「2名様でよろしかったでしょうか」「この商品でよろしかったでしょうか」—街なかでよく耳にするフレーズですが、これってなんだか変ですよね。さて、どこが変なのかわかりますか? 正しい日本語を理解しておくことは“大人の語彙力”を高めるために必須です。今回は、この「よろしかったでしょうか」について、NGシーンやOKシーンもあわせて学びましょう。

【目次】 

「よろしかったでしょうか?」はなぜ浸透した?
「よろしかったでしょうか?」はなぜ浸透した?

「よろしかったでしょうか」はなぜNG?】

商品の購入時や、飲食店で注文した料理が運ばれてきたシーンなどで、確認する際に使われている「よろしかったでしょうか」というフレーズに、違和感を覚える人の“語彙力”は正しいといえます。なせNGフレーズなのか、見てみましょう。

■ここが間違い!

「よろしかった」という部分が間違っています。現在の出来事(確認)を過去形にしているからです。

■正しくは…

「よろしいでしょうか」や「よろしいですか」「間違いありませんか」「構いませんか」などが正解です。

■どうしてNG敬語が浸透したのか?

「よろしかったでしょうか」は、コンビニエンスストアやファミリーレストランなど、比較的若い従業員が多いサービス業界での接客時によく使われる、「バイト敬語」と呼ばれる独特な言い回しのひとつです。過去形にすることで、より丁寧な言い方になるとの勘違いから浸透していったともいわれています。この「誤ったバイト敬語」に慣れてしまうと、自分で気づくか誰かに指摘されなければ、職場が変わっても誤ったまま使用してしまいます。


ビジネスでは使えない「NGシーン例」と「言い換え」表現】

実は「よろしかったでしょうか」が使用できるケースもあるのですが、まずはNGシーン例と、正しい言い換え表現を見てみましょう。

■1:×「新しい商品をお持ちしました。こちらでよろしかったでしょうか」

   〇「新しい商品をお持ちしました。こちらでよろしいでしょうか」

■2:×「お支払いは現金でよろしかったでしょうか」

   〇「お支払いは現金でよろしいでしょうか」

■3:×「窓側のお席のご予約でよろしかったでしょうか」

   〇「窓側のお席のご予約でよろしいでしょうか」

現在の出来事を確認する意味で使用する場合、「よろしかったでしょうか」はNGです。「よろしいでしょうか」「よろしいですか」「間違いありませんか」「構いませんか」などに言い換えましょう。


ビジネスでも使える「OKシーン」

過去の事柄や、相手が承知している事について確認する場合には、「よろしかったでしょうか」は正しい問いかけの敬語です。「よろしかったでしょうか」が使えるシーン例を挙げてみます。

■1:「本日は13時にお待ち合わせということでよろしかったでしょうか」

■2:「先ほどのご注文は〇〇でよろしかったでしょうか」

■3:「サンプルを営業部のA様宛て発送しましたが、よろしかったでしょうか」

■1や2のようにすでに交わしてある約束や注文内容の確認、■3のように終了している行為に問題がないかどうか確認する場合などでは、「よろしかったでしょうか」が使えます。


「よろしかったでしょうか」と言われたときの「正しい返答」

■結構です ■構いません

「よろしかったでしょうか」に違和感を覚えても、「はい、結構です」「ええ、構いません」「いいえ、違います」など、通常の返答でOKです。

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「お会計は1000円になります」の「なります」や、「こちらのほうにご記入ください」の「ほう」、「1万円からお預かりします」の「から」なども、典型的な「間違いバイト敬語」。正しい表現をシンプルに使うことが“大人の語彙力”、今回もひとつ覚えてくださいね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)/『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑』(サンマーク出版)/『とっさに使える 敬語手帖』(新星出版社) :