ビジネスシーンで、上司や取引先からの「依頼という名の無茶振り」を経験したことがある人は多いのではないでしょうか。今回のテーマは、依頼を「やんわり断る」気遣いのフレーズ。極力、角が立たないよう、相手の気持ちを刺激しないよう、それでいて「お断り!」の意志を明確に伝える、大人の語彙力発揮の実用フレーズをご紹介します!

【目次】

断るときこそ「大人の語彙力」が必要です。
断るときこそ「大人の語彙力」が必要です。

【キャパオーバーにならないためにも。「断る」勇気は大切】

上司からの突然の残業依頼や、取引先からの理不尽な要求…「できないものはできない」「嫌なものは嫌」などと、きっぱり断り切れれば苦労はないのですが、現実的には難しいですよね。とはいえ、相手の依頼を一方的に受け入れていては、キャパオーバーによる不測のミスを誘発してしまう可能性も無理な要求をエスカレートさせないためにも、ときには「断る」勇気が必要です。そして「断る」シーンこそ、大人の気遣いや言葉選びが大切なのです。


【角を立てずに断るための「ポイント」は?】

先約があったり手が空いていなかったり、あるいは社内のルールで…などなど、依頼を断るには、こちらにも断る事情があるものです。とはいえ、先方があなたに頼んでくるのは、ほかでもなく「あなたを見込んで」のことかもしれません。こうした相手の気持ちに寄り添いつつ、慎重に言葉を選んだ言い回しで、失礼のないようお断りするポイントをご紹介しましょう。

■「残念ながら」「申し訳ありませんが」「あいにくですが」などのクッション言葉で、まずは「相手の気持ちに寄り添う姿勢」を見せる。
■断るのは個人的には「どうしようもない」理由で、「残念である」気持ちをにじませる。
■誤解が生まれないよう、改まった言葉できちんと断る。
■断る理由を伝えると角が立つ場合は、詳細は言わない。
■「忙しいので」を断る理由にしない。
■代替案が提示できるのならば、提示する。


【「上司」や「先輩」に使える「お断り例文」4選】

■1:今の自分の実力では無理!依頼を上手に断りたい。

<ポイント> 相手の期待に感謝したうえで明確に断りましょう!

NG:とてもじゃないですが、私には無理です。

OK大変光栄なお話ですが、若輩者の私ではお役に立てそうにありません。

OK:私には荷が勝ちます。今回はご辞退させていただけると幸いです。

 *「お役に立てそうにありません」を「力不足です」と言い換えても。

■2:断る理由を言うと角が立つときは?

<ポイント>  仕事の場にふさわしい、少し改まったフレーズを活用! 

NG:すみません、とにかく無理です。

OK:せっかくのお話ですが、今回はよんどころない事情がございまして…。

OK諸般の事情により、今回はご辞退(ご遠慮)させてください。

 *「よんどころない」を「のっぴきならない」「やむを得ない」と言い換えても。

■3:急な用事を言いつけられたら?

<ポイント> 「忙しい」を言い訳にしない!

NG:今、忙しいのでできません。

OK:申し訳ありません。差し迫った案件を抱えておりまして、手がふさがっております。

OKあいにく少々立て込んでおります。申し訳ありません。

■4:上司からのパワハラ・セクハラには?

<ポイント> 「本来の人柄に戻ってほしい」旨を伝え、良心に訴える言い方で。

NG:そういうことは止めてください!

OK:○○さんらしくないおっしゃり方ですね。

OK:さすがにお戯れが過ぎませんか。


【得意先など「社外」の相手に使える「お断り例文」6選】

■1:取引先からの提案を断ることになってしまったら?

<ポイント> 相手に寄り添い、残念な気持ちを表して!

NG:ごめんなさい。採用できませでした。

OK誠に遺憾ではございますが、今回は貴社のご意向に沿いかねる結果となりました。

OKご希望に添えず恐縮でございますが、今回はご対応いたしかねます

■2:絶対に応じられない納期や見積もりを相談されたら…。

<ポイント> クッション言葉で無念さをにじませて。

NG:そういったことはできません。

OK大変恐縮ですが、今回はご期待にはお応えいたしかねます。何卒ご容赦ください。

OK恐れ入りますが、時期が時期だけに難しい状況です。誠に申し訳ございません。

■3:時間外の作業依頼には?

<ポイント> 改まった言葉で重要性の高い仕事を抱えていることを匂わせて。

NG:もう失礼してしまいました。

OK:大変申し訳ありませんが、少々立て込んでおりまして…。

OK:誠に恐縮ですが、折悪しく、都合がつかず申し訳ございません。

■4:引き受けざるを得ない、無理な依頼に対しては?

<ポイント> 「次回は無理!」という主旨をきっぱり伝える!

NG:こういったことは次は絶対に無理です。

OK:このようなことは今回限りにさせていただきたく存じます。どうかお汲み取りください。

■5:無理難題を言いつけられたら?

<ポイント> 理不尽な状況こそ、冷静な言葉使いを。

NG:そんなこと、認められるはずがありません。

OK:大変恐縮ですが、それは承服いたしかねます。

■6:無理な要求が重なり、今後の取引を断りたいときは?

<ポイント> 「断る」ことを「遠慮する」という言葉で表現して。

NG:もう次のお取引はできません。

OK:今後のお取引はご遠慮させていただきます。

***

少々理不尽な依頼だとしても、頼む側にも理由はあるものです。失礼にならないよう、角を立てないように断るためには、やはり「相手の気持ちに寄り添う姿勢」が何より大切です。「残念ながら」「申し訳ありませんが」「あいにくですが」などのクッション言葉で、「意に添えず、すまなく思う気持ち」を伝えましょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)) /『印象が飛躍的にアップする大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) /『大人なら知っておきたいモノの言い方サクッとノート』(永岡書店) /『心理学的に正しい!人に必ず好かれる言葉づかいの図鑑』(宝島社) /『ひと言で知性があふれ出す 大人の語彙力が身につく本』(かんき出版) /『大人の語彙力ノート』(SB Creative) :