書類を添付したメールの文末などで使用することが多い「ご確認の程(ほど)よろしくお願いいたします」というフレーズ。確認を依頼する相手に配慮した敬語表現です。今回はこのおなじみの定番フレーズを徹底分析。正しく理解することで、敬語表現のバリエーションが豊かになりますよ。
【目次】
- 「ご確認の程よろしくお願いいたします」を徹底分析!
- バリエーションを知るための「例文」10選
- 相手から言われたときの「返事」「返信」は?
- 「ご確認の程よろしくお願いいたします」を使いこなすキーポイント
【「ご確認の程よろしくお願いいたします」を徹底分析!】
■意味を簡潔にいうと?
「ご確認の程よろしくお願いいたします」は、「確認お願いします」を、より丁寧な敬語表現にしたフレーズです。文法的には「ご-確認-の-程-よろしく-お-願い-いたし-ます」と分解できます。
■「〜の程」には、依頼の表現を和らげる効果が!
では、「ご確認の程よろしくお願いいたします」を細かく解説していきましょう。
「ご確認」の「ご」は、名詞化された行為の主体を立てる「接頭語」。この場合は「確認」する人に対する敬意を表しています。
このフレーズのポイントとなるのが、「〜の程」です。文章としては「ご確認、よろしくお願いいたします」でも間違いではないところを、あえて「〜の程」とすることで、断定を避け、表現を和らげる用法になっているのです。
「よろしく」は人に何かを頼むときに添える言葉で、続く「お願いいたします」も、謙譲語の「いたす」を使うことで「お願いします」よりも敬意を強めた表現となっています。
以上のように、「ご確認の程よろしくお願いいたします」は、確認を依頼する相手に失礼がないよう、充分に配慮されたフレーズです。
■「程」? それとも「ほど」?
「〜のほど」の表記は、ひらがなでも漢字の「程」でも、間違いではありません。「のほど」とひらがなで表記した方が柔らかな印象になりますので、この言葉を使う状況に応じて使い分けてはいかがでしょう。契約書の送付など、少々改まったシーンであれば、漢字表記のほうがフォーマルな印象になります。
■「〜の程」の後に読点は必要?
読点は文章の読み誤りを防ぐためや、長い文章を読みやすくするために使われますが、こうでなければならないという明確なルールはありません。相手が文章を読みやすいようするための気遣いやマナーでもあるのです。
・ご確認のほどよろしくお願いいたします。
・ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
・ご確認の程よろしくお願いいたします。
・ご確認の程、よろしくお願いいたします。
上記4つのうち、どれがお好みでしょうか? 一般的には、この程度の長さの文章を一気に読みとるのは容易ですから、読点を入れない書き方も多いかもしれませんね。「確認」の行為をさりげなく強調したいとき、あえて読点を入れるというテクニックも。
印象を和らげる「〜の程」は、「ご検討の程」「ご了承の程」「ご理解の程」など、便利に使える言葉ですが、多用するとくどい印象になりますので、使いすぎには注意しましょう。
【バリエーションを知るための「例文」10選】
「ご確認の程よろしくお願いいたします」は、メールなどの文書だけでなく、対面でも活用できるフレーズです。敬意の強さの度合いを含め、バリエーションを例文でチェックしてみましょう。
■相手との関係性に応じて、敬意の度合いを調整して
丁寧語、謙譲語が使われた「ご確認の程よろしくお願いいたします」は、目上の方にも使える丁寧な敬語表現です。ただ、親しい上司や同僚に対して、あるいは頻繁な確認作業のやり取りがあるケースなどでは、少々堅苦しくまわりくどい印象かもしれません。
・確認よろしく。
・確認してください。
・確認お願いします。
反対に、取引先へのメールや改まった文書など、相手への敬意をより強めたい場合の例をご紹介しましょう。
・ご確認の程よろしくお願い申し上げます。
・ご確認いただけますようお願い申し上げます。
・ご確認くださいますようお願い申し上げます。
・ご確認いただければ幸いです。
■さらに相手をおもんぱかる表現にするなら?
「ご確認のほどよろしくお願いいたします」の前に、相手の状況に配慮したクッション言葉を添えると、さらに丁重な印象になります。
・お忙しいところ恐縮ですが、ご確認の程よろしくお願いいたします。
・お手数ですが、ご確認いただけますようお願い申し上げます。
・大変恐れ入りますが、ご確認いただければ幸いです。
【相手から言われたときの「返事」「返信」は?】
「ご確認の程よろしくお願いいたします」は、依頼する相手に対する配慮がにじんだ敬語表現です。もしも自分がこのようなフレーズで依頼を受けたのなら、こちらからも相手に敬意を表するのがマナーです。
■承知いたしました ■かしこまりました ■確認いたしました
【「ご確認の程よろしくお願いいたします」を使いこなすキーポイント】
■「の程」の多用は、くどい印象になるので注意。
■相手との関係性で敬意の強さを加減して。
■クッション言葉を活用して、より柔らかな印象に。
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日本語の敬語表現は、バリエーションが豊かですね! ごくごく親しい友人同士なら「確認よろしく」の6文字で済んでしまうかもしれません。とはいえ、ビジネスシーンでは、相手に配慮した丁寧な表現、しかも関係性にマッチした敬語表現が、ビジネスを円滑に進めるキーポイントになります。この辺り、常にご確認のほど、よろしくお願いいたします。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂) :