仕事というものは、ある意味“誰かの願いを叶えること”。だからこそ私たちは、日々「お願いします」を連発しているのではないでしょうか。会話でもメールなどでのやり取りでも、使わない日はないと言っても過言ではない“お願いフレーズ”、状況や相手に応じて効果的に使いたいものですね。今回はこの「お願いします」について、バリエーション例なども紹介しながら解説します。
【目次】
- 「お願いします」の「意味」と「ビジネスでの使い方」
- そのまま使える「お願いします」の「例文」5選
- もっとビジネス仕様に!「敬語」表現のバリエーション
- ビジネスメールで使える「言い換え」表現
- 「お願いします」使用上の注意点
【「お願いします」の「意味」と「ビジネスでの使い方」 】
■意味
「願」という漢字には、「たのむ」「のぞむ」「祈る」「うらやむ」などの意味があります。「願い」に謙譲表現の接頭語「お(ご)」をつけ、補助動詞「する」の丁寧な言い方「します」で結んだ「お願いします」の意味は、相手に何かを頼む、望む、祈る、ということです。
■使い方
頼んだり望んだりするわけですから、「ご連絡くださいますようお願いします」のように、「目的」を示して「お願いします」と結んで完結させます。
また、会った際に「本日はよろしくお願いします」と言ったり、別れ際やメール文の最後に「よろしくお願いします」など、目的をはっきりさせず、挨拶代わりとしても重宝に使えるフレーズです。
【そのまま使える「お願いします」の「例文」5選】
日常生活からビジネスシーンまで、さまざまに「お願いします」を使った例文を紹介しましょう。
■1:「マスクの着用や手指消毒など、基本的な感染予防対策をお願いします」
■2:「〇〇さんに渡していただけますようお願いします」
■3:「金曜日までに仕上げるようお願いします」
■4:「施設の視察にご同行お願いします」
■5:「引き続きよろしくお願いします」
1から4は、「対策をしてください」「渡してください」「仕上げてください」「同行してください」と言い換えることができますが、「お願いします」を用いることで、より丁寧な印象になっていることがわかります。
【もっとビジネス仕様に!「敬語」表現のバリエーション】
自分の上司や親しい仕事相手なら、前章の例文のように「お願いします」でも問題ないのですが、相手によっては「やや丁寧さに欠けるのでは?」と心配になるかもしれませんね。「お願いします」はさまざまなバリエーションがあるフレーズなので、ふさわしい表現を使い分けることが“デキる”ビジネスパーソンです。
・お願いいたします ・お願い申し上げます ・お願いできますと幸いです ・お願いできますでしょうか
・お願いできませんか ・お願いしたいのですが ・~をお願いしております
「いたします」なのか「致します」なのか、漢字で表記するか否か迷ったことはありませんか? ここで使われる「いたします」は、「お願い」を補う補助動詞。公用語のルールでは補助動詞はひらがな表記とされているので、「お願いいたします」がよいでしょう。
「それは私が致します」のように、動詞「する」の丁寧語として使用する場合は「致す」と漢字を使用します。
【ビジネスメールで使える「言い換え」表現】
「お願いします」の言い換えとして使える表現も覚えておきましょう。
古風な印象でもあるので、会話ではなくメールで使用するのがおすすめです。
・お頼みいたします ・所望します
【「お願いします」使用上の注意点】
「お願いします」は敬語ですが、相手によってはやや命令口調に聞こえるかもしれません。目上の人には「お願いいたします」を。メールなどの文章なら「お願い申し上げます」も使ってください。「恐縮ですが」や「お忙しいところ申し訳ございませんが」などのクッション言葉を用いるのも効果的です。
最後になりましたが、「どうぞ/どうか/切に」といった意味の副詞「何卒」を用いた「何卒よろしくお願いいたします」が、最も使えるフレーズかもしれませんね。
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今回学んだ「お願いします」は、言い回しのバリエーションが多いだけに、相手や状況によって適切に使いたいフレーズでした。引き続きこの連載をご愛読くださいすよう、何卒よろしくお願いいたします。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『新選漢和辞典 Web版』小学館/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社) :