何かを教えてほしいときや、連絡が欲しいときに使用する「お知らせください」というフレーズ、あなたも使っていませんか? 敬語表現として間違いではありませんが、相手や状況によっては“ビジネスNG敬語”ということも! 今回は、ビジネスシーンで、特に目上の人に使用する際の注意点や言い換え表現を、しっかり確認していきましょう。
【目次】
- 「お知らせください」の「意味」とビジネスでの「使い方」
- 「お知らせください」と「ご連絡ください」はこう使い分ける!
- 目上の相手にも使える「お知らせください」の「言い換え表現」
- 今すぐ使える「ビジネス例文」5選
- 同じようなニュアンスで使える「類似表現」
【「お知らせください」の「意味」とビジネスでの「使い方」 】
■意味
「知らせる」という単語を「お(ご)~ください」という形にした、謙譲語の「お知らせください」。何かを「知らせてほしい」「教えてほしい」際に使う依頼の敬語表現です。あるいは、単純に「連絡してほしい」際にも使用します。
■ビジネスでの使い方
「教えてください」より丁寧な言い回しなのでビジネス向きともいえますが、「ください」は命令形「くれ」の丁寧表現なので、お願いしているというより命令と受け取られる可能性があるのでご注意を。社外の目上の人や取引先などには「お知らせください」ではなく、のちほど紹介する依頼系の言い換え表現を用いるのが賢明です。
【「お知らせください」と「ご連絡ください」はこう使い分ける!】
「お知らせください」と「ご連絡ください」はほぼ同じ意味と捉えてOKですが、使い分けてこそ“大人の語彙力”というもの!
■「お知らせください」には「具体的な何かを教えてほしい」というニュアンスが含まれる
例:「会議に出席できないので、決定事項をお知らせください」
■「ご連絡ください」には「具体的な何かを教えてほしい」というニュアンスは含まれない
例:「到着されましたらご連絡ください。すぐに案内の者を向かわせます」
【目上の相手にも使える「お知らせください」の「言い換え表現」】
■「お知らせくださいますようお願いいたします」
命令系の敬語「お知らせください」を、依頼系の敬語に言い換えたもの。「~ますよう」という言い回しは、「ます」の丁寧語+希望や願望を示す「よう」で成り立った言葉なので、「お知らせください」より依頼のニュアンスが強い丁寧なフレーズになります。
■「お知らせくださいませ」
語尾に「ませ」を用いると、とても柔らかく丁寧な印象を与えるので目上の相手向き。また、丁寧ながら「相手を促す」言い回しでもあります。以前は女性言葉であったため、男性が使用すると違和感を覚えるかもしれません。
■「お知らせいただければと存じます」
取り引き先や、かなり目上の相手にもOKな表現です。「お知らせいただけますと幸いです」も同レベルの丁寧な表現ですが、「幸いです」は依頼のニュアンスが低いので、必ず実行してほしい内容の際には不向きと心得て。
【今すぐ使える「ビジネス例文」5選】
■1:「お打ち合わせの日程を調整しますので、ご都合のよろしい日時をいくつかお知らせください」
■2:「迅速に対応いたしますので、今後のご予定をお知らせくださいますでしょうか」
■3:「資料をご用意しますので、前日までに人数をお知らせくださいますようお願いいたします」
■4:「お忙しいところ恐縮ですが、進捗状況をお知らせくださいませんでしょうか」
■5:「不手際や不都合な点がございましたら、些細なことでもお知らせくださいませ」
【同じようなニュアンスで使える「類似表現」】
・お聞かせください ・お教えください ・ご一報ください ・ご教示ください ・ご報告ください
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「お知らせください」というフレーズが失礼にあたるケースもあるということが、今回の大きな収穫ではないでしょうか。敬語に限らず、言葉や言い回しは時代や関係性で変化していくもの。使い慣れたフレーズも、しっかり見直してみることが大切ですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』南雲社/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店) :