ちょっとした謝罪の言葉として、とっさに「ごめんなさい」と口にすることはよくありますね。でもビジネスシーンでは、特に目上の人に対して「ごめんなさい」を使うのは適切ではありません。今回はお馴染みの「ごめんなさい」を深掘りします。意味や由来はもちろん、「ごめんなさい」に代わる謝罪の言葉を例文でご紹介しましょう。

【目次】

「ごめんなさい」は許してもらうことを前提とした謝罪の言葉。
「ごめんなさい」は許してもらうことを前提とした謝罪の言葉。

【「意味」は?「ごめんなさい」を深く知るための「基礎知識」】 

■そもそも「ごめんなさい」ってどんな意味?

『日本国語大辞典』には、「ごめんなさい」の意味が4つ記載されています。

1 他人に許可を求める気持ちで言う挨拶の言葉
2 他家を訪問したときの呼びかけの言葉
3 特に、人込みに分けいったり、それをかきわけて進むときの言葉。
4 他人に謝るときに言う言葉。

「ごめんなさい」は謝罪の言葉として使われるほかにも、いろいろなシーンで使われています。上記以外にも、公共の場では、例えば自分が落とした物を拾ってもらったときなど、私たちは感謝の意味も込めて「ごめんなさい」を使うこともありますね。

■「語源」と「由来」  

では「ごめんなさい」を文法的に細かく見ていきましょう。『日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』には、「ごめんなさい」は「連語」と記載されています。品詞分解しない、ひとつの語ということですが、もともとは「御免」という名詞と動詞「なさい」から成り立つ言葉です。「御免」の「御」は丁寧の接頭語。「免」には「容赦、許すこと」という意味があり、「御免」は行為の主体(この場合、容赦する人)を敬って表した言葉です。「なさい」は動詞「なさる」の命令形で、「なさる」は「する」の尊敬語です。つまり、「ごめんなさい」は敬語表現にはなっているものの、意味としては相手に「許しなさい」と一方的に告げる、許してもらうことを前提とした表現なのです。

■「ごめんなさい」を目上の人に対して使うのはNG

上記の通り、「ごめんなさい」は許してもらうことを前提とした謝罪の言葉です。敬語表現ではあっても、目上の方に対して使うのは不適切であることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。もちろん、親しい同僚や友人同士の会話であれば、「ごめんなさい」あるいは「ごめん」がふさわしい場面もあるでしょう。ただし、深刻な過失であったり、相手に多大な迷惑をかけてしまった場合は、親しい間柄とはいえ、「ごめんなさい」は不適切であるといえます。


【「ごめんなさい」を丁重な謝罪の言葉に「言い換え」ると?】

■OK:ご容赦ください
■OK:お詫び申し上げます 
■OK:申し訳ありませんでした
■OK:申し訳ございませんでした
■OK:心より謝罪いたします

■NG:すみません ■NG:すみませんでした

「すみません」を漢字にすると「済みません」。「済まない」の丁寧語です。「済」には「終わること、済んだこと」という意味で、「すみません」を直訳すると「(このままでは)済んだことにはできません」と述べることで、相手に謝罪の意を表しているのです。ただし、「すみません」は直接の謝罪ではなく自分の気持ちのすまなさを表す言葉なので、正式な謝罪の言葉には不向き。目上の人に対しては使わないほうが無難です。

■NG:失礼しました ■NG:失礼いたしました

「失礼しました」は相手に許しを求める表現ではなく、自分の過失を認める表現です。メールの返信が遅れたときなど、文字通り相手に対し礼を欠いた行為について詫びるの言葉としては間違いではありませんが、丁重に謝罪する場面にはふさわしくありません。


【「ごめんなさい」に代わる謝罪の言葉「例文」5選】

テレビでよく見る謝罪会見では、謝る本人は必ずスーツなど改まった服装をし、清楚な髪型やメイクで登壇します。心から反省していることを外見や態度でも示す必要があるのです。言葉遣いも同様です。謝罪の場面では普段より改まった印象の言葉を選ぶことで、真摯な反省の気持ちを示しましょう。

■1:「ご容赦くださいますようお願いいたします」

■2:「このたびは大変なご迷惑をおかけし、お詫びの言葉もございません」

■3:「このたびの不始末はすべて私の責任です。心より陳謝申し上げます」

■4:「初歩的なミスをいたしまして、お恥ずかしい限りです」

■5:「こちらの対応に不手際がありました。誠に申し訳ございません」

***

ビジネスシーンにおける謝罪の言葉は「申し訳ございませんでした」が基本だといっていいでしょう。謝罪の意を強める際には「大変」「誠に」を使います。「ごめんなさい」は確かに謝罪の言葉ではありますが、少々幼稚な印象を与える言葉でもありますから、知性をアピールしたいビジネスシーンにはふさわしくありません。謝罪の場面にふさわしいのは、「普段よりも少し改まった言葉遣い」だと覚えておきましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)) /『敬語マニュアル』(南雲堂) /『心が通じる 手紙の美しい言葉づかい ひとこと文例集』(池田書店)/『印象が飛躍的にアップする大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) :