭や文頭で使用することはありません。
メールや資料などの文章に用いる場合は、「ですが」ではなく、「しかし」や「しかしながら」など、接続詞としてフォーマルなワードのほうがよいでしょう。取引先の目上の人など、「ですが」を使いにくい相手やシーンでも同様です。
【ビジネスシーンで今すぐ使える「例文」6選】
■1:「画期的なご提案ですが、今回は安全策をとりたいと思います」
■2:「〇〇さんのおっしゃることはもっともですが、先方の言い分にも一理あります」
■3:「大変興味深いご提案をありがとうございました。ですが、実行するには期間が十分ではなさそうです」
■4:「A社の見積りは想定外に高額ですが、提案内容は飛び抜けて魅力的です」
■5:「この案件は当社の得意分野ですが、経験や実績に甘んじることなく、よりご満足いただけるよう精進いたします」
■6:現在は多くの方にお待ちいただいておりますが、15時頃にはお席のご用意ができるかと存じます」
【「ですが」の「言い換え」「類語」表現 】
ビジネス関係を円滑に保つのに役立つ「ですが」という表現を、別の言葉で言い換えると下記のようになります。
■「話し言葉」としての言い換え
・ですけれど
■「書き言葉」としての言い換え
・しかし ・しかしながら
いずれも「ですが」と同じ逆接の接続詞です。「でも」や「だけど」も逆説接続詞ですが、敬語表現ではありませんし、ビジネスシーンで大人が使用するワードとしては稚拙すぎるので注意しましょう。
【使用上の「注意点まとめ」】
■相手の意思や先行している意見などをしっかり理解したうえで使用する
■その話題の冒頭や文頭では用いない
■取引先など目上の人には使用しない
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今回の「ですが」は、円滑なコミュニケーションに重宝するフレーズ。ですが、あまり多用すると「何が言いたいの?」ということにもなりかねません。便利に使える言葉こそ、ここぞというときに効果的に使いたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すぐに使えて、きちんと伝わる 敬語サクッとノート』(永岡書店)/『とっさに使える 敬語手帖』(新星出版社) :