【目次】

「お知らせください」の「意味」とビジネスでの「使い方」 】

■意味

「お知らせください」は、「知らせる」という動詞に、敬語の形式「お~ください」が付いた丁寧な依頼表現です。ビジネスの場では、「知らせてください」「教えてください」「連絡してください」といった意味合いで使われます。この表現は相手に敬意を表しつつ何かを知らせるよう依頼する際に使われ、謙譲語ではなく尊敬語(丁寧な依頼)の形になります。

■ビジネスでの使い方

「お知らせください」は、「教えてください」よりも丁寧でフォーマルな表現のため、ビジネス文書やメールなどに適しています。

しかし、「ください」は敬語であるものの、文法的には命令形「くれ」の丁寧形に由来しているため、場合によっては少し強い印象を与えることがあります。

とくに、社外の目上の方や取引先の担当者などに対しては、「お知らせください」ではやや直接的すぎると受け取られることもあるため、よりやわらかく丁寧な言い換え表現が好まれることがあります。


【「お知らせください」と「ご連絡ください」はこう使い分ける!】

「お知らせください」

 具体的な情報・内容を知らせてほしいときに使います。「何について」知らせてほしいかが明確にある場合に使われることが多いです。そのため、内容が情報として重要である場合や、報告・通知を求める場面に適しています。

【 例文】

■日程が決まりましたらお知らせください。

■会議に出席できないので、決定事項をお知らせください。

「ご連絡ください」

状況の報告やコンタクトそのものをお願いする表現で、「いつ」「どこで」など、連絡という行為そのものが目的のときに使います。電話やメール、訪問など、連絡手段が問われない場合によく使われます。

【 例文】

■到着されましたらご連絡ください。

■変更があればすぐにご連絡ください。

〈使い分けのコツ〉

内容が明確な情報 → お知らせください

連絡というアクションが欲しいとき → ご連絡ください

このような言葉のニュアンスの違いを押さえることで、相手により適切で丁寧な印象を与えることができますよ!


目上の相手にも使える「お知らせください」の「言い換え表現」

「お知らせください」は一般的で丁寧な表現ですが、目上の方や取引先などにはより控えめで配慮ある言い回しが好まれます。以下の表現は、相手との関係性や状況に応じて使い分けると非常に効果的です。

■「お知らせくださいますようお願いいたします」

命令系の敬語「お知らせください」を、依頼系の敬語に言い換えたもの。「~ますよう」という言い回しは、「ます」の丁寧語+希望や願望を示す「よう」で成り立った言葉なので、「お知らせください」より依頼のニュアンスが強い丁寧なフレーズになります。

■「お知らせくださいませ」

語尾に「ませ」を用いると、とても柔らかく丁寧な印象を与えるので目上の相手向き。また、丁寧ながら「相手を促す」言い回しでもあります。以前は女性言葉であったため、男性が使用すると違和感を覚えるかもしれません。

■「お知らせいただければと存じます」

取り引き先や、かなり目上の相手にもOKな表現です。「お知らせいただけますと幸いです」も同レベルの丁寧な表現ですが、「幸いです」は依頼のニュアンスが低いので、必ず実行してほしい内容の際には不向きと心得て。

〈使い分けのコツ〉

表現                      丁寧さ           おすすめシーン
お知らせください                ◎           一般的なビジネスシーン
お知らせくださいますようお願いいたします    ◎◎            文書・メールでの丁寧な依頼
お知らせくださいませ              ○            対面や電話でのやわらかい案内
お知らせいただければと存じます         ◎◎◎           上司や取引先など最も丁寧な表現
お知らせいただけますと幸いです                  ◎◎            丁寧だが確実性はやや低め
 


【今すぐ使える「ビジネス例文」5選

■1:「お打ち合わせの日程を調整しますので、ご都合のよろしい日時をいくつかお知らせください」

■2:「迅速に対応いたしますので、今後のご予定をお知らせくださいますでしょうか」

■3:「資料をご用意しますので、前日までに人数をお知らせくださいますようお願いいたします」

■4:「お忙しいところ恐縮ですが、進捗状況をお知らせくださいませんでしょうか」

■5:「不手際や不都合な点がございましたら、些細なことでもお知らせくださいませ」


同じようなニュアンスで使える「類似表現」

ビジネスシーンでは、状況や相手に応じて表現を使い分けることがとても重要です。以下の表現は、「お知らせください」と同様の意味合いを持ちつつも、微妙なニュアンスの違いがあります。

・お聞かせください

 相手の意見や感想など、主観的な情報を求めるときに適した表現です。
例:「ご感想をお聞かせください。」

 ・お教えください

 「知らせてください」とほぼ同義ですが、質問や確認など、知識・情報を求める場面に使われます。
例:「連絡先をお教えください。」

 ・ご一報ください

 「一度ご連絡ください」という意味合い。簡潔な連絡を求める場面で使用されます。
例:「お手数ですが、ご一報ください。」

 ・ご教示ください

 目上の人に「教えてほしい」ときの最も丁寧な表現。専門的な内容やアドバイスを求める場面で使います。
例:「操作方法についてご教示ください。」

 ・ご報告ください

 業務や作業の進捗・結果を伝える際に使う言葉。上司などに使うのが一般的です。
例:「作業完了後、ご報告ください。」

***

「お知らせください」という表現がすべての相手に適しているとは限らないという点は、今回の大きな気付きといえるでしょう。
言葉は、相手との関係性や時代背景、状況によって微妙に変わるもの。使い慣れたフレーズでも、定期的に見直しながら、より適切で配慮ある言い回しを選ぶことが大切です。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』南雲社/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店) :